『麒麟がくる』大暴れする長谷川博己は必見! 若きヒーローはいかにして“明智光秀”になるのか

4

2020年01月19日 06:01  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

『麒麟がくる』(写真提供=NHK)

 アクシデントにより予定より2週間遅れての第一話放送で、いやがおうにも期待が膨らむ大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK総合)。


 結果、期待以上に面白かった。第一話は通常45分より大幅に拡大しての75分、内容は盛りだくさんなうえ、スケールも大きく、時間を忘れて見入ってしまった。


 「本能寺の変」で織田信長を討ったと言われる明智光秀(長谷川博己)の知られざる青春時代から描き、戦乱の時代、若き明智光秀が何を見て何を思い、どんなふうに成長し、人間形成されていったか描く物語は、明智十兵衛光秀が二十歳の頃からはじまる。


 早くに父を亡くし、母・牧(石川さゆり)と叔父・明智光安(西村まさ彦)と美濃で暮らしてきた光秀。血気盛んで、たびたびやってくる野盗を率先して退治している。


 長谷川博己が派手な立ち回りを見せる。16日に行われた初回完成試写会後の会見で、「これまであまり光秀の武の部分が描かれてこなかったが、(実際は)戦ってきた人だから、美濃を守るために戦う姿を描きたいと思った」とチーフ演出家の大原拓は言い、一話には、長谷川博己といえば、『シン・ゴジラ』や『まんぷく』、大河ドラマ『八重の桜』などで演じた役によって頭脳派という印象があるが、それを覆すような殺陣シーンが用意されている。


 「人を斬るとき、実際はわからないが、僕の場合は息を止めるんです。斬って斬って敵を追いかけていくので息ができず酸欠状態になってしまった」と第一話の撮影を振り返った長谷川。広大な農地を斬りながら駆け抜けていくシーンをカメラを止めずに撮影したそうで、「ドラマではカットされていますが、(止めずに撮ったことを)ここで言えてよかった」とアピールしていた。


 そうは言っても頭脳派の面も健在。主君・斎藤道三(本木雅弘)に野盗対策のために旅に出たいと嘆願に行くときは、頭の良さそうな表情と語りで見せる。二十歳にしてはかなり成熟した雰囲気なのは否めないが、『真田丸』の堺雅人が15歳の少年時代を演じたこともあるので、大河ドラマあるあるとして楽しみたい。


 それにちゃんと、父代わりの光安、権謀術数に長けた武将・道三、戦国三大梟雄のひとり松永久秀(吉田鋼太郎)、京都で出会う医師・望月東庵(堺正章)などがデーンと構えて光秀を圧倒するので、光秀が初々しく見える。


 しょっぱなから大暴れする長谷川博己の光秀は若き正義感に溢れたヒーロー(の卵)という雰囲気。美濃を守るため、琵琶湖を渡って堺から京都へと旅に出る、その最中、貧しく苦しむ人達の姿を目撃。とりわけ京都は度重なる戦(応仁の乱)で都は衰退していた。そこで出会ったのが、医師・東庵とその助手・駒(門脇麦)。そしてそこで事件が起こり、光秀が大活躍。誰もが安心して見られる構成になっている。


 戦災孤児・駒の口から語られる「麒麟」の伝説。麒麟とは、王が仁のある政治を行う時に必ず現れると言われる聖なる獣。その伝説を信じる駒の純粋な瞳。長谷川博己と門脇麦は共演経験もあり安定感のある芝居を見せてくれる。ほかに芝居のやりとりで面白かったのは、吉田鋼太郎演じる松永と光秀の場面。詳しくは書かないのでオンエアを楽しみに見てほしい。


 長谷川は「主演は受けだから、最初は、キャラの強い人から受けたものを循環させていくものと思っていたが、このままでは、光秀としても俳優としてもいけない気がして、あえて自分から仕掛けてもみた。そのうち、光秀はこういう得体のしれないものを持ち続けていく人間なんじゃないか。『自分が何者かわからない』というようなセリフにも通じるんじゃないかと思う」と言い、一般的に知られた明智光秀になる前の姿を演じることに試行錯誤をしているようだ。


 物語はこれからなのでここではまだ考察しないが、ロケの風景がきれいなのと(ドローンを多用した広い画が気持ちいい)、黒澤和子が手掛ける衣裳が鮮やかで眼福。たいてい女性の着物に目がいくのだが、光秀の着物の色も柄も美しく、毎回の楽しみになりそうだ。試写は4Kだったので画面の美麗さが一層際立っていた。


 さて、一話でやっぱり気になるのはアクシデントによって急遽、川口春奈が帰蝶の代役で登板したことだ。帰蝶は、道三の娘でのちに信長の妻となる重要な役で、光秀とは姻戚関係。第一話から帰蝶は登場するが、川口春奈の凛として華やかな存在感は堂々たるもの。活発そうな感じで、これからの活躍を応援したくなる魅力に溢れていた。


 岡村隆史演じる謎の農民・菊丸も登場。物語の前半を彩っていく人々が続々出て来てわくわくする。本木演じる斎藤道三の貫禄はザッツ大河!という感じ。画面を引き締めまくる。ほかに声優の大塚明夫も出演。人気声優が出演して話題になった大河として『真田丸』の高木渉が記憶に残っているが、今回の大塚も話題になりそう(ちなみに大塚は吉田鋼太郎と同じ劇団で舞台活動もやっているのだ)。


 夏のオリンピック期間中の三週間はお休みの全44話。「本能寺の変」まで明智光秀がどう駆け抜けていくか一年間、楽しみだ。(文=木俣冬)


このニュースに関するつぶやき

  • 大暴れする長谷川博己は、地獄でなぜ悪い Why don’t you play in hell?でも観られるぞ!(・ω・)ノ
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ニュース設定