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「アルビノがしんどい」26歳女子、「白い髪」と向き合い知った幸せ 私を同調圧力から救った出会い

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2020年01月19日 07:00  ウィズニュース

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写真筆者の神原由佳さん。写真は、幼なじみでデザイナーのいとかな(cana ito)さんが撮影・提供
筆者の神原由佳さん。写真は、幼なじみでデザイナーのいとかな(cana ito)さんが撮影・提供

【#アルビノ女子日記】
「私なんて、生まれてこなければよかった」。アルビノの社会福祉士、神原由佳さん(26)はそう思ってきたといいます。生まれつき白い髪と肌。他の人と外見が異なることのしんどさゆえに、涙した日々。膨らみ続ける「ふつう」への憧れから、彼女を解き放ってくれたのは、友との出会いでした。同調圧力に押し潰されそうになりながらも、やがて自らの「色」を受け入れるまでの歩みについて、神原さん自身につづってもらいました。

▼▼アルビノとは
生まれつきメラニン色素をつくる機能が損なわれている遺伝子疾患。体毛や肌の色が薄い。日焼けに弱く、視覚障害を伴う人も多い。2万人に1人の割合で生まれる。▲▲

【写真】変形した顔、アザ、アルビノ…… 「ふつう」とは異なる外見の人たち 神原由佳さんも登場

生きづらさの海に溺れて
「生きづらさの海に溺れてしまいそうだよ」

昨年2月、私はTwitterに、こんなつぶやきをした。

生きづらさとどう向き合うのか。私がずっと抱えているテーマだ。なぜ生きづらいのか。私が「ふつう」じゃないからだ。

「どうして白いの?」無邪気な一言に涙
アルビノとして生まれた私は、子ども時代から、日常の小さな出来事によって、「自分はふつうじゃない」という事実を突きつけられてきた。

人との違いを初めて強く意識したのは、小学校低学年のとき。似顔絵を描く授業だった。

私の髪は白に近い金髪で、肌は淡くピンクがかった白。瞳の中心は黄色で、その周りはブルーとグリーンの中間色。これらをクレヨンや色鉛筆で描くために必要な色は? すべての色が自分に合わない。先生にも相談できず、一人で悩みながら描いた。

黒板の上に掲示されたクラス全員分の似顔絵は、私を見下ろし続けた。黒髪の中に、ぽつんと金髪の似顔絵。「浮いているなぁ」と、居心地が悪かった。

学校で席は、アルビノに伴う弱視のため、いつも最前列。だから席替えもつまらない。日焼けをするとやけどのようになってしまうため、プールの授業は保健室学習だった。

こうした経験の一つずつの痛みは無視できるほど小さい。けれども、無意識のうちに蓄積され、痛みは心のコップを満たしていった。表面張力によって、ぎりぎり気持ちを保っているような状態だった。

小学校高学年のとき、廊下で低学年の男の子に呼び止められ「お姉ちゃん、どうして白いの?」と聞かれた。私が一番言われたくない言葉だった。この一言で、張り詰めていた気持ちが、一気に溢れ出した。

これがもし、悪意がある質問なら、私は彼を責めることができた。けれど、単純な好奇心から聞いたようだった。彼も、私も、誰も悪くない。「生まれつきだよ」とだけ答えると、そのまま保健室に走っていって泣いた。

アルビノを自分から排除したい
人と違うことは、学校ではいじめのターゲットになりやすい。私はいじめにあうことはなかったけれど、空気を読めない友人がいじめられていた。彼らが排除される存在なら、「ふつう」でない私もいじめられるのではないかと恐れた。だから、私は目立たないように、周囲の言動に自分をあわせていった。

外見は「ふつう」になれない現実に悶々(もんもん)とした。黒髪で、視力がよくて、紫外線を気にせず思い切り外で遊ぶ。みんながごくごく当たり前にやっていることは、自分ができるようになることは一生ない。アルビノという要素を私から排除したかった。

中高生になると、アルビノであることの違和感はどんどん強まっていった。

「ふつうじゃない私は出来損ないだ」「私はいったい何者だろう」

思春期の私のアイデンティティはぐらぐら揺れた。アルビノでいることは、自分も周りの人も幸せじゃないような気がして「生まれてこなければよかった」とさえ思った。

自分がアルビノで生まれてきたことは、両親も、もちろん私も悪くない。誰かを責めようがないし、責めるつもりもなかった。とにかく悲しくて、保健室やお風呂場で静かに泣いていた。

メイクしたくても、肌に合う色がない
大学に進み、周りが化粧を始めるのを見て、私も「化粧をしなければいけない」と思った。

ファッション誌には「髪形とメイクで第一印象をよくしよう!」みたいなタイトルの特集が組まれていた。第一印象が、人間関係にどれほど重要かが書かれていた。外見が「ふつう」ではない自分はただでさえマイナススタートだ。

友達ができないのは、恥ずかしくてみっともなくて寂しい。そんな思いはしたくないと思った。化粧によって「かわいさ」を手に入れれば、自分に自信が持てるようになるとも本気で思った。

しかし、かわいいメイクをしたくても、私の肌に合うコスメがなく、「ああ、私の色はないな」と思った。メイクは楽しいものではなく、つまらないものになった。みんなが当たり前にできていることが、自分だけできないのは恥ずかしいし、かっこ悪かった。

憧れ続けた「ふつう」は幻想だった
「神原がアルビノであることを気にしてないよ」

そう友人に言われると、自分の悩みが否定されているように感じるほど、私はこじらせていた。一方で、「大きな病気を患った人や障害者の方と比べたら、アルビノなんか悩むに値しない」と、自分の気持ちに蓋(ふた)もした。

そんな私を変えてくれたのは、人との出会いだった。

大学でのキャンパスライフ、そして社会人生活と、生きる世界が広がるにつれ、「アルビノであることに、どうしても悩んでしまう私」を、「好きだ」「そのままでいい」と言ってくれる人たちと出会うことができた。私のことを好きと言ってくる人のためにも、自分で自分のことを大切にしたいと思った。

そして、アルビノであることをしんどいと思うのは素直な気持ちとして、「その感情は持っていいよ。間違ってないよ」と、自分自身に優しく語りかけられるようになった。

性的マイノリティや元ひきもりの友人もできた。「ふつう」のように見えても、よくよく話を聞くと親子関係に悩んでいたり、トラウマを抱えたりしている友人もいる。みんな何かしらの生きづらさを抱えている。

ひょっとして、私が思い描いていた「ふつう」は幻想で、「ふつう」の人なんていないのかもしれない。そう思うと、「ふつう」でなくてもいいと肩の力が抜けた。

すると、あれだけ排除したかったアルビノが肯定できるものに変わった。この白さを「個性」や「武器」と言い切れるほど前向きになることはできなくても、自分の中に「あってもいい」と今は思える。「自分はアルビノだ」と強く意識することも減った。

ダサくてもいい 友が教えてくれたこと
私は「ふつう」にずっと憧れていた。でも、アルビノに生まれた私には届かぬ望みだった。どうしてそんなに「みんなと同じ」になりたかったんだろう。子どものころはわからなかったけれど、大人になった今なら、わかる。

私を長年苦しめた「ふつうになりたい願望」の正体は、社会のあちこちに蔓延している同調圧力だったんだ。

26年間の人生で、今が一番幸せだ。自分のダメなところまで理解してくれる人たちと、何より自分自身を大事にできるようになってきたからだ。そんな今でも、ときどき生きづらさを感じることはある。

それは「見捨てられ不安」とも呼ばれる感情だ。でも、その不安は手の届かない「ふつう」を求めていた苦しみとは違う。

他人のことも自分のことも大切に思えるようになったからこそ、今までとは違った意味で人から見捨てられることが怖い。「どうせ自分なんて……」とネガティブな感情がつい出てしまう。

一方で、ダメな自分を許せない自分もいて、そのギャップにやきもきする。そんなときは、これまでどれだけ情けない姿を見せても、それでも懲りずに関わってくれる人のことを思い出す。私自身が作り上げた信頼関係を、自ら否定するようなことはしたくはない。

自分に自信がない私は、このエッセーの寄稿依頼を受けたとき、正直戸惑った。担当編集者の2人に「こんな私でよいの?」と打ち明けた。

すべての不安を言い切った後、最後に「私は、3人でチームになりたい」と言っていた。あまりに必死で、ダサかったけれど、2人は「それでもいい」と言ってくれた。

こじらせている私は、これからも生きづらさを抱え続けると思う。でも、そんな人生を生きる覚悟が今はある。生きづらさの海に溺れないように、泳ぐ力をつけていきたい。

コラム「アルビノ女子日記」
他の人と比べ、生まれつき肌や髪が白いアルビノ。「特別な存在」とみなされがちですが、どのような人生を送っているのでしょうか。当事者である神原由佳さんに、等身大の姿をつづってもらいます。不定期連載です。

このニュースに関するつぶやき

  • 白蛇は神様の遣いらしいね。アルビノも幸運を呼ぶ者かもね。でもアフリカでは恐ろしい事が起きるらしいけどね。
    • イイネ!7
    • コメント 9件
  • 白蛇は神様の遣いらしいね。アルビノも幸運を呼ぶ者かもね。でもアフリカでは恐ろしい事が起きるらしいけどね。
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