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英国王室問題を叩く日本のワイドショーは、なぜ皇室の“予算組み”を論じないのか?

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2020年01月19日 20:32  日刊サイゾー

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日刊サイゾー

写真インスタグラム:ヘンリー王子、メーガン妃(@sussexroyal)より
インスタグラム:ヘンリー王子、メーガン妃(@sussexroyal)より

 新年早々の1月8日、英国王室のヘンリー王子(サセックス公爵)とメーガン妃が「高位の皇族」の地位から退き、経済的に独立すると電撃発表し、大きな話題となった。

 夫妻は声明文と公式インスタグラムで、「私達は今年、この王室という組織の中で革新的な新しい役割を作り出し、そちらに移行することを選択しました。引き続きエリザベス女王へのサポートは全力で続けながらも、王室の『高位』メンバーからは退き、財政的に自立するよう努力する意向です。(中略)今後は英国と北米両方の生活でバランスを取りながら、引き続き女王と英連邦、そして私達が支援している団体への義務は果たしていくつもりです」と自らの考えを示した。

 しかし、この声明がエリザベス女王などとの話し合いのないまま発表されたことで、英国王室では大きな問題となり、同月13日には緊急家族会議が開催されるまでに至った。その結果、エリザベス女王は、「王室の重要な一員にとどまりながら、より独立した人生を送るという希望を理解し尊重する」との声明を発表、ヘンリー王子とメーガン妃夫妻の意思を尊重した。

 この問題は国内でも大きな反響があり、ワイドショーなどで盛んに取り上げられた。

 日本の番組の中で、多くのコメンテーターなるものたちが口にしたのは、「夫妻が経済的に自立すると言っても、具体的にどのように自立するのか」、あるいは「高位の王族から退くといっても、一家の警備費などは公費で賄われることになる。結局は税金を使うのではないか」という経済的な問題だった。

 だが、筆者にはこれらのコメンテーターが、英国王室に対する知識があまりにも乏しく、ピントハズレのコメントをしているように思えた。簡単に言ってしまえば、英国王室は年間の経費の約95%を王室の収入で賄っており、国家予算から支出されているのはわずかに約5%しかない。

 英国王室の公式ウェブサイトには「王室財政は、曖昧さと秘密主義で隠されることで、王政はときにお金のかかる制度だと述べられてきました。しかし、現実には王室は公金をできるだけ賢く、効果的に費やされるよう、そして王室財政をできる限り透明で理解されるようにすることを約束しています」と書かれている。

 実際に、英国王室の財産や収入はかなりオープンにされている。

 英国王室は多くの資産を保有している。例えば、クラウン・エステート社(Crown Estate社)は英国王室直属の不動産管理会社で、ロンドン中心部の「リージェント・ストリート」で貸店舗などを行っている。競馬のヨーロッパ3大レースの1つが開催されるアスコット競馬場も王室の所有だ。王室はアスコット競馬場のあるアスコット地方に10万ヘクタール(ほぼ青森県と同じ広さ)の土地を所有している。この他にも、王室領のマン島など多くの不動産を所有している。また、王室御用達ブランドなどとの契約金といった収入もある。

 クラウン・エステート社は、国内で143億ポンド(約2兆円)にものぼる不動産事業を行っているが、その収入利益は国庫に入れられ、収入の中の約15%が王室助成金として王室に支払われている。

 だが、これらの国有財産を除いても、エリザベス女王は膨大な個人財産を所有している。中でも、父親のジョージ6世国王から受け継いだランカスター公領から多くの収入を得ているのだ。英国王室の公式ウェブサイトには、「13世紀に創設されたランカスター公領は、ランカスター公爵の名で、王室のためのトラストとして保有されている土地、不動産、資産の独特なポートフォリオ」とされており、約1万8500ヘクタールの土地と、商業用、農業用、住居用の不動産で構成されている。2011年4月の米国フォーブス誌はエリザベス女王の個人資産を5億ドル(約550億円)と推計している。これらから得られる収入は、エリザベス女王が自由に使えるわけだが、そのほとんどは宮殿の修復費や王室で働く人たちの給与に使われている。

 チャールズ皇太子(コーンウォール公爵)も個人財産としてコーンウォール公領を所有しており、テレビ番組「CNN Money」では2018年の公領からの収入を2800万ドル(約30億8000万円)と報じており、チャールズ皇太子のウェブサイトには、「ウィリアム王子とキャサリン妃、ヘンリー王子とメーガン妃の公務活動は、コーンウォール公領からの収入を使用し、公務旅行や財産管理の補助には、女王の王室助成金の資金援助を受けている」としている。

 このように英国王室の場合、公費に頼っている割合は非常に小さい。一方では、イギリス国民の中には、エリザベス女王やチャールズ皇太子の領地も国家(国民)の財産であり、そこから得られる収入を公費だとする意見が多いのも確かだ。しかし、国家予算の中から王室に使われている公費が少ないのも、また事実でもある。

 ワイドショーなどで英国王室の問題に安易なコメントするコメンテーターたちは、こうした事実を知っているのだろうか。筆者にとって何よりも不可思議なのは、これらのコメンテーターが他国の王室についてはコメントするのに、日本の皇室については一切触れないことだ。

 英国王室と違い、皇室の予算はすべて国家予算で賄われている。ヘンリー王子夫妻の公費を問題にするのであれば、皇室に使われる公費については何故言及しないのだろうか。

 2009年に財務省が公表した皇居の資産価値は、2146億4487万円となっている。皇居だけで2000億円以上の資産価値がある。これを実際の土地の売買価格に引き直せば、おそらく軽く10兆円を超えるのではないか。この他にも、赤坂御用地、那須御用邸、葉山御用邸等など、皇室も多くの資産を保有している。

 一方で、2020年度の予算概算要求で宮内庁の要求額は、皇室関連に使われる皇室費と宮内庁費を合わせて215億2400万円。これが国家予算から使われている。確かに、皇室財産は憲法上、国に属するものとされており、天皇家の個人財産ではない。だか、もし皇室財産を活用することにより、皇室が国の予算に頼らずに運営していけるとすれば、いかがだろうか。

 皇室は宮内庁を通して、国家予算により運営されていることで、天皇の発言ですらも時の首相や政権に配慮している面があり、閉鎖性も強い。それに比べ、英国王室は非常にオープンで親しみやすく、人気が高い。発言も、首相や政権を気にすることなく、自由に行われている。

「令和」という新しい時代の中で、新しい皇族のあり方を考えるべきではないか。英国王室の今回の問題が、日本の皇室のあり方に“一石を投じる”ものとなることを期待したいのだが。

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  • 二兎を追う者は一兎をも得ず、と言うかエドワード8世のラブロマンスに似てロマンティックと言ったほうが素敵ではないかと?愛の為に王冠を捨てたと言うのなら漢の鑑である。
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