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東京五輪オーバエイジ枠最有力。大迫勇也のすごさはどこにあるのか

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2020年01月20日 06:31  webスポルティーバ

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福田正博 フットボール原論

■現在の日本代表の攻撃の中心として、欠かせないストライカー、大迫勇也。その能力や特長はどこにあるのか。五輪代表のオーバエイジでの招集も有力視されているFWについて、元日本代表の福田正博氏が評価するポイントとは。

 大迫のすごさは、欧州で生き残るためにさまざまなスキルを身につけていることにある。彼自身も言っているように、ほかの外国人選手ほど体は大きくない。だからこそ、欧州の屈強なDFを相手にボールをキープするために、体の使い方を工夫している。ちょっと先に体を当てて自分のポジションを取るなど、日本ではやっていなかったことを、体の大きい相手と対戦を重ねるなかでできるようになった。

 もともと能力が高く、オールラウンダーの選手であり、厳しい環境で体の使い方を覚えて、しっかりキープもできるようになって、結果が出るようになった。そして自信を深めていき、昨シーズンはブレーメンでさまざまなポジションを経験した。フロリアン・コーフェルト監督のもとでFWだけではなく、サイドバック、ボランチまで非常に幅広くプレーしたわけだが、今思うとそれが彼のプレーの幅を広げることになったのではないか。

 彼自身は、本来のポジションではないという思いはあっただろう。昨シーズンのブレーメンはマックス・クルーゼ(現フェネルバフチェ)というエースが攻撃の中心だったことも影響していた。彼を中心にチームを作ったがために、大迫自身は点を取れていなかったので不満はあったと思うが、結果的にいろんな視点でサッカーを見る力を身につけることになったはずで、非常に大きな成長につながったと私は思っている。

 私自身もそうだったが、複数のポジションを経験することで、違う角度や視点でピッチを見ることができるようになる。そのことで、自分自身のプレーの幅を広げることができた。

 さまざまなポジションを経験することで、まったく違うアングルからピッチを見てから本来のポジションに戻った時、プラスに作用することもある。サッカーで1つのポジションだけでずっとプレーしていると、「自分のプレーはこれ」と決めつけてしまい、柔軟性を欠いてしまう危険性もある。

 そうしたときに、違うポジションを経験してそれまでの自分とは違う面を発見することで、それが成長のきっかけになることもある。私自身、ボランチやウィングバックをやってみて、違う角度でサッカーを見ることによって、FWに戻った時に「周囲はこういうふうに考えているんだな」といろんなことに気がつくきっかけになった。

 大迫はそのキャリアのほとんどを前線でプレーしてきているが、まったく違うポジションで出場することで、サッカーを見る新たな視点を手に入れたのではないだろうか。たとえば、日本代表でワントップとしてプレーするときも、引いてきてパスを捌くことがさらにうまくなっている印象だ。

 また、チーム全体のいわゆる戦術理解度という点でも、複数ポジションを経験したうえで戦術を理解できていなければ、試合の途中で布陣をどんどん流動的に変えていく今の時代に適応できないとも言える。

 複雑になっていく最新戦術を理解しなければいけないという意味では、いくつかのポジションができることは重要で、今後のキャリアにもプラスになる。大迫にそれだけの能力があるからこそ、コーフェルト監督は大迫を複数のポジションで起用したのだと思う。

 もともと前線でのキープ力もある大迫は、中盤のスペースに下りてきてパスを受けて前を向くことや、そこから仕掛けることもできる。後方から来たボールを、ワンタッチ、もしくは止めてから前に向いたり、相手を背負って反転して前に出ていくこともできる。受ける時の引き出し方のタイミングもいいし、ポジションもよく、非常に洗練されてきている。

 チームの攻撃の中心として、優先順位が常に前を向くことにあり、そこが本当に見事で、一緒にプレーする選手の助けになっている。そうしたキープ力、つまりほとんどボールを失わないことも含めて、ハンパなさの幅が広がって、シュートスキル、シュートテクニックなどもあわせて、できることが着実に増えている。

 また、プレーがスムーズで力みがない。力みがないというのは、余計なことを考えないで平常心でいられるということだ。時間もスペースもないゴール前は、雑念がない状態をどうやって作るかが重要になる。1点を取ったらドバドバ連続で取れる状態というのは、余計なプレッシャーもなく、今やることに集中できているということだ。

 日本代表においても、大迫がいることで前線の選手の関係性、連動性、攻撃時の役割分担やつながりが熟成されてきている。個性がぶつかり合って邪魔し合うことなく、お互いを理解してうまく連係できているのは大迫の存在が大きい。たとえば、南野拓実があれだけのびのびとプレーできるのは、大迫がいればこそ。

 大迫が動いてスペースを空けたところに南野が入っていき、大迫が落ちてきてポジションを入れ替えるなど、連動もスムーズだ。いわゆるワントップとトップ下の関係とは少し違うが、縦関係に近いツートップ。その絶妙な関係性が日本代表の攻撃に力を与えている。

 前線は若い世代の勢いと大迫の経験が融合して、南野や堂安律、中島翔哉や久保建英らの力がうまく引き出されている。大迫がいることで、若い選手はのびのびとプレーでき、それが成長につながる。中継ではモニターに映らないので目立たないが、大迫がスペースを空けたり、起点になったり、体を張って相手DFラインを下げる仕事をこまめにしていることで攻撃のいいリズムができていく。

 日本代表チームは、南野のほかにも、鎌田大地や五輪世代の選手も伸びてきて、2列目は多士済々だ。その競争の激しさに比べると、センターフォワードはまだ選手層が厚くはない。今後、より一層大迫の存在の大きさ、重要度が増していくだろう。

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