「仕事は忙しい人に頼め」はもう古い! "できる人"に偏りがちな業務を分散して組織全体の生産性を向上させよう

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2020年01月20日 07:10  キャリコネニュース

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「仕事は忙しい人に頼め!」と昔はよく言われたものです。「忙しい → 仕事をたくさん任されている → 優秀に違いない」ということで、あえて忙しい人に頼んだほうがスピーディーに良い仕事をしてくれる、という理屈のようです。

ただ、それは労働力人口が増え続けていた平成初期までの話。人手不足の昨今は、偏った仕事の割り振りがメンバーの「私ばかりが仕事をさせられている……」といった不満を招き、かえって組織の生産性を低下させかねません。

今回は、こうした事態を避けながら組織の生産性を高めるために、注意すべきポイントを紹介してまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

忙しい人に任せてばかりだと長期的に成果を出し続けることは困難


「仕事は忙しい人に任せろ」と言われてきた理由を改めて整理すると、主に以下の5点が考えられます。

・モチベーションが忙しくない社員より高い
・多くの仕事をこなすだけの高い能力を持っている
・失敗への耐性が高く、平常心を失いにくい
・困難な仕事でも、最後までやり遂げる傾向が強い
・段取りやタイムマネジメントがうまく、仕事が速い

こうした理由から、忙しい社員に仕事が偏っていく傾向があります。しかし、偏った割り振りは、組織に短期的な成果をもたらすものの、長期的に成果を上げ続けるといった観点では疑問が残ります。

他方、任された当人は「私ばかりが仕事をさせられている」といった印象を抱くことも。こうした組織の特徴としては、以下のような傾向が挙げられます。

・心理的安全性が確保されておらず、本音を言い合える場がない
・組織目標が明確にされていない
・一人ひとりが孤立し、メンバー同士のつながりが薄い
・仕事を通した成長実感が少ない
・公正な評価がなされる制度が無い。もしくは、上司が公正な評価を下せていない

上記の項目に注意して組織を育むことができれば、仕事の偏りを嘆く社員など出るはずがありません。

誰がどの業務を担当し、どのくらい時間をかけているか、改めて把握する

さらに、長期的に高い生産性を維持できる職場を作っていくためには、組織の目標に対して、一人ひとりが自身の強みを生かしながら仕事を進めていける環境が必要です。

そのために、まずは仕事の現状を"見える化"していきましょう。見える化には、1〜3か月の期間ごとに、社員一人ひとりの仕事を「仕事の棚卸シート」を使って抽出していくことが効果的です。抽出したい項目の例を挙げます。

・誰がどのような業務を担っているのか?
・それぞれの業務にかかっている時間はどれくらいか?
・その業務の重要度はどのようなものか?
・業務の課題はどのようなものか?
・現在は出来ていないが、やっていきたい事は何か?

シートが完成し、状況を把握できたならば、今度は社員一人ひとりの思いなども踏まえ、組織図に反映させましょう。無味乾燥な一般的な組織図と違って、一人ひとりの役割と、その人に生かしてほしい強みが記載された図になるよう意識します。

組織図には、ビジョンと短期的なミッションを併載し、全員が一丸となって目標達成を目指すことにつなげていくのです。

今回は、特定の社員に仕事量が偏りがちな生産性の低い職場を改善するためのポイントについてお話させて頂きました一人ひとりが自律して高い生産性を達成できるよう、モチベーションの高い職場の実現を目指してください。

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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  • でも、組織には使えない奴、やる気ない奴がいるのも現実だからな。
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