秋山翔吾の少年時代、習慣化することの大切さと母が作った「チェックシート」

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2020年01月20日 12:02  ベースボールキング

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19日に「第3回神奈川学童野球指導者セミナー」が横浜市内で行われた。午後の部では今シーズンからメジャーリーグのレッズでプレーする秋山翔吾選手が登壇し講演を行った。その模様を「ヤキュイク」読者の皆さんにもご紹介したい。
なお、秋山選手はこの約20分の講演を行うために、静岡県の下田市で行われていた自主トレを切り上げて駆けつけてくれた。



■できることから「習慣化」
野球に対して厳しかったお父さんを小学生時代に亡くした秋山選手。少年時代は弟とキャッチボールをすることもあったが、基本的に家では素振りや神社の階段で壁当てをしたり、1人で練習をしていたという。素振りは毎日100回を自分に課していたそうだ。
「9分割したストライクゾーンをそれぞれ10回ずつとプラス10回で1日100スイングしていました。しんどかったですけど、それが習慣になるとできることが増えたり、体力がついているという実感もありました」

と少年時代を振り返った。司会者に継続するコツを聞かれると、母の作ったチェックシートの力が大きかったという。
「チェックシートには『朝歯を磨く』『窓を開ける』など野球以外の項目もありました。それぞれを『自分からやった』『言われてやった』『言われてもやらなかった』と三段階の色分けがあって、できたらシールを貼ってくれるんです。やっぱりいい色のシールを貼って欲しくて」

こうやって、お母さんのチェックシートの力も借りて毎日のしんどい練習を習慣化して、後のメジャーリーガーは少年時代を過ごした。

今の子ども達に対しては、「まずはできることから習慣化してほしい」と話す。例えば、1日100回素振りをして、次の日に「今日も100回振るのか......」と思うくらいなら、1日5回でも10回でもいいから毎日続けてほしいという。
「1週間に1回100回振るよりも1日10回を7日続ける方がいい。体調が優れないとき、天気が悪いとき、遊びに行きたいときでも言い訳にしない。ちょっとでもいいから毎日続けることが大事」と話す。

自身がプロ野球の世界でフルイニング出場を続けられた背景には、少年時代からしんどい練習を習慣化してきたことも、けっしては無関係ではないだろう。

■自分で考えるきっかけを与えることが大事
昨年末に横須賀で、今年は自主トレ先の下田市で野球教室を行ったという秋山選手は「子どもの技術は上がっている」と感じている一方で「1年前の野球教室で教えたことを忘れている」とも感じるそうだ。
「簡単に情報に触れられる時代なので、(自分で練習を)やりこんで覚えるよりも、簡単に覚えようとしている気がする」「簡単に色々知ることが出来て、迷う子もいる」など、ネットで簡単に情報を得られることにより、自分で考え試行錯誤して覚えていく機会が無くなりつつあることを問題視する。

例えば、イチローのスイングを真似すれば簡単に打てるようになるわけではない。真似から入ることも大切だが「自分で『こういうことかな?』と考えながらやることも大事」と強調する。
その上で、プロ野球選手の動画を見て真似しているだけではなく「この選手のどういうところがいいと思う?」と指導者は子ども達に自分で考えるきっかけを与えることが大事であると話す。

■少年野球人口を増やす秘策?
減少を続ける少年野球人口について問われると、このような考えを披露した。

「少年野球人口を増やすには、単純にプロ野球選手が小学校に行って、体育の授業でティーボールを一緒にやって『野球って楽しいよね』と思ってもらうこと。0を1にすることが野球人口を増やすことになると思う」
「野球教室をたくさんやるより、各小学校の野球を知らない子のところへ、プロ野球選手が入っていくことが必要かなと思う」

また、野球という競技の魅力については、
「野球は道具を使うスポーツなので難しい。30m走るのと30mボールを投げるのでは、30mボールを投げる方が難しい。でも難しい(スポーツ)だからこそ、それができたときの達成感を味わえたり、少しずつ伸びていることも感じられたり、そういったことも野球の楽しさだということを伝えられたらと思う」
とも話してくれた。

最後に、セミナーに参加した学童野球の指導者、関係者に向けて、以下のように話して講演を締めくくった。
「子ども達が長く、楽しく野球ができるようにやってもらいたい」
「自分も(アメリカで)新人のつもりで頑張るので、皆さんもまた野球を一から見直して楽しんでやってもらいたいと思います」

(取材・写真:ヤキュイク編集部)

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