「腐れ縁」が喜美子にとっての癒しに 『スカーレット』童心に戻ったような時間

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2020年01月20日 12:12  リアルサウンド

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『スカーレット』(写真提供=NHK)

 八郎(松下洸平)は個展の下見のために東京へ。喜美子(戸田恵梨香)は八郎のいない工房で新しい作品づくりを始めていた。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が16週目を迎え、喜美子と照子(大島優子)と信作(林遣都)が童心に戻ったような時間を過ごしていた。


【写真】朝ドラでブレイク中の松下洸平


 夜中、かわはら工房に照子が訪ねてくる。「うち、離婚するから」と話す照子に驚きの表情を隠せない弟子の三津(黒島結菜)。しかし喜美子は落ち着いていた。「オリンピックは4年に一回、照子の離婚騒動は1年に一回の恒例行事や」と言う喜美子。照子が家出する、照子の夫・敏春(本田大輔)が心を改めて手紙を書く、その手紙を託された信作が川原家に駆け込む、この流れが繰り返されているとは何とも照子らしい。喜美子や信作が、プライドが高く勝ち気な性格の照子を変わらず受け入れている。彼らは互いを「腐れ縁」と呼ぶが、喜美子にとって照子と信作は、夫とは違った、心を落ち着かせてくれる存在だ。


 昔話に花を咲かせる三人。照子が始めた「今やから言うけど」大会の中で、信作は喜美子の絵について語った。朝から晩まで家事をして、学校でも係の仕事や勉強に励みながら絵を描いていた喜美子を「すごいなあ思うてた」と話す信作。喜美子は自身が描いた絵を前にして、絵を描くのが好きで好きでたまらなかった頃を思い出す。その後、喜美子は大阪に行く前に拾った、信楽焼のカケラを二人に見せた。旅のお供になったそのカケラに「ありがとうございました」と言う三人。三人は昔と変わらぬ顔をしていた。


 劇中、喜美子が描いた絵や信楽焼のカケラが印象的に映し出される瞬間があった。優しい光が差し込み、喜美子の思い出が浮かび上がるようだった。この描写は、喜美子が絵付け火鉢のデザインで荒木荘の人々を思い浮かべたときのように、照子と信作との思い出や信楽の地への思いが作品づくりに活かされるという暗示だろう。朝になり、信作の残した「先、帰る」の文字と信楽焼のカケラを見つめる喜美子の表情が感慨深い。


(片山香帆)


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