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マウスのDAIVとUSBアダプターで10GbE環境を構築――もう1ギガビットには戻れない

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2020年01月20日 12:23  ITmedia PC USER

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写真マウスコンピューターのノートPC「DAIV-NG5810M1-M2S5」に10GbEのUSBアダプターを接続したところ
マウスコンピューターのノートPC「DAIV-NG5810M1-M2S5」に10GbEのUSBアダプターを接続したところ

 2019年、一気に低価格化が進んだPC周辺機器の1つが「10GbE(あるいは2.5/5GbEを含むマルチギガ)」だ。本格普及にはまだ少し早いかもしれないが、10Gbpsのインターネット接続サービスの登場、NAS(Network Attached Storage)やルーター、マザーボードなど対応周辺機器の増加を背景に、一気に普及が進む可能性も高い。



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 動画や静止画を扱うプロカメラマンやハイアマチュアのカメラマンだけでなく、スマホやアクションカメラで手軽かつ高画質な撮影が可能になり、大容量データの取り扱いに悩んでいる人も多いはずだ。クラウドへの保存も考えられるが、今後の容量増加を考えると、身近なローカル環境に保存をしている人が多いだろう。



 業務効率を改善する観点でビジネスの現場はもちろん、個人でもマルチギガの導入に向けた検討を始めても良い頃合いになってきている。そこで、身近な視点で10GbE環境の構築からテストまでを見ていこう。



●10GbEが身近になってきた2019年



 10GbE(10ギガビット・イーサネット)は、数年前なら企業内において各部門より上、社内サーバなどの接続で採用されていたくらいだろう。ネットワークインタフェースカード(NIC)も1枚あたり5万円ほどしたし、スイッチも8ポートで数十万円という価格だったと記憶している。



 ところが数年前に10GbE対応チップが各社から安価に登場し、2019年はNICが1万円台で登場したり、スイッチも10GbEポートを2ポート、残りをギガビットイーサ(1GbE)としたモデルを中心に2万円前後から登場したりと、手が届く低価格な製品が登場し始めた。加えて、ハイエンドNASが中心だった10GbE対応モデルも、最近では2〜4ベイモデルを中心に比較的安価な製品が発売されている。



 こういった背景から、全てとは言わないまでも、拠点内あるいは家庭内の基幹部分だけでも10GbEに対応させることで、ボトルネックを解消するようなことが可能になってきている。



 次に速度の話をしておこう。あくまで理論値だが、1GbEは1Gbps、10GbEは10Gbpsで、帯域は10倍だ。ちなみに、1GbEの場合、実行速度は毎秒120MBあたりになる。1Gbpsを8で割ってバイト単位にすれば毎秒125MBの実効値が毎秒120MB前後なら効率は悪くない。



 一方のUSBは、キーボードやマウスなどでしか利用されないUSB 2.0は外すとして、USB 3.0は5Gbpsとなり、以降倍々で速度を引き上げてきた。USB 3.1 Gen2は10Gbps、USB 3.2 Gen2x2は20Gbpsだ。規格が定まったUSB4は、USB Type-C端子を用いるThunderbolt 3ベースで40Gbpsとなる。USB 3.0時点で1GbEよりも5倍速く、USB 3.1 Gen2で10GbEの帯域に並んだ。



 最後に、ストレージの接続インタフェースも考えてみよう。Serial ATA IIIは6Gbpsで、現在PC内蔵ストレージの主流であるNVMe M.2 SSDなどで用いられるPCI Express 3.0 x4接続では32Gbps、さらには64Gbps、PCI Express 4.0 x4のSSDも入手が可能になった。



 こうして見ると、1GbEの帯域は他のインタフェースに対して後れを取っていることがよく分かるだろう。それをボトルネックと言う。10GbEなら一瞬で転送できるものを、1GbEでその10倍の時間(理論値として)をかけて行うのは時間をムダにしていることになる。そもそもネットワークが生活に密着し、業務にも結びついている今、ファイル転送に帯域を取れる間、その端末ではその他のネットワーク業務にも支障が出る。



●Thunderbolt 3対応ノートPCなら10GbEの増設が可能



 10GbEを利用するには、PC側に10GbEポートが必要なわけだが、一部の映像制作PCやゲーミングPCなどのハイエンドPC(ワークステーションは別として)くらいしか標準で搭載しているモデルはない。



 デスクトップPCの場合、PCI Express 3.0 x4あたりの拡張スロットに空きがあれば10GbE対応NICを増設できる。一方、昨今のようにメインがノートPCになると対応の可否が分かれる。



 ノートPCを高速なネットワークに対応させる場合、これまでならそれよりも速いインタフェースに変換アダプターを挿して対応させてきた。1GbE非対応のノートPCなら、5GbpsのUSB 3.0ポートに変換アダプターを挿して1GbEポートを増設するといった形だ。ところが10GbEの場合、10GbE自体の速度が速いため、USB対応の変換アダプターは数少ない(2.5GbE対応アダプターは存在する)。



 Thunderbolt 3(将来的にはUSB4)も、これまでは比較的ハイエンドノートPCや一部のモバイルノートPCにしか搭載されていなかった。その意味で、既存のノートPCのほとんどは10GbEへのアップグレードには対応せず、必要なら買い換える必要が生じる。Thunderbolt 3対応ノートPCを選んでいたらラッキーということになる。



 ただし、2019年に登場したIntelのIce LakeやComet Lake(開発コード名)世代を境にアッパーミドル級ノートPCにも搭載モデルが増え、また、Thunderbolt 3の技術がUSB4のベースとなる発表もあり、今後さらに増えていくことになると予想される。今まさに、ノートPCの買い換えを検討しているならば、Thunderbolt 3対応をポイントに選べば今後の10GbEへの備えとなる。



●現実目線で10GbE対応環境をそろえてみた



 こうした条件で集めた、検証機材を紹介していこう。



 まず、Thunderbolt 3対応のノートPCとして、マウスコンピューターのクリエイター向けモデルで「DAIV-NG5810M1-M2S5」を用意した。DAIV-NG5810M1-M2S5は、右側面にThunderbolt 3対応のUSB Type-C端子を装備している。10GbEのような高速インタフェースの処理を行うにはCPU処理能力も十分なものが求められるが、DAIV-NG5810M1-M2S5なら6コア12スレッド対応のCore i7-9750Hを搭載しているので不足はない。今回の10GbE検証では関係ないが、GeForce RTX 2060 GPUを装備し、映像制作や配信、写真補正、そして3D制作などの用途で活躍する製品だ。



 次にThunderbolt 3→10GbEアダプターだ。該当製品は各社から登場しているが、今回はStarTech.comの「TB310G」を用意した。低価格化が進んだNICと比べるとまだ高価だが、拡張性の少ないノートPCで10GbEを利用できればより長く現役で使い続けることができるだろう。



 マウスコンピューターでは、10月からこのUSBアダプターを一部モデルのBTOメニューで選択できるようになった。BTOオプションの価格は税別2万7900円で、アダプターというよりはちょっとしたボックスの形をしている。



 サイズは約75(幅)×102(奥行き)×29(厚さ)mmで、ファンレスの金属製ボディーなのでずっしりとした重量感がある。ボディー側面がヒートシンク、前後に貫通する空洞を設けるなど、冷却対策もしっかりした製品だ。



 インタフェースは片側にThunderbolt 3(Type-C)端子、反対側に10GbE対応のRJ-45端子を備えている。また、長さ30cmのThunderbolt 3対応Type-Cケーブルも付属する。



●対応機器だけなくケーブルも要注意



 1つ注意したいのは、Thunderbolt 3はその高速伝送ゆえに一般的なUSB用のType-Cケーブルは利用できず、Thunderbolt 3対応のものを利用することが必須条件だ。しかも長さにも注意する必要がある。



 0.5m以下はパッシブで40Gbpsに対応可能だが、0.5mを超えるパッシブのケーブルでは20Gbpsに制限される。0.5m超〜2m以下で40Gbpsを扱えるアクティブケーブルもあるが、非常に高価だ。付属品以外のケーブルを利用する際は、こういった点に注意してほしい。基本的にはPC本体の近くで運用し、長さ制限がThunderbolt 3ほど厳しくない(制限自体は存在するがゆるい)イーサネットケーブル側で長さを調整しよう。



 10GbEケーブルは基本的に家庭ではCAT6A以上、CAT7対応機器ではCAT7規格ケーブルの利用が望ましい。その上で、各CATに対して長さの制限もある。ただ、実際にはケーブルの品質に左右され、高品質のものなら1GbE用のCAT5eでも家庭内くらいの距離であれば10GbE通信ができてしまうことがある。このあたりは安心感を含め、各々が試せばよいだろう。



 最後に、通信相手としての10GbE対応周辺機器だ。今回はTerraMasterの「F5-422」を用意した。10GbE対応NASを見渡して、そこまで安価というわけではないが(執筆時のAmazon価格は6万9000円だった)、5ベイと考えるとベイあたりのコストは安い部類に入る。



 機材の都合もあり、今回はF5-422に2台のHDD(WD Red WD80EFZX)と4台のSATA SSD(Seagate Nytro XF1230 SSD)を使って試してみた。理想を言えば5ベイ全てにSATA SSDを装備して、単体性能で10Gbps以上の転送速度を出せば10GbEのフル帯域を実現できるが、容量と費用の両面で現時点ではお勧めしにくい。HDDを2台搭載しただけでもストライピング(RAID 0)なら毎秒125MB超は余裕であり、あるいは4〜5台搭載した場合なら冗長性を持たせたRAID 5でも毎秒125MB超えは可能だ。今現実的な構成で、10GbEのメリットがあるのかを調べよう。



●コスト次第でもっと上も目指せるが現実的なところでも効果あり



 では、RAID 0運用のF5-422 NASに対しネットワークドライブを割り当て、TB310Gを接続したDAIV-NG5810M1-M2S5からCrystalDiskMark 6.0.2を実行して転送速度を検証した。ただし、スイッチを介さずIPを固定した直結で検証していることを特記しておく。



 まず、比較対象として1GbE接続時を見ていくと、シーケンシャルリードは118.5MB/s、同ライトは118.3MB/sだ。毎秒118MB前後というのは1000Base-T接続時の実効値の最大と言えるあたりだろう。



 そして10GbE接続に切り替えたところ、シーケンシャルリードは毎秒241.9MBへ、同ライトは毎秒215.4MBへ向上した。これだけで、同じファイルを転送するのに要する時間をほぼ半分まで短縮できることを意味している。



 また、リード/ライトで数値が大きく異なるように、これは10GbEの帯域上限には達していない。この場合のボトルネックはNASおよびそれに搭載したHDDとその構成の性能ということになる。こちらは比較的簡単に改善できる。HDDを増やしたり、SSDに換装したりすればいい。



 続いてSATA SSDにした結果が下記の通りだ。SSDにすると、HDD以上に10GbEの効果が大きいのが分かる。



 コストや容量よりも速度と言うならば、数GBのファイル転送を日常的に行っているなら、SSDだけのNASを構築するのが効果的だ。SSDなら数台ですぐに10GbEの帯域上限に達すると思われるが、それで得られる速度は飛躍的に業務を改善する。



●10GbE導入を検討すべき時、ノートPCならThunderbolt 3がキモ



 DAIV-NG5810M1-M2S5のようなThunderbolt 3対応ノートPCを用意していくことは、将来の高速インタフェースに対する備えとして有効だ。今回は有線LANの10GbEだったが、これが無線LANでも同様で、Wi-Fi 6以降、さらに高速化して本格的な10Gbps無線の時代が来た場合のアップグレードパスとなるだろう。



 10GbE機器については、今回使用した機器についてはそれなりにまだ高価だし、実際の運用ではスイッチも必要になる。とはいえ、冒頭で触れたように大容量の動画や高画質の写真データを大量に扱っていたり、日常的に数ギガのファイルをファイルサーバで運用していたりする業務では、今回の検証の通り転送時間を短縮し、日々の負担を軽減できる。



 それ以外でも、部門あたりで大量のデータを使っているならば、今後を見据えてThunderbolt 3対応PCや、10GbE対応の周辺機器の導入検討をし始めてもいい頃合いだ。その間に、より安価なモデルが登場し、Thunderbolt 3対応PCの選択肢が増えていくことも考えられる。コストと業務効率改善のメリットをよく考え、よいタイミングが来た時、導入を検討してほしい。


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