ミウラ、ディアブロ、クンタッチ! ランボルギーニ博物館探訪記

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2020年01月21日 11:32  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
2019年の暮れに開催された「ランボルギーニ ・クリスマスドライブ」では、イタリアはサンターガタの本社に併設されたミュージアムも見学できた。リニューアルを機に「MUDETEC」(Museum of Technology)に名称を変更したばかりのこの施設は、ランボルギーニの革新的な歴史をインタラクティブに明らかにするだけでなく、技術やデザインの将来について紹介するものになっている。

○ランボルギーニ ・ミュージアムを訪問

建物1階で受け付けを済ませた我々の目に飛び込んできたのは、1964年にデビューしたランボルギーニ初の市販量産車「350GT」だ。280馬力を発生する3.5リッターV12エンジンをフロントに搭載したこのモデルは、ゼロヒャク加速(停止状態から時速100キロへの加速)6.8秒、最高時速250キロを誇ったグランツゥーリスモ。スーパーレッジェーラ方式の軽量アルミ合金製ボディは真紅に輝いており、今にも動き出しそうだ。現在、ミュージアムでは「Future Shapes since 1963」という歴史的モデルを展示する企画を開催中とのことで、1960年代のものとしてはこのほか、筆者の大好きな濃紺の2+2、4.0リッターV12搭載モデルの「エスパーダ」と、ゴールドに輝くボディを持つ「ミウラP400S」が展示されていた。

1970年台のモデルとしては、跳ね上げ式“ガルウイング”ドアと縦置きミッドシップレイアウトを持ち、日本でもスーパーカーブームの主役となったカウンタックこと「クンタッチ」に出会えた。1980年代のモデルでは、今日の高級SUVブームに先鞭をつけた「LM002」が。派手なイエローの巨大なボディには、440馬力を発生する5.2リッターV12エンジンを搭載しており、トラックのようなボディを時速200キロ以上で走らせることができたというから驚きだ。

1990年代の代表選手は「ディアブロGT」で、カウンタックをさらに進化させたボディのミッドに搭載した575馬力を発生する6.0リッターV型12気筒は、時速338キロの最高速度を誇った。

2000年代に入ると、ボディなどに超軽量なカーボンを使用することが流行となる、博物館では、2010年にコンセプトモデルとして発表したフルカーボンボディの「セストエレメント」を紹介。こちらは5.2リッターV型10気筒エンジンを搭載し、最高時速300キロオーバーを実現しており、今日の「ウラカン」のルーツとなったモデルのようである。また、2014年に登場したプラグインハイブリッド技術のコンセプトモデル「アステリオン」は、滅多にお目にかかれないモデルとして展示されていたが、2016年の「チェンテナリオ」を経て、最新の「アヴェンタドールSVJ」「ウラカンEVO」「ウルス」へと続くランボルギーニ車の流れを感じ取ることができた。

そのほかの展示物としては、歴代モデルの木型や、「ミウラ」「エスパーダ」の当時の取扱説明書などがあり、見ているだけで幸せな気分になる。

○ランボゆかりのホテルに宿泊

クルマ好きにはたまらない施設のランボルギーニ・ミュージアムとともに、今回、我々が滞在したホテルの3泊目に割り当てられたゲストハウス「ロカンダ・デル・トロ」(Locanda del Toro)も紹介しておきたい。ボローニャ空港にほど近い田園地帯にあるこのホテルはかつて、ランボルギーニ創業当時の開発担当エンジニアであるパオロ・スタンツァーニ氏がオーナーだった施設なのだ。惜しくも2年前に他界した彼の代表作は、あの「ミウラ」であり、そのほかにも「エスパーダ」や「カウンタック」の開発を担当していたことは、知る人ぞ知る事実である。

ホテルのフロントには、彼が設計したミウラの写真や当時のニュース記事の切り抜きが飾られ、ダイニングにはミウラやカウンタックの設計図、そして2階の居間には若かりし頃のスタンツァーニ氏の姿とともに、1965年の350GTや、1973年のカウンタックの製造現場を写した写真が掲げられている。また、1968年に開催されたF1イタリアGPのホンダピットを、エスパーダに乗ってスタンツァーニ氏が訪問した時の写真などもあり、誠に興味深い。

ホテルの現オーナーであり、スタンツァーニ氏の娘であるキャラ・スタンツァーニさんに話を聞くことができたので、筆者が1992年のF1日本GPで撮影したリタイヤ直後のアイルトン・セナの写真をお見せすると、「この写真は鈴鹿サーキットで撮影したんですか? 私も若い頃は、F1ミナルディチームの一員として世界中を回っていました。鈴鹿サーキットには何度も行っています。ホンダや日本人の友人もたくさんいるわ」とのこと。やはり、親子そろってクルマ大好きの一家なのである。

ボローニャには前出のランボルギーニ本社工場を始め、創業者のフェルッチョ・ランボルギーニ・ミュージアム、二輪のドゥカティ・ミュージアムがあり、近隣のモデナにはフェラーリとマセラティ本社のほか、エンツォ・フェラーリ・ミュージアムやパガーニ・ミュージアムなどがある。ロカンダ・デル・トロを起点にこれらを訪問すれば、クルマ好きはお腹一杯になるに違いない。

○著者情報:原アキラ(ハラ・アキラ)
1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。(原アキラ)
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