「猫背」は子どもの故障に直結! 1日1時間以上のゲームで故障発生率は3倍に

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2020年01月21日 12:04  ベースボールキング

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19日に「第3回神奈川学童野球指導者セミナー」が横浜市内で行われた。横浜高校元監督の渡辺元智氏の挨拶で始まったセミナーには、スポーツ障害を専門とする医師、理学療法士、元野球日本代表「侍ジャパン」の山中正竹強化本部長、そしてヤクルトスワローズの斎藤隆投手コーチ、MLBシンシナティレッズへの入団が決まった秋山翔吾選手などが貴重な講演を行った。その中から、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーでありトヨタ記念病院の理学療法士である坂田淳氏の講演の内容を詳しくお伝えします。



坂田氏は講演の中で「ピッチャーの投球の際に肘にかかる負担」について以下のように分かりやすく説明してくれた。
「一般的に良いフォームで投げている少年野球選手の場合でも肘には硬式球60個分の重さがかかっている。これがプロ野球選手になるとその負担は150個分となり、良くないフォームで投げている少年野球選手の肘には120個分の負担がかかっている」

つまりフォームが悪い子の肘はフォームが良い子の倍の負担がかかっていることになる。しかし、見方を変えれば良いフォームで投げることができれば肘の負担は半減することもできるということだ。

悪いフォームとは、具体的には
(1)早めに体が倒れるあるいは状態が突っ込むことによって「肘が下がる」投げ方
(2)体が開くことによる「手投げ」
などが挙げられる。

ではどのようにして悪い投げ方からくるケガのリスクを減らすことができるのか?
それにはまず体を丈夫にすることが大事だと坂田氏は言う。
まず、投球による故障を式にすると以下のようになる。

投球負荷 × 球数 × 頻度体
ーーーーーーーーーーーーー
丈夫な体

つまり、分母である体が丈夫であればあるほど、分母が大きくなるわけであるから故障のリスクを低減させることができるようになるということなのだ。

では子ども達が丈夫な体を手に入れるためには何をすればいいのか? 今の時代であれば子どもの「猫背」を改善することなのだという。猫背である子はそうでない子に比べてケガをするリスクが2.5倍も高いそうだ。
猫背の原因はスマホやゲーム機器の長時間使用にあると思われるが、ゲームを1日1時間以下の子とそれ以上の子を比較すると、故障発生率が3倍にもなるという。つまり、それだけ猫背は子どもたちの故障に直結しているのだ。

故障の原因は猫背だけではなく、体力低下も影響している。肩が硬い子は2倍、下半身が硬い子は2倍、バランスが悪い子は1.5倍、姿勢が悪い子は2.5倍。この4つが全て悪い子は15倍も故障発生リスクが高くなる。

是非、この冬の間にこれらの問題をクリアできるようにトレーニングを行って欲しいと坂田氏は話す。
ちなみに神奈川学童野球指導者セミナーHPにてこれらの問題を解消するためのウォーミングアップ動画を公開中ですので、ぜひ参考にしてみてほしい。

▼投球障害予防プログラムの動画

(「神奈川学童野球指導者セミナーHP」より)

ただし、これらのトレーニングは非常に地味で楽しいものとは言いにくいものでもある。子ども達はすぐに飽きるかもしれないし、長期間にわたってやる気を維持するのは難しいかもしれない。だからこそ、指導者や父兄の皆さんにはこういったトレーニングがケガを防ぐことに繋がることを理解し、その重要性を子ども達に根気強く伝えることが非常に大切になってくる。


■トレーナビリティの理解
オフ期間に走り込みや筋トレなどを行うチームも多いと思うが、11歳以下のカテゴリーでは持久力や筋力を鍛えてもあまり効果はないのだという。年齢別に鍛えるべき項目と内容をまとめると以下の用になるので参考にしていただきたい。

【高校球児〜シニア】
項目:専門体力
・スピード、筋力、パワー

【13歳以下】
項目:基礎体力
・柔軟性、持久力、筋力(自体重)

【11歳以下】
項目:柔軟性、バランス、体の使い方
・バランス、柔軟性、姿勢
・正しい体の使い方

【9歳以下】
・様々な動きや遊び

ちなみに「タオルスクワット」や「うんてい」は胸が開くようになり姿勢が良くなる効果が見込める(猫背が改善されて故障リスクが低下する)そうだ。
総じてストレッチだけではなく全身運動をさせることで肩、肘の故障が減ったというデータもある。

この冬にまずは子ども達の姿勢をチェックし、猫背を治すことから故障を減らして欲しい。(取材・写真/ヤキュイク編集部)

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