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プロレス界で今“昭和の決め技”が注目されている

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2020年01月21日 17:00  AERA dot.

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写真藤波辰爾の蹴りを捕らえ、逆ドラゴンスクリューからサソリ固めの態勢に持ち込む長州力 (c)朝日新聞社
藤波辰爾の蹴りを捕らえ、逆ドラゴンスクリューからサソリ固めの態勢に持ち込む長州力 (c)朝日新聞社
 五輪イヤーで盛り上がる2020年だが、プロレス界も勢い良く動き出した。年越しから聖地・後楽園ホールでは連日興行。そして隣接する東京ドームでは新日本プロレスが恒例のビッグマッチを1月4、5日の2デイズ開催した。

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 今年の新日本・東京ドーム大会もさまざまな話題を提供してくれた。王座移動などもあり新時代を予感させると同時に、歴史の重さを感じさせた。なかでも長年使われてきた基本的である渋めな関節技が脚光を浴びた感がある。

 WWEのスターだったクリス・ジェリコが棚橋弘至を破った『ウォール・オブ・ジェリコ』もそうだ。引退する獣神サンダー・ライガーが使い会場が沸いた『吊り天井固め (ロメロ・スペシャル)』や『弓矢固め(ボー・アンド・アロー・バックブリーカー)』など。これらは長年にわたって若手選手も大事にしてきたもので、基本に沿った、いわゆる「反らせ系技」(便宜上命名)だ。

 ジェリコが使用する『ウォール・オブ・ジェリコ』は、国内では、『逆エビ固め(ボストンクラブ)』として有名。古くは力道山時代から使われていた伝統的な技で、ジャンボ鶴田や藤波辰爾にも好んで使用してきた。新日本・ヤングライオンや全日本若手の前座試合でたびたび決め技としても使われた。ジェリコは若手時代に日本マットを主戦場にしていたこともあり、基本とも言える『逆エビ固め』を重視しているようにも思える。

『逆エビ固め』はうつ伏せ選手の両足を脇に挟み、腰を落とし、そして反らす。一見すると単純にも見える技だが、受ける側は体幹などの強さとともに、辛くても折れない強靭な心が必要で、まさにレスラーに欠かせない技。片足のみ(片逆エビ固め)や、太ももを抱え込む形など、派生型も数多い。

『逆エビ固め』で印象的だったのはスタン・ハンセン。剛腕で相手をなぎ倒す『ウエスタン・ラリアット』が代名詞だが、AWA世界ヘビー級王座を初戴冠した時には『逆エビ固め』が決め技となった(85年12月29日 vsリック・マーテル戦)。

 この時のハンセンはレフリーの死角をつき、コーナーのバックルに頭をつけながら相手選手の身体を反らせ続けた。厳密にいえば反則によるタイトル移動。しかしその後の数多くのタイトルマッチや日米における大活躍を考えれば、歴史に残る決め技だったと言える。

『サソリ固め(スコーピオン・デスロック)』も『逆エビ固め』の派生形と言える。相手選手の両足間に自らの片足を入れクロスさせるように固めた状態で反らせる。

 日本マット界での第一人者は長州力で若手時代から持ち技にしていた。名勝負数え歌、と呼ばれた藤波との勝負では、この技がたびたび名場面を演出。藤波も長州相手に『サソリ固め』を用いることもあり、「掟破りの逆サソリ」と呼ばれた。

 また『サソリ固め』はWWEのスターだったブレット・ハートが名付けた『シャープシューター』とも呼ばれる。しかし『シャープシューター』は重心が高い位置で固めるため、『サソリ固め』とは異なるという意見も多い。

『サソリ固め』で忘れてはならないのが、全日本などで活躍した石川孝志。決して派手なタイプではなかったが、相撲上がりの強靭な下半身、基本に忠実なスタイルは安定感抜群。全日本プロレス時代、ジャパンプロレスとの対抗戦(86年3月13日、vs小林邦昭)では、場外へのブレインバスター敢行など、時折みせる破天荒なファイトも印象に残った。

 石川は『サソリ固め』を決め技というより、つなぎの形で使用することが多かった。腰をどっしり落とした技は、長州のものとは違う色気を感じさせたものだ。

『サソリ固め』から派生した技もいくつか存在するが、知名度が高いものは『テキサス・クローバー・ホールド』。名前からもわかる通り“テキサスブロンコ”ことテリー・ファンクの得意技で、国内では天龍源一郎などが使用していた。

 近年、再びこの技に注目を集めさせたのが棚橋。決め技で使用することは稀だったが、試合終盤の重要局面でたびたび使用していた。しかし1月5日、ジェリコに敗れた試合では1度も見せなかったため、試合後はネット上を中心に「なぜ使用しなかったのか?」と議論も巻き起こったほどだ。

 そして東京ドームで引退試合をおこなった獣神サンダー・ライガーがみせた2つの「反らせ系技」も場内を沸かせた。

 1つは、『吊り天井固め』。うつ伏せ状態の相手両足を自らの両足でフック。そのまま相手両腕を持って後ろへ倒れ込むように吊り上げる。「シャベ」と呼ばれる、メキシコ系選手がたびたび使用する複合関節技だ。

 ライガーとしてのデビュー当時は空中殺法を多用。全盛期からは叩きつけるボム系や掌底などの打撃系が主流だった戦いの中で、リズムを変える重要な技として使い続けた。かつてはタイガーマスクなども使用したこの技には、マスクマンとしての誇りも感じる。

 もう1つが『弓矢固め』。同じくうつ伏せ状態の相手両足を組むように固め、同時に首を持ち、自らのヒザを相手腰あたりに当ててひっくり返すようにして反らせながら持ち上げる。

 この技はアントニオ猪木の代名詞でもあった。相手の両足を片足でフックして後ろへ倒れ込む『インディアン・デスロック』。そこから素早く移行しての『弓矢固め』というフルコースは「闘魂=猪木イズム」そのもの。ライガーに流れる新日本のDNAが溢れ出るような錯覚に陥った。

 格闘技、とくにプロレスでは派手な技に目が奪われがちだ。「にわかファン」など、プロレス入門者などにとっては、見映え良い技がわかりやすい。しかし勝負の分かれ目、そして見どころを左右するのは、レスラーの基本が生かされる技であることが多い。一見地味に見える技こそ、実は一撃必殺技なのだ。

「頭から落とすだけがプロレスじゃない」と語っていたレスラーがいるのもよくわかる。

 今年は東京五輪が開催されるが、テクノロジーなどの発達で各競技とも技術に加え、戦術や用具などの進歩が著しくなっている。しかし周辺環境にどのような変化が起きようが、勝負は局面での「一対一」の積み重ねであることに変わりはない。そこでは個々が身につけた基本技術が大きくものを言う。

 プロレスも同様だ。会場、そしてテレビ観戦の際には「反らせ系技」や「関節技」など基本に準じた地味に感じる技にも注目してほしい。そこに込められた意味や必要性を考えるだけで、また違ったプロレスのおもしろさ、奥深さなどを感じるはずだ。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍やホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!オフィシャルページにて取材日記を不定期に更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。

このニュースに関するつぶやき

  • 渋めな関節技のコイツのチョイスがにわか丸出し
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  • このライターさんのプロレスネタは言いたいことわかるけどなんかズレてるんだよなぁ〜弓矢固めはともかく、ロメロスペシャルは地味じゃないやろw
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