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制服リユース、お金だけじゃない価値「安心して託せる場所」提供 フリマアプリは「誰が買うかわからない」

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2020年01月22日 07:00  ウィズニュース

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写真リユースショップで提供されている制服=朝日新聞
リユースショップで提供されている制服=朝日新聞

年が明け、入学シーズンが近づいてきました。進学を控えて新しい制服に袖を通す人も大勢いることでしょう。最近、話題なのが、卒業して使わなくなった制服を寄付などで集め、格安で提供する「リユース」の取り組みです。古着ならメルカリでもいいと思いがちですが、そこには、リユースならではの魅力があるようです。「ほぼ制服なし」の学生時代を過ごした記者が、リユースサービスの価値について考えました。(朝日新聞記者・佐藤瑞季)

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都会で「制服なし」の場合
「ファッションモンスター」。私の中学・高校時代のあだ名です。

通っていた私立一貫女子校の服装規定は「スカートであれば何でもOK」。当時の校長は「もっとおしゃれを楽しんで」とも言ってくれました。

全校生徒がほぼ全員紺色の靴下にブレザーにチェックのスカートという「なんちゃって制服」を着用するなか、私は靴下、スカート、ワンピース、ポロシャツにいたるまで、好きな赤色でコーディネート。ゴールド、ピンク、縞模様や水玉のワンピース、白いふわふわのコート……。思い出したらきりがない。全校1200人が紺の靴下のなかで一人だけ真っ赤な靴下という日もありました。そりゃ、あだ名つきますよね。

私自身は楽しんでいましたが、社会人になって考えたのは金銭的負担です。実際、両親は圧倒的に私服のほうがお金がかかったと言います。

「格差」を子どもに感じさせないように衣装を用意するのは家庭に大きな負担なのかもしれない。おしゃれを楽しみながらも、そんな視点が持てたらよかったと今になって思います。

そして、私の「なんちゃって制服」は、高校卒業後、「環境に優しい」という理由でメルカリで販売。知らない誰かの手に渡っていきました。

田舎で「制服なし」の場合
今回、一緒に取材をした熊井記者も、制服には縁遠い一人です。

着用歴は田舎の町立中学の3年間だけ。妹2人に譲り渡しましたが、ブレザーとベスト、スカートにシャツ2〜3枚で数万円。運動着の上下、上履き、カバンも併せ、揃えると結構な額になりました。

進学した県立高校は完全私服で、ピアスも髪を染めるのもパーマも自由。「節度は自分たちで判断して」というものでした。当時はスカートが苦手で、寒冷地ゆえ冬は厚着が必須。私服は大歓迎でした。

上質なブランドものに身を包む人、毎日ほぼ同じスタイルを貫く人、個性は様々。体育の授業で、中学の運動着を着ている人もいたそうです。

で、トータルコスト。制服の学校の生徒が休日に着る服も考慮すると「どっこいどっこい」と思いたいけれど、いくぶん制服よりお金がかかったでしょう。

服装、別の環境だったら?
私も、熊井記者も、服装について人と比べてどうこういう風潮はありませんでしたが、別の環境だったら違っていたかもしれません。

制服のリユースの取材を通して、そんな思いが強くなりました。

「制服が高すぎる」「価格の地域差がある」という指摘は以前からあり、全国各地で様々なかたちで制服のリユースの取り組みが進んでいます。

取材した三つのリユースの取り組みには、それぞれ特色がありました。

千葉県船橋市の「ふなばし制服バンク」は、生活が苦しい家庭に思いを向けて、徹底して低価格にこだわっていました。寄付で制服を受け付け、販売は学ランとブレザーは3500円、スカート2500円、ズボン2千円……といった具合です。

発案した団体職員の及川恵さん(41)は、「貧困家庭の親は地域とのつながりが希薄だったりもする。そういう人でも平等にお下がりの制服を手に入れられるようにしたい。活動を通じて、子どもたちだけでなく困っている親も支えたい」と話していました。

制服の販売だけでなく、保護者や子どもたちを支えることができるというのは心強いです。

「誰が買うのかわからない」という不安
実は、「なんちゃって制服」をメルカリで売った際、「誰が買うのかわからない」という不安がありました。「安心して制服を託せる場所」にこだわるのが、千葉県市川市に2017年にオープンした学生服・学用品リユースショップ「ゆずりばいちかわ」です。

信頼できる人が責任を持って扱って、制服の寿命を延ばしてくれます。一人で切り盛りするのは、2児の母である石垣瑠美さん(33)。一昨年秋に起業しました。

「制服を譲ってくれる人に紐付いている学校の情報にこの店で接することができるようにして、地域の役に立ちたい」と話していたのが印象的でした。

また、千葉県松戸市の公立中学校では、「学校ぐるみ」で制服リユースを進めていました。制服シェア、という感覚でしょうか。

制服を託す人、仲介する人、受け取る人……地域ぐるみで温かい気持ちが紡がれていました。

「制服リユースショップ」の経営ノウハウは、同じ志を持つ人の間で共有もされています。「ゆずりばいちかわ」の石垣さんは起業前、助言をもらったのが、この道の「先輩」である「ふなばし制服バンク」の及川さんでした。

同業者がライバルではなく同志になる。制服には縁のなかった私でも応援したくなる。制服リユースの魅力は、そんな優しさにあるのかもしれません。

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