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Slackが“部室”に? N高、380人が所属する美術部コミュニティーの運用法

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2020年01月22日 15:03  ITmedia NEWS

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写真N高美術部の日常会話
N高美術部の日常会話

 角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)には全国各地から生徒が集まっている。インターネットを通して授業を受ける「ネットコース」の場合は、物理的な教室を設けるのが難しいため、コラボレーションツール「Slack」が教室のような役割を持つ面もある。生徒と教職員の間のコミュニケーションやホームルームがSlack上のテキストで展開されるのだ。



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 それは部活動でも例外ではない。N高にはネット上で活動する「ネット部活」がある。中でも美術部は所属人数が380人にもなる同校最大の部活動だ。そんな美術部では、気楽に絵を描く部員から本気でプロを目指す部員まで、さまざまな生徒がイラストの投稿や部員同士の交流などを行っているという。



 住む場所も目的意識も違う多数の生徒が集う“部室”と化したSlackはどのように使われているのか、部員やスタッフに話を聞いた。



●Slack運用ルールは「ポジティブな反応を心掛ける」



 N高美術部は、そのほぼ全ての活動がSlack上で完結する。生徒は日頃、イラストやアニメ、ボーカロイドなど好きな話題について談笑する他、好きな時間に自分の作品をアップロードして、いい点を褒め合ったり改善点について話し合ったりするといった活動をしているという。



 月に2回程度、プロのイラストレーターやデザイナーとして活動している顧問の先生に作品を見てもらい、細かく添削してもらう機会もある。イラストの描き方やデザインといったテクニックだけでなく、場合によってはプロの現場に出るために必要な心構えや現場の“空気感”も教えてもらえるとあって、商業デビューを目指す生徒たちからの人気は高い。添削目当てでN高に入学した生徒もいる。



 「美大受験のため美術の予備校にも通っていますが、そこでは高校卒業認定が取れないので、N高に入学しました」(生徒)



 こうしてみると、Slackを使っているという点を除けば一般的な美術部と大きな差はないように思える。放課後に物理的に存在する部室に行き、絵を描いて見せ合ったり談笑したりして、たまに顧問の先生にアドバイスをもらうというのと、大きくは変わらない。



 しかし、380人もの部員がいるとなれば当然人間関係のトラブルが発生する可能性もある。部活動の雰囲気を良い状態に保つためのルールについて、N高職員で部活動責任者を務める秋葉大輔さんは「できるだけポジティブな反応を返すよう指導しています」と説明する。



 N高美術部では、生徒はペンネームでの活動が許されている。さらにSlack上での発言は強制されるわけではなく、見ているだけでもいい。ただし、攻撃的・否定的な投稿は基本的に禁じられている。



 ポジティブな反応とは、例えば投稿されたイラストに対して改善点を挙げるとき、「ここが駄目、あれが駄目」と指摘するより、「ここはこうするといい、もっとこうすればよりきれいな絵になる」といった言い方をすることだ。



 「教職員がSlack上で生徒の会話に積極的に入っていくことはあまりないですが、必要に応じて個別チャットで生徒の話を聞くこともあります」(秋葉さん)



 Slackのチャンネル(グループトーク)機能も活用されている。活動とは直接関係ない雑談をするためのチャンネルや海外文化に興味のある人が集まったチャンネルなどがあり、それぞれ好きな場所でコミュニケーションできるようになっている。



●「実際に会わなくてもイラストを見れば分かる」



 生徒同士の会話だけでなく、生徒と教職員との会話もSlack上で行われる。実際に顔を合わせて会話する機会はほとんどないため、登校日やイベントなどで顔を合わせるときには互いに「はじめまして」とあいさつする場面もあるという。添削指導も基本的にSlackで行われる。



 特別顧問の濱田順教さんは普段、プロのアートディレクターとしてゲーム制作などを手掛けるスカイリンク(東京都渋谷区)でゲーム用の背景イラストなどを描いている他、講師として物理的な教室で若手イラストレーターの指導も務めている。N高美術部では月に2回程度、イラストの添削や、絵画コンクールにイラストを提出する生徒の指導などを行っている。



 実際に顔を合わせて話し合いながら指導する場合と、チャットでやりとりする中で指導する場合とでは、情報量やコミュニケーションのスピードは変わるが、濱田さんによれば、実際に会わなくても生徒のことは十分に理解できるという。



 「イラストを見れば、線の描き方や色からその絵がどのくらい時間を掛けて描かれたのか、急いで仕上げたのかという背景や、そのときの生徒の体調やメンタルもある程度分かる」(濱田さん)



●テレワークならぬ「テレ部活」 “テレ”ネイティブの社会進出もすぐそこに



 Slackを通して生徒や教職員がやりとりするのもテレワークに近い取り組みといえる。自宅やカフェから活動に参加できるため、従来であれば登校にかかっていた時間も作品作りに使える。



 九州に住んでいる部員は「授業以外のかなり時間は絵を描いて過ごしています。九州に住んでいても好きな時間に活動できて、似た趣味の人とも交流できます」と話す。



 このように、実際に会って活動する以外の部活動の在り方がN高では実践されている。企業が「テレワーク」を導入する際にはトラブルも付き物だが、若い頃からテレコミュニケーションに慣れた「“テレ”ネイティブ」ともいえる生徒たちが、近い将来、企業のテレワークに変化をもたらすかもしれない。



 設立から約3年がたち、卒業生も出始めた美術部。ネット上の部室で活動していた生徒たちが社会に出てくるのももうすぐだ。


このニュースに関するつぶやき

  • 「ポジティブな反応を心掛ける」って、ぺんぎん村で実験してるやつか。実際どんな効果あるんだろう。 あと、似たようなツールが山程ある中でなぜSlackを採用したのか?
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  • slackを友人内で活用させたいんやけど知名度がないアプリのせいか浸透しない。職業訓練校で知り合った仲間と使ってるくらい(´・ω・`) twitterよりも使いやすいのにな。
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