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香港抗議デモ「半殺し兵器使う香港警察」に“紛争解決人”が「まるで内戦状態」

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2020年01月22日 17:00  AERA dot.

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写真1月13日、「香港危機に終わりはあるのか?」と題された東京外国語大のシンポジウムで講演する伊勢崎賢治氏(撮影/加藤夏子)
1月13日、「香港危機に終わりはあるのか?」と題された東京外国語大のシンポジウムで講演する伊勢崎賢治氏(撮影/加藤夏子)
■国際法の盲点をついた残酷な武力行使

 逃亡犯条例改正案を発端として、香港では7カ月以上にわたって大規模な抗議デモが続いている。民主派は普通選挙の導入や、警察の暴力に関する独立調査委員会の設置など「五大要求」を訴えているが、政府は一向に譲歩しない。中国政府の介入のもと、警察隊とデモ隊の衝突は激化し、多数の負傷者や死者を出している。

 香港政府によると、昨年6月にデモが本格化して以降、警察隊は1万6000発もの催涙弾を使用したという。皮膚疾患や呼吸器障害など、催涙弾による影響が疑われる健康被害を訴える市民の声も多い。また、8月11日には警察が発砲したビーンバッグ弾がデモ参加者の右目に命中し、重症に至った。年が明けても衝突は収まらず、元日にも主催者推計で103万人がデモに参加。警察隊は催涙弾や催涙スプレーを使い、排除に乗り出した。

 こうした香港警察による武力行使について「国際法の盲点をついている。(国際的に)戦争、内戦と見せない範囲でできる限り残酷なことをしている」と指摘するのは東京外国語大学総合国際学研究院の伊勢崎賢治教授。国連のPKO幹部として、東ティモールの選挙監視や、アフガニスタンをはじめとした紛争地での武装解除を請け負った経験をもつ“紛争解決人”だ。伊勢崎氏は今月13日に同大で行われた「香港危機に終わりはあるのか?」と題されたシンポジウムで、香港の現実について語った。

「人口約700万人のうち200万人が参加するデモが長期間続けばふつうは“内戦”と呼ぶ。しかし、非常事態宣言はされておらず、香港は“平時”。戦争状態ではないから国際司法は人道に対する罪として取り締まれない。その隙をついて、警察隊はノンリーサルウェポン(非致死性兵器)を使っています。半殺し兵器です。リーサルウェポンじゃないからいい、戦争兵器じゃないからいいというとそうではなくて、ノンリーサルウェポンは人間を確実にハンディキャップのある状態にするから残酷なんです」

 伊勢崎氏によると、平時における武器使用は警察権のSOP(standard operating procedures。標準作業手続き)によって厳格に規定されているという。

「平時において治安をつかさどり、武器の携帯を許されているのが警察。その武力行使は非常に制限されています。それは民主主義において当たり前。たとえばビーンバッグ弾は、脚に撃つからこそノンリーサルなんですよね。それを顔面に撃ったらどうなるか。だから、SOPによって絶対に銃口を肩以上に上げてはいけないと決められているのです。それがまったく守られていない。国内の“防犯”と国際法でいう“戦争”の垣根がどんどん低くなっているんです」

 シンポジウムには、民主派学生リーダーの一人で、SNSで流暢な日本語を駆使して情報発信を続ける周庭(アグネス・チョウ)氏も参加。8月30日に無許可集会への参加容疑で逮捕され、現在保釈中の周氏は海外渡航が禁止されているため、インターネット中継で会場からの質問に応じた。繰り返したのは、「この運動をやめると香港は終わる」という言葉。

「香港政府は中国政府にコントロールされていて、自ら決められない。それが根本的な問題。すでに4000から5000人の学生が逮捕されている。だが、あきらめるとみんな逮捕されるし、逮捕、起訴されると5年、10年、15年収監されるかもしれない。あきらめると未来はないという気持ちでやっている。次のチャンスがあるかはわからないんです」

■デモ本格化後、初の選挙 民主派圧勝の背景は

 11月24日、香港では区議会選挙が行われた。周氏と同じ、民主派学生リーダーの一人である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の立候補が選挙管理当局によって認められないなど、公正な選挙の実施が危ぶまれるなか、民間団体「FIGHT FOR FREEDOM STAND WITH HONG KONG」の呼びかけで国際選挙監視団が組織された。20人のメンバーのうち、日本人で唯一、伊勢崎氏が参加した。香港の選挙をどう見たのか。

「ゲリマンダー(特定の候補に有利になるような選挙区割り)や二重投票、三重投票しまくりのシステムです。投票所には武装警官もいた。監視団は(民主派の)若者の広大なネットワークを使って、選挙の通知が誰も住んでいないアパートにいっぱい届いたり、親中派にどんなおふれが回っているのかという不正の証拠集めをしました」

 選挙妨害や不正が横行し、親中派の勝利が予想されたが、結果は民主派の圧勝。全452議席の8割を超える385議席を獲得した。その背景には、71.23%にも上る高い投票率がある。これは中国返還後で最高だった4年前の前回を約24ポイントも上回る数字だ。

「ゲリマンダーや二重投票の問題も高投票率でのみ込んだ。しかし、今回は勝ったけども、投票率が下がったら次はどうなるか。そういうことも含めてすべて報告書に載せました」

■アメリカとは違う“日本版香港人権法”を

 アメリカでは、香港に高度の自治が認められる「一国二制度」が守られているか毎年検証することをアメリカ国務省に義務付ける香港人権・民主主義法が11月27日に成立。人権を侵した中国政府関係者らに制裁を科せるようにする内容だが、日本をはじめとする国際社会はそれとは違う方法で香港に働きかけるべきだと伊勢崎氏は提言する。

「制裁ではなく、国際法にのっとって起訴をする“日本版香港人権法”が必要。僕はいま、実際にある議員と衆議院法制局に働きかけて具体的な法案づくりをしています。人権という概念を普遍化し、この考え方を定着させる。それが人類の唯一の希望です。僕が香港で見てきたこと、聞いてきたことは明らかに国際刑事裁判所のローマ規程に反する、人道に対する罪にあてはまる。あと数カ月以内に立法化できると思います」

(文/大室みどり)

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このニュースに関するつぶやき

  • 天安門事件みたいに簡単にパパッと片付けられないもどかしさは抱えているんだろうね。
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  • 一国二制度と言っている中国が民主主義を否定しているのと同じだからなぁ。相容れないものを排除に動くのが共産主義の普遍の構図でしょう?
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