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悪質な撮り鉄は「客」じゃない! 鉄道会社社長とプロの「撮り鉄」が本音で激論

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2020年01月22日 17:00  AERA dot.

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写真鉄道写真家の櫻井寛(左)とえちごトキめき鉄道社長の鳥塚亮氏。
鉄道写真家の櫻井寛(左)とえちごトキめき鉄道社長の鳥塚亮氏。
 世間から厳しい目を向けられている一部の撮り鉄のマナー違反行為。業を煮やした鉄道会社の中には、撮り鉄の「排除」に乗り出した企業もある。はたして、鉄道会社と撮り鉄は「共存」できるのか。現役の鉄道会社社長と鉄道写真家が本音をぶつけ合い、解決策を探った。

【激論を交わす現役の鉄道会社社長鳥塚亮さんはコチラ】

撮り鉄を「アホ」と批判したブログの真意

――鉄道ファンのマナー問題はSLブームが起こった1970年代から社会問題化しています。それから40年以上たっていますが、マナーは向上しているのでしょうか。

鳥塚亮:昭和40年代にSLの有名撮影地だった布原信号場(JR西日本・伯備線)だって、殴り合いのけんかになるくらいひどかったですからね。マナーというのは、その時代の基準で変化します。今は殴り合いはしないかもしれないけれど、やはり有名スポットなどに押し寄せる人の数が増えるほど、振る舞いがおかしい人は一定数生まれてしまう。でも9割以上はまともな鉄道ファンです。そういう人たちが「マナーの悪い撮り鉄」として同じように扱われるのは違うと思います。私たち鉄道会社にとって、わざわざ写真を撮りに来てくれる人たちは、自社の「ファン」だと考えています。アイドルグループのファンでもマナーの悪い人はいますよね。でも、事務所はそういう人たちを「教育」してコンサート会場などで安全を確保している。われわれもそうした努力はしていかなければいけないと思っています。

櫻井寛:私はプロの撮り鉄なので、マナーの悪い鉄道ファンには迷惑をしています。自分が撮りたいところでまともに写真が撮れないわけですから。昔から一部の人のマナーはひどかったわけですが、まだあの頃のほうが、撮る側同士でコミュニケーションが取れていたような気がします。何が何でもその場所をどかないとか、注意するとすごい剣幕でキレ始める人というのは、SLブームの頃はほとんどいなかったように記憶しています。

――2018年1月、当時いすみ鉄道社長だった鳥塚さんはブログで、マナーの悪い鉄道ファンに対して「阿呆連中」「言葉が通じない」などと痛烈に批判しました。その内容に賛否両論まき起こり、いわゆる「炎上」状態となりました。こうした発信をした真意は何だったのでしょうか。

鳥塚:ほとんどの撮り鉄は鉄道が好きで、いい写真を撮りたいと思っているだけのはずです。それが一部のマナー違反者のために、撮影現場で罵声が飛び交ってしまう状態になってしまっていたことに強い危機感がありました。人気のレトロ列車「キハ52」は毎週運行しており、「さよなら列車」のように最後の撮影になるわけではない。その日撮れなかったら、翌週に来てもいいんです。それなのに、現場がずっと荒れ続けているのは鉄道会社の社長として絶対に改善しなければいけないと思って、あのブログを書きました。一番迷惑だったのは菜の花の咲く時期に来る「素人」です。線路の中に入ったり、菜の花を踏みつけたり、マナー違反を平気でする。年配の人が多くて、線路を平気で渡れた時代や汽車が扉を開けっぱなしで走っていたのを知っているから、「何が悪いの」という感じなんです。そういう人たちには強い言葉で言わないとわからない。鉄道写真を撮りたい人たちは年々増えているので、分母が大きくなるほど、どうしても変な人がまぎれこんでしまいます。

「車で来る撮り鉄」は鉄道ファンではない

櫻井:僕からみると、そういう人は何が面白くて写真を撮っているのかと思ってしまう。車両の美しさや洗練さを理解しようとせず、何でもいいから撮れればいいという感じで、本当に魅力のない写真を撮っている。僕はプロなので、撮っている姿や角度を見れば出来上がりはだいたいわかりますから。構図や画角などをアドバイスしてあげたいくらいです(笑)。でも、そういう人はすごくかたくなに「ここから撮るんだ」と譲らない。「そこは線路の側溝で危険だからやめてください」と言っても聞かないで居座り続けて、捕まった人もいました。レールの真ん中にビデオカメラを入れて通過する列車を真下から撮ろうとしている人もいましたね。その時は、周りの人と一緒に「危ないから絶対にやめるべきだ」と注意したら、舌打ちしながら去っていきましたが。

鳥塚:鉄道マニアは物質が相手だから、コミュニケーションを取れない人が入り込む余地が大きいのかもしれないですね。スポーツファンやアイドルファンは皆で応援して楽しもうという意識が生まれやすいけど、撮り鉄は「対鉄道」という世界に没頭して、周りが見えなくなるのかもしれない。

櫻井:鉄道には視野を狭くさせる、魔物のようなものが潜んでいることは事実だと思います。飛行機マニアや船マニアとは明らかに違う気がします。たとえば、飛行機はいくら頑張っても手が届かないし、滑走路への立ち入りもまず不可能です。鉄道はその距離が近いので、「もっと頑張って近寄れば、もっと迫力のある写真が撮れるはず」という意識になりやすく、周りが見えなくなる人が出てくるのかもしれません。

鳥塚:その話を突き詰めると、輸送事業者側の責任として「何でそこに柵を設けなかったのか」という話にもなるのでとても難しい。いくら線路内立ち入り禁止と書いてあっても「線路との間に柵があれば俺だって入らなかった」という人はいますからね。だから、JRなど大都市近郊の路線はすべて線路脇に柵を設置しています。列車密度、輸送密度が高いこともあるけれど、それができるのはお金があるからですよ。正直、われわれには無理です。

櫻井:でも、ドイツでは時速300キロで走る高速新幹線でもほとんど柵はありません。その気になれば線路の横断もできるけど、事故があったという話は聞きません。

鳥塚:だだっ広い麦畑のようなところを走っていきますからね。

櫻井:フランスの鉄道にも柵はありますが、動物よけのための背の低いものです。乗り越えようと思えば越えられるし、レンズも出せるくらいの高さです。つまり、鉄道に対する文化の違い、成熟度の違いだと思います。たとえば「瑞風」や「ななつ星」などスペシャルな列車を撮るときは僕も必死ですが、やっぱり撮った後には「ああ、素晴らしい車両だったなあ」と感動します。でも周囲を見ると、ほとんどの人が無言で立ち去ってしまう。車で撮影に来ている人なんて、次の撮影現場までダッシュで向かっている。鉄道に対して、何の感動もないの?と思ってしまいます。

鳥塚:車で来る人は(列車の)追っかけで必死ですから。

――櫻井さんは、2年前の『アサヒカメラ』の取材に「悪質なことをするのはだいたい車で来る人」と答えています。その印象は変わりませんか。

櫻井:変わりません。地方の撮影スポットに車で来る人の多くは、公道に駐車をします。まず、これだけでも迷惑行為です。それから、車に大きな三脚や機材を積んで運び、場所を占領する。たまに沿線の木を切るなどの不届き者もいますが、のこぎりや斧を持って電車に乗る人はいません。車で来るからこそ、そんな荷物が運べるのです。僕は電車で移動するし、撮影では三脚も使いません。なぜなら、鉄道撮影で使える1人分のスペースは自分の足を広げた分だけ、という考えだからです。鉄道は切符1枚につき、使える座席は1つだけです。いくら切符を買っても、勝手に2人分、3人分を使う権利はないのです。そもそも、この人たちはその地域の鉄道に1円も落としていないわけです。北海道や九州で東京、大阪ナンバーに乗っている撮り鉄を見ると、僕ですら腹が立ちます。現地の鉄道員の方はもっと腹立たしい気持ちになっているはずです。

鳥塚:はっきり言って、電車に乗らない撮り鉄は鉄道会社からすれば、お客さまではありません。そういう人に限って「俺たちは客だぞ」という顔をして、鉄道員に横柄な態度を取る。そういう人は来てもらわなくてもいいんです。ただ、私たち地域の鉄道会社は、直接的に鉄道運賃収入に結びつかなくても、その地域に人が来ることが、何らかの形で地域にプラスになると思っています。鉄道のファンが地域のファンになってくれて、いい写真を撮って広めてもらえれば、沿線の地元住民も喜びます。だからこそ、たとえ車で来る人でも排除はしません。その代わり、駐車をするなら地域の人に一声かけてほしいし、いい写真を撮って、地元住民とコミュニケーションを取ってほしい。そうすれば住民とのトラブルも減っていくはずです。

(取材・構成/アサヒカメラ編集部・作田裕史)

※『アサヒカメラ』2020年2月号より抜粋。『アサヒカメラ2月号』では撮り鉄のマナー向上改善策などについても、お互いの立場から熱く語っています。また、アサヒカメラの独自アンケートで判明した撮り鉄の「悪質マナー違反行為」の最新事例も掲載。全6ページにわたって詳報しています。

このニュースに関するつぶやき

  • クソでバカで迷惑ばかりかける一部の撮り鉄もどきは鉄道警察隊に引き渡せww鉄道警察隊ができた由来しってる??朝鮮人が大暴れして手に負えなかったからだよwww
    • イイネ!6
    • コメント 5件
  • そのとおり、列車を撮影するのなら、列車で来るべき。
    • イイネ!121
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