Apple TV+オリジナル作品『サーヴァント』、盗作として訴えられる 監督は真っ向から否定

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2020年01月24日 07:01  リアルサウンド

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『Servant』オフィシャルトレーラーより

 2019年11月にサービスを開始したオン・デマンドの動画ストリーミングサービスApple TV+。精力的にAppleオリジナルシリーズをリリースしており、その一つがサイコスリラー『サーヴァント ターナー家の子守』(原題:Servant)だ。


(参考:Apple TV+は低価格が脅威、Apple Arcadeは『No Man’s Sky』に期待? 海外メディアの評価とは


 しかし、同作が『ザ・トゥルース・アバウト・エマニュエル』の盗作だとして、映画監督のフランチェスカ・グレゴリーニ氏は2020年1月15日、ロサンゼルスの米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所で著作権侵害の訴訟を起こした。


 グレゴリーニ氏は、Apple、製作したM・ナイト・シャマラン監督と同監督の製作会社ブランディング・エッジ・ピクチャーズ、共同製作者トニー・バスギャロップ氏を相手取り、損害賠償とAppleが得た利益の支払い、配信の差し止め命令を求めている。


・争点は著作権侵害だが、ジェンダー差別の問題も
 『Vice』は「『サーヴァント ターナー家の子守』に関するほとんど全てが『ザ・トゥルース・アバウト・エマニュエル』からの盗用だ」という、フランチェスカ・グレゴリーニ監督の主張を紹介し、明らかに問題があるのでは、と指摘している。


 さらに相違点は、『サーヴァント ターナー家の子守』が男性チームにより作られたこともあってか、男性目線が強く出ており、子供を亡くした女性への同情という側面がなくなっているということだ。


 争点は著作権侵害だが、ジェンダー差別の問題も浮かび上がってくる(参考:https://www.vice.com/en_us/article/z3bnq8/m-night-shyamalan-servant-is-being-sued-for-ripping-off-a-2013-francesca-gregorini-film)。


・M・ナイト・シャマラン監督は、真っ向から否定
 両作品共に、17歳のベビーシッターと亡くなった赤ちゃんに代わる人形が登場する。


 グレゴリーニ監督は『サーヴァント ターナー家の子守』が『ザ・トゥルース・アバウト・エマニュエル』のプロットと同じ映画表現を使用しており、実質的に似たフィーリング、ムード、テーマになっていると主張している。


 しかしM・ナイト・シャマラン監督らは『サーヴァント ターナー家の子守』が『ザ・トゥルース・アバウト・エマニュエル』のリリースされる以前に、既に製作中だったとし、類似性は偶然だとして否定している。


 『サーヴァント ターナー家の子守』は「Apple TV +」が同シリーズの製作を現在も進めている。


 『MacRumors』は「『サーヴァント ターナー家の子守』がまだ製作途中であり、最終回まで配信されていないことを考えると、問題の映画にどれだけ似ているかは、まだわからない。映画のプロット要素は、かなり異なっているように思われるため、訴訟がどのように進行するかは明確ではない」としている(参考:https://www.macrumors.com/2020/01/15/apple-shyamalan-servant-lawsuit/)。


・雰囲気は確かに似ている、予告版の比較
 2019年11月28日に封切りした、M・ナイト・シャマラン監督の「Apple TV +」デビュー作となった『サーヴァント ターナー家の子守』。


 本作に登場するドロシーとショーンは、子供を亡くしたフィラデルフィアの夫婦だ。気を病むドロシーは、人形を自分の赤ん坊ジェリコだと思っている。そして子守り役として、何やら不気味な少女リアンが雇われる。


 一方、映画『ザ・トゥルース・アバウト・エマニュエル』(原題:The Truth About Emanuel)は、2013年にリリースされたスリラードラマだ。


 17歳の少女エマニュエルは、自分を出産した際に母親が命を落としたことを、罪深く感じている。父親と継母と暮らすが、近所にりんだという女性が引っ越してくる。その風貌が亡き母と瓜二つで衝撃を受け、エマニュエルはベビーシッターをするようになる。しかしクロエというその赤ん坊は、生身の人間ではなく人形だった。リンダは、子供を亡くした後も、人形を我が子と信じ込んでいたのだったーーという内容だ。


・Appleオリジナルは本当にオリジナルか
 ハリウッドでも今回の訴訟は、話題になっているようだ。アメリカの人気映画と同じようなあらすじで、配役を自国の俳優にしてリメイクするというのはよく見受けるところだが、果たして今回の件は、コピー作品と見なされるのか、類似性のある全く別の作品と判断されるのか。


 Appleオリジナルが、本当にオリジナルなのか、訴訟の行方が気になるところだ。


(Nagata Tombo)


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