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娘を売られても警察に連絡できない…ロヒンギャ難民を襲う人身売買被害

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2020年01月24日 08:00  AERA dot.

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写真人身売買業者のアジトに集められた少女たち。業者はロヒンギャたちに「マレーシアに行けば仕事もあるし、金持ちと結婚すれば贅沢な暮らしができる」と声をかける。甘い話につられた難民たちは簡素なボートでの危険な船旅を強いられた後、男性は建設現場などで強制労働を強いられ、女性は娼婦や花嫁として売られる(写真:アリ・カビールさん提供)
人身売買業者のアジトに集められた少女たち。業者はロヒンギャたちに「マレーシアに行けば仕事もあるし、金持ちと結婚すれば贅沢な暮らしができる」と声をかける。甘い話につられた難民たちは簡素なボートでの危険な船旅を強いられた後、男性は建設現場などで強制労働を強いられ、女性は娼婦や花嫁として売られる(写真:アリ・カビールさん提供)
 祖国ミャンマーで迫害されたロヒンギャ難民を、人身売買業者が狙う。男性は強制労働、女性は娼婦に。運良く解放されても、苦しみは終わらない。AERA 2020年1月27日号は、過酷な現状を取材した。

*  *  *
「大事な娘が連れ去られました。まだ10歳だったのに。連絡もとれないし、誰かに助けを求めることもできません……」

 バングラデシュ南東部の都市コックスバザールで避難生活を送るロヒンギャ難民の女性(30)は、2年半前から街で住み込みのメイドとして働いていたところ、バングラデシュ人男性に声をかけられた。

「娘もメイドとして働けるように勤め先を探してあげよう」

 隣国のミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民の多くは、バングラデシュで使われるベンガル語が読めない。この女性もその一人。言われるままに契約書を交わし、娘を男の手に委ねた。しばらくして娘に会うために男を訪ねると、自分がサインをしたのは娘を「売る」契約書だったと告げられた。

「もし警察に言えば、不法就労で逆に告発してやる」

 男は女性を脅迫。それ以来、娘に会えていないという。

 2017年8月、ロヒンギャの武装勢力が警察施設などを襲撃したのを機に、ミャンマー国軍が「掃討作戦」を開始。一般市民も無差別な暴力の犠牲になり、70万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れて難民化した。難民キャンプの住居は竹とビニールシートで造られたあばら家で、食料は支援団体からの配給頼み。常に水不足で衛生状態は悪く、就労も認められない。そのため、冒頭の女性も不法就労だった。

 深刻なのが、人身売買だ。18年12月〜19年6月にIOM(国際移住機関)が認識しているだけでも、都市部やマレーシアなどにロヒンギャが売られる事件が420件発生した。

 難民キャンプに暮らす少女(18)は、マレーシア行きを心待ちにしていた。同じロヒンギャ難民の男が、この少女の父にマレーシアで暮らすイスラム教徒との縁談を持ちかけたのだ。相手の男性は十分な結納金が払えるほど富裕だと聞き、父親も結婚に同意。電話で話した未来の夫は優しそうな人だったと少女は語った。だが、縁談を持ってきた男は、人身売買業者の一味だった。

 19年5月のある夕方、自分と同じ年頃の女性4人と共に車に乗せられ、少女はキャンプを出た。2時間ほど走って着いた建物は、人身売買業者のアジトだった。狭い部屋に少女が20人近く集められていた。

「私たち、売られるのかもしれない」

 誰かが言い出すと、部屋にいた男が「今夜、船でマレーシアに出発するぞ」と冷たく言い放った。静かな部屋に不安に駆られた少女の泣き声が響いた。

 幸い通報を受けて駆けつけた警察によって人身売買業者は逮捕され、彼女たちは解放された。だが少女は言う。

「あの夜のことを思いだすと、いまだに恐ろしくて眠れません。食欲もないし、何もする気がおきないんです。夫にもだまされていたかと思うと早く忘れたいのに」

 人身売買の犠牲者の苦難は、解放後も続く。地元の人権活動家アリ・カビールによれば、保守的なロヒンギャのコミュニティーでは人身売買の犠牲者は「キズモノ」扱いされることもあるという。

「犠牲者たちは『生きて帰ってくるなんて恥知らずだ』とか、『売春婦が我々の評判を落とした』などといった辛辣な言葉で責められる。コミュニティーリーダーに自殺を勧められたという話も聞きました」

 親族も「カネのために娘を売った」と揶揄される。冒頭の女性も、実父に娘を売ったのかと疑われた。そのときのことを思いだすと怒りと悲しみで、彼女の黒い瞳に涙があふれ出た。

「たったひとりの可愛い娘を私が売るはずありません。娘に会いたくてたまらないけれど、人身売買業者に脅されているので、警察に連絡することもできず、どうしたらいいのかわからないんです」

(ライター・増保千尋)

※AERA 2020年1月27日号

【おすすめ記事】日本で売春を強要されたコロンビア人女性が証言する人身売買の闇


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  • 破れ傘呑皺に「お前ら人間じゃない、叩斬ってやる!」と言われてしまうよ。
    • イイネ!1
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