東南アジアのオタクイベントの実態は? 「C3AFA Singapore 2019」に行ってみて見えたもの【レポート】

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2020年01月25日 11:52  アニメ!アニメ!

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東南アジアのオタクイベントの実態は? 「C3AFA Singapore 2019」に行ってみて見えたもの【レポート】
日本のアニメは世界各地で人気ですが、東南アジアにも広がっているのをご存知でしょうか?

たとえば、集英社のマンガアプリ「MANGA Plus by SHUEISHA」は、インドネシアやタイを中心に多くの読者がいます。
また、日本からも多くの作品や声優、アーティストが参加する東南アジア発祥のアニメイベント「C3AFA」が、シンガポール、マレーシア、タイ、香港、日本などアジア各地で開催されています。

今回、2019年11月29日から12月1日までの3日間、シンガポールの「Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre」で開催された「C3AFA Singapore 2019」を取材してきたので、同イベントの体験レポートをお届けします。

■長年愛用された会場「Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre」
世界的な金融センターとしての地位も確立しつつあるシンガポールは、日本から直行便で約6時間半。日本だと冬の寒い時期でしたが、年間通して温暖なシンガポールではこの時期でも平均25〜31度と暑く、空港に降り立つと半袖でも問題ないくらいでした。

中華系民族が大半を占めるシンガポールですが公用語は英語です。ホテルでは中国語を話せる従業員もいましたが、イベント会場でも中国語が通じない(あまり得意ではない)人のほうが多い印象を受けました。


「Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre」は、街の中心にあり、空港からのアクセスも非常に良く、フードコートも充実。出展企業の方がビジネスミーティングをする場合でも、一回会場の外に出てすぐに戻ってきやすいなど、地の利の良さから会場として長年利用されています。



来場者数は約10万5千人にものぼる同イベント。朝9時頃の時点で会場のある建物の外まで入場待機列ができる盛況ぶり。チケット価格によっては10時開始前に先行入場できるため、先行入場組の公式グッズへ向けた全力疾走が見られました。


金曜・土曜・日曜の3日間開催でしたが、来場者のピークは土曜日で、会場内は足の踏み場もないほどの人で敷き詰められ、午後になっても入場するための長蛇の列が途切れませんでした。

インドネシアやマレーシアもシンガポールに近いため、期間中はシンガポール、マレーシア、中国、インドネシア、日本の順番で各国から訪れる人の割合が多かったようです。

■「本物に触れる」体験型を重視するブースやステージ


同イベントは「本物に触れる」をテーマに掲げており、日本の声優やアーティストのステージはもちろん、各ブースにおいても体験型が多く見られました。
しかし、脱出ゲームやクイズ、教室など、各ブースの催しは注目するところでしたが、やはり来場者の一番の関心が寄せられたのはグッズのようでした。




また、企業ブースだけでなく、日本の同人誌即売会のようなクリエイター出展エリアも設けられており、お目当てのイラストを購入する人が多く押しかけるほどの盛況ぶり。その点を見ても、公式グッズやイラストが重要視されており、東南アジアでは作品へのリスペクトの高さが感じられました。


ちなみに、乙女ゲームコンテンツの出展が増えた影響もあって、近年は女性来場者が増えており、現状の男性7:女性3の割合が、もうすぐ男性6:女性4になるほどの勢いだそうです。
スマートフォン向け恋愛ゲーム『A3!(エースリー)』や『イケメン』シリーズで知られる「CYBIRD」のブースに並ぶ女性来場者も、会場で好きな乙女ゲームに出会った経験から、「もっと多くの乙女ゲーム開発会社に出展して欲しい」と呼びかけていました。

■日本食だらけのフードエリア

同イベントの来場者は日本のアニメが好きなオタク層だけでなく、日本のポップカルチャーが大好きなライト層も少なくないそうです。




それが最も顕著に現れていると感じたのがフードエリアでした。基本的にはたこ焼き、焼きそば、餃子、日本風カレー、うなぎなど、日本人に馴染み深いポピュラーな日本料理しか置かれていません。シンガポールの物価から見ても、非常にリーズナブルの値段なので、食べ比べるのが楽しそうでした。



ここで筆者は、超一風堂の「ももピンクラーメン」を食べました。変わった麺の色合いでしたが、しっかりした味付けで美味しかったです。でも、さすがにピンク色のラーメンが日本の王道料理の中に並んでいるのは面白いですよね。




また、東南アジアでも日本のカップヌードルは大変な人気で、アニメコンテンツとのタイアップも多い日清が出展。同イベントが招待したゲストコスプレイヤーを起用した撮影会を開催して、来場者を呼び込んでいました。

→次のページ:コスプレ撮影エリアは実は未公認!?

■コスプレイヤーの取り合い!?独特なコスプレ撮影エリアの撮影ルール
同イベントでは、日本を代表するえなこさんを始め、Baozi & Hanaさん(中国)、Hakkenさん(マレーシア)、Hikoさん(台湾)、Monさん(台湾)、Ritheさん(シンガポール)、Hirotoさん(日本)など各国のトップコスプレイヤーを招待し、ステージイベントやファンミーティングが開催されました。

Hakken 八犬さん(Twitter:@HakkenRyou、Instagram: _hakkencoser_) 岸辺露伴『ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない』
小柔SeeUさん(Twitter:@seeu_cosplay、Facebook:seeu001) 職業神「アイドル」(デザイン 美樹本晴彦)『Job Tribes』
えなこさん@enako_cos SEIKA/C3AFA公式キャラクター

また、メイン会場が4階であるため、3階の室内エントランスが丸ごとコスプレ撮影エリアとして解放され、大勢のコスプレイヤーとカメラマンが参加しました。
しかし、日本の一般的なコスプレ参加可能なイベントと違うのは更衣室がないこと、コスプレやカメラマン参加受付がないことです。

面白いことに、撮影エリアとして利用されている場所は、会場側の好意で開放しているだけで、同イベントの管轄下ではありません。
コスプレイヤーたちが同イベントの宣伝をしてくれることに繋がっているため、黙認されているそうです。そのため、コスプレイヤーやカメラマンの撮影はメイン会場が閉鎖した後も夜22時くらいまで続けられます。連日、会場が暗くなっても人が絶えませんでした。



また、撮影エリアでは窓側や角などのスペースをカメラマンが競って取り合います。ライトスタンドなどの機材を置いて場所取りするのが当たり前で、一度場所を確保したのなら気が済むまで誰かに譲ることはありません。仲の良いカメラマン同士で場所をキープし、コスプレイヤーを呼び込んで交代で撮影する光景が見られました。

場所を確保できなかったカメラマンは、人混みを背景にコスプレイヤーを撮るしかありません。基本的には並んで撮影する習慣がないため、囲み撮影もしくは個別交渉して撮影に持ち込むことになります。

日本だとイベントでは屋外撮影が主流であるため、暗い室内で人混みを背景に撮るのは従来と真逆の撮り方が求められます。カメラのF値開放気味で背景をボカす、またはストロボを最大限活用して周りを暗く人物を明るく撮る撮影方式がフィットします。その点では、機材制限が特にないのは有り難いです。筆者は取材参加だったこともあり、ゲストコスプレイヤー達をバックスヤードで撮影することができて幸運でした。

Ngọc Phươngさん(Facebook:bi.thienthan)Hologram_Fairy
Kaori Lalachanさん(Facebook:@kaori.lalachan) 蛙吹梅雨 『僕のヒーローアカデミア』
現地のコスプレイヤーのクオリティーは日本に負けず劣らず、日本で人気のアニメやゲーム作品のコスプレが多く見られました。『鬼滅の刃』や『Fate/Grand Order』、『アズールレーン』、『アークナイツ』などのコスプレが多かったです。また、現地の女性はタレント志向の子も少なくなく、自らを宣伝するサイトを作って撮影大歓迎といった感じです。あとは、東南アジアではInstagramやFacebookがメインのSNSとして利用されています。撮影&交流に勤しむコスプレイヤーとカメラマンの連日、夜遅くまで本当に楽しそうな様子が印象的でした。

撮影:乃木章(@Osefly)
取材協力:C3AFA Singapore 2019

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