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「キャッツ」がホラー映画である「8」の理由 悪夢に支配され、あまりの恐怖に涙する

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2020年01月25日 18:02  ねとらぼ

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ねとらぼ

写真画像は予告編より
画像は予告編より

 あの超話題の映画「キャッツ」がついに日本で公開された。



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 何が超話題なのか。それはご存じの通り、海外での圧倒的な酷評の嵐だ。特にメディアでのキレのありすぎる表現を目にして「逆に見てみたい」と思った人も多いのではないだろうか。



・・・・・



“「キャッツ」は猫にとって犬の生誕以来の最悪の出来事である。”



- THE BEAT



“劇中で「何が幸せなのかを思い出した」と歌っていたが、あなたは映画館の出口の光を見たときにも同じことを思い出すだろう。”



- ロサンゼルス・タイムズ



“「キャッツ」に5点満点で点数をつけるとしたら、玉ねぎをあげる。(注:猫は玉ねぎを食べると中毒症状を起こす)”



- Screen Crushの批評家マット・シンガー



・・・・・



 さらに、映画評価サービスのIMDbでは現在2万人以上の投票で驚異の星2.8のスコアを記録(10点満点中)。これはB級ならぬ“Z級映画”として名高い「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」の4.6や「死霊の盆踊り」の2.9を下回るほどだ。



 一体何が起こっているのか、一体どういうことなのか。



 キャストには一流がそろっているはずなのに。イドリス・エルバやジェームズ・コーデンといった超実力派、ジュディ・デンチやイアン・マッケランという大御所、さらに超人気シンガーのテイラー・スウィフトもキャスティングされているのに。



 監督のトム・ハーパーも、高く評価されているどころじゃない。「英国王のスピーチ」はアカデミー作品賞など4部門を受賞し、「レ・ミゼラブル」(2012)ではアカデミー助演女優賞をはじめ3部門に輝いた。にもかかわらず、「キャッツ」はラズベリー賞(最低映画の賞)の最低映画賞にノミネートされている。



※追記(2月12日):「キャッツ」は2月8日(現地時間)にラズベリー賞9部門でノミネートされましたが、記事掲載時点でノミネート作品は未発表でした。誤解に基づき不正確な情報を掲載してしまったことをおわびいたします。



 何より、題材としているのは、日本でも劇団四季の公演が有名な、世界的なミュージカルの演目だ。なぜ、こんなことになっているんだ。筆者は皮肉など抜きに、これほどまでに純粋な好奇心で劇場にして足を運んだ経験はない。期待と不安が入り交じる高揚感は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」をはるかにしのいでいた。



 そして、結論を申し上げよう。すさまじかった。腰が抜けるかと思った。怖すぎて涙が出た(実話)。エンドロール中ずっと動悸は激しく息切れもした(実話)。1人で見てしまったので、ギュッと誰かに優しく抱きしめてもらいたかった。



 そう、「キャッツ」のジャンルはホラー映画である。これは断言する。しかもかなり刺激が強い。観終わった後はレーティングを二度見した。本当に全年齢が見ていいのだろうか。「ジョーカー」よりも怖かったので「R15+」、いや「R18+」でもいいのではないか。今日は寝室のライトを消すのが怖くなるのは間違いないし、きっと悪夢もみることだろう。



 ここまで書いても「何を大げさな」と思われるかもしれないが、全て本当の気持ちだ。駄作だとか、つまらないだとか、良いとか悪いとか、「キャッツ」はそんな簡単な言葉で片付けられるものじゃないのだ。



 以下、具体的なヤバさを項目ごとに分けて記していこう。大きなネタバレはないように書いたつもりだが、それでも予備知識ゼロで見たいという方はここまででストップしてほしい。



 何しろ、本作は“異次元の恐怖体験”こそが大きな見どころであり、予想の斜め上からさらに大気圏突入するくらいの驚愕(きょうがく)の展開も訪れるので、その楽しみを奪いたくはない。ぜひ映画館で、この悪夢と恐怖を体験してほしい。



●1:猫人間の見た目が怖い



 まず予告編を見て誰もが思ったことであろう、「“顔だけが人間”で“体が猫”の見た目が怖い」という問題がある。



 遠くから見れば二本足で立っている猫だが、アップで見ると人間のリアルな泣き顔や笑顔でいるという絵面はなかなかショッキングで、それを2時間弱ずっと見ているというだけでも唯一無二の体験ができる。



 確かに怖い。だが見た目が怖いのが実は大した問題ではないことも、次第に分かってくる。元来のキャストの魅力も相まって、見た目にはけっこう慣れてくるのだ。むしろ感覚がマヒしてくるので、場面によってはキュートに見えることすらあるくらいだ。怖いけど。



●2:猫人間が基本裸なのが怖い



 猫人間たちは、基本的に“裸”だ。メスの猫もオスの猫も裸だが、当然のように股間はツルツルで何もない。“超実写版”と銘打たれた「ライオン・キング」(2019)でも動物たちの股間がツルツルだったことが話題となったが、それよりも違和感がある。せめてパンツを履いてほしい。



 だが、そんな違和感もごくささいなものだ。問題は、この猫たちがエロティックに見えること。四つん這いで動き回り、そこそこに猫のしぐさをまねた体幹の艶かしい踊りは、「本当に子どもが見ていいものなのか」と真剣に考えさせられる。しかも(後述もするが)あからさまに“エクスタシー”を感じているシーンまでもがあるのだ。



 そして、それも実は大した問題ではない。最も混乱させられるのは、「股間のアレがあることを前提としたギャグ」が存在することだ。「あいつ去勢したのかな? チョキンと」と口にしたり、“股間を打ち付けて痛い”といったジョークが繰り出されていたのだ。今の僕には理解できない。



●3:毛皮を着ている猫がいるのが怖い



 “猫人間が基本裸”に付随する、さらなる問題がある。それは、“毛皮(服)を着ている猫もいる”ということだ。前述した通り、裸の猫たちがエロティックなので「服を着てほしい」とずっと思うのだが、中途半端に毛皮だけ羽織った変態もいるため「それはそれでしんどいから脱いでほしい」となる。どっちもダメってことさ。



 しかし、それも恐ろしいことに大した問題ではなかった。ネタバレを避けるため具体的に書かないが、その“毛皮(服)を着た猫がいる”ということが、あるトリック(?)に生かされているのだ。



 コナンくんでもこんなトリックは暴くことができないだろう。あまりの衝撃に鑑賞中に驚きの声を上げてしまった(近くで見てた方にはごめんなさい)。ぜひその目で、「うん……? 幻覚……?」と真剣に悩む瞬間を見届けてほしい。



●4:猫以外にもヤツがいる。それは“G”だ!



 ここまで書いてきても、まだ「キャッツ」の真の恐怖の10%にも満たない。誰もが戦慄するであろうことは、あの“G”の存在だ。



 Gとは、食べ残しが好きで、水回りによく出現する、カサカサと素早く動き回り、時には顔めがけて飛んでくる、全人類の嫌われ者のアイツのことである。



 名前を具体的に記したくないので頭文字を取ってそう呼ぶが、なんとこの「キャッツ」の狂った世界にその姿を現わすのである。もちろん、猫たちと同じく、“顔だけが人間”で“体がG”だ。シンプルにおぞましい。



 しかも、ただ姿を現わすだけではない、ヤツらは集団になって歌って踊る。それだけではない、地上波放送であれば間違いなくモザイクがかかるであろう、阿鼻叫喚の地獄絵図がこの目に飛び込んでくるのだ(繰り返しになるが本作は全年齢指定である)。



 具体的にGがどうなるのかは、その目で見届けてほしい。恐ろしいことにこの地獄絵図は序盤に早くも登場する。ホラー映画であると結論づけた決定的な瞬間だった。



 ちなみに、G以外にも「基本的にゴミ捨て場から食べ物を拾って食う」という不衛生を絵に描いたような要素までもある。さらに、股をおっ広げて股間(ツルツル)の近くをポリポリと手でかく場面もある。シンプルに汚い。



●5:自己紹介する狂人(猫)にたらい回しにされる



 ここで、ストーリーが申し訳程度にしか存在しない、ほぼ全編で展開するのは「やべーやつらの自己紹介」ということもお伝えしておこう。



 簡単にあらすじを紹介しておくと、捨てられた猫のヴィクトリアが、街の片隅のゴミ捨て場にいた猫たちに導かれ、舞踏会に参加する……というものだ。その舞踏会では、“新しい人生を生きることを許される”猫が1匹だけ選ばれる。



 これだけだとサクセスストーリーとして面白く展開できそうなのだが、実際にメインとなるのは“主人公の猫がいろいろな猫の自己紹介の場にたらい回しにされる”というものだ。そいつらは、前述したように“G”とあんなことをしたり、「私は犯罪をやってます」とカミングアウトするやつがいたり、まあシンプルに狂人(猫)ばかりである。



 中には悲しい過去を背負った同情すべき猫もいるのだが、“捨て猫”や“元スター”であるといった表面的なことしか分からないため、感情移入がしづらい。



 とはいえ、「次にどんな変態が出てくるんだろう」という興味とワクワクはかなりなものであり、見事な歌唱とダンス、派手なビジュアルや装飾もあって鑑賞中の集中力は強制的に持続させられる。



 また、ある猫が「なんでこんなことになってるの?」ということをセルフツッコミするシーンもある。物理的な移動が一瞬で行われる(テレポート能力を有する猫もいる)こと、そして全体が悪夢的な不条理さに満ちている様は、カルト映画「インランド・エンパイア」をほうふつとさせた。



 そして、「キャッツ」の真の恐怖はその変態たちのたらい回しの中にあった。端的に言って、カルト宗教団体にしか見えないのである。



●6:カルト宗教団体の洗脳セラピーがぶっ続く!



 前述した狂人(猫)たちは、さまざまな方法で主人公や弱々しく見える猫を、“洗脳”しにかかっているようにしか見えない。周りから逃げられないように多人数で取り囲み、「こうしたらいいのよ」と訴える。しかも主人公は彼らを簡単に受け入れ、いつの間にか笑顔で踊り歌っている。シンプルに怖い!



 他にも、向こうから“長老”らしき者が歩いてくると、みんなで「ああ、いや、ほう、なんとまあ」と感嘆の声を上げていたり、まだ何も成し遂げていない時点で若者に「なんて賢いんでしょう」と言ったりもする。すでに洗脳されている猫ばかりなのである。



 それだけではない、信者たちに、なんとマタタビを振る舞う教祖までもが登場するのだ。そのマタタビというかもはやドラッグを吸った信者たちはエクスタシーな表情を浮かべ、失神したりもする。怖っっっっっっっっっ!



 “ある価値観を疑わず笑顔で信じる”こと、そのためにどんなことも平然と“正しい”と行われ、周りも同調しているという光景が、こんなにも恐ろしいものなのかと戦慄した。ここにこそ、「キャッツ」の最大の教訓が詰まっていると言っても過言ではないだろう。カルト宗教は、怖いのだ!



●7:ラストシーン直前に最大の恐怖が訪れる!



 この「キャッツ」の最大の恐怖を、ようやく記すことができる。それは、ラストシーン直前にあった。



 見てほしいので具体的には書かないが、今まで記してきたようなカルト宗教の恐怖が、ここに全て集約されていた。あの“目線”、“訴えている内容”、“それを見(聞き)続けるしかないという状況”。それら全てが、怖い……!



 「えっ? 分からない! 分からない!」「お前は何を言ってるんだ?」「怖い怖い怖い怖い怖い」「理解不能! 理解不能!」「やめてくれ! やめてくれ!」



 これまで見た中で最も怖いホラー映画は「ヘレディタリー/継承」だと思っていたが、この「キャッツ」はそれを超えたのかもしれない。そういえば「ヘレディタリー/継承」の“あの動き”をしていた猫もいたな。たすけて、こわい。



●8:キャッチコピーは本当だった



 この「キャッツ」の日本版のキャッチコピーには、「人生が変わる極上のエンターテインメント」「一生に一度の体験を、スクリーンで」とある。これはおおむね正しい。



 極上のエンタメかどうかはともかく(実は戦慄のカルトホラー)、人生観が変わるというか「絶対にカルト宗教にはだまされないぞ」と固く誓えたし、こんな体験は一生に一度でも多い。



 ただ、個人的には、映画「ドリームキャッチャー」の「見せてあげよう、見たことを後悔するものを」や、「ヘレディタリー/継承」の「あなたの永遠のトラウマになる」、「ムービー43」の「レッツドン引き」などのキャッチコピーのほうがよりふさわしかっただろうとも思う。



●舞台版を見て分かること



 筆者は、この映画「キャッツ」の鑑賞後に、Amazonプライムでレンタルできる舞台版も鑑賞した。そこで感じたのは、この「キャッツ」がそもそも映画化に向かない題材であるということだ。



 舞台版の内容もやはり“エキセントリックな猫たちが次々に自己紹介をしていく”というもので、原作にあたるT・S・エリオットの詩を元にしているだけあり、非常に抽象的でつかみどころがない。



 舞台では、観客が“一歩引いた”位置で見られるため、それほど恐怖感や違和感はない。ところが奥行きのある町並みを含め、しっかりした“世界”が構築された映画では「何を見せられているのかよく分からなくて怖い」「ていうか猫たちが本気で怖い」「悪夢」という印象が先立ってしまう。



 一応、映画ではヴィクトリアという猫を主人公に置くことで、舞台版よりも物語の流れを作ろうとする親切心は伝わってくるのだが、その主人公の存在こそが「次々にカルト宗教に洗脳されている」ような、さらなる恐怖につながってしまったのではないだろうか。



 余裕があれば、ぜひ「キャッツ」の映画と舞台版を見比べてみてほしい。スタッフとキャストが原典をリスペクトしていることが痛々しいほどに伝わり、同時に映画と舞台は全くアプローチの異なる芸術であるということも鮮明に分かることだろう。



●この恐怖はぜひスクリーンで



 映画「キャッツ」の劇中の楽曲のクオリティーは高く、美術や衣装も(悪夢的な)世界観を強固にしており、もちろん歌声も世界最高レベルだ。スタッフやキャストたちは最大限の努力をしていると明言しておこう。



 そうであったはずなのに、出来上がったのはどこからどう見ても全方位的に異常な、歴史に残るホラー映画の大怪作なのだ。こんな映画は、誇張など抜きでもう二度と誕生しないかもしれない。



 吹替版のキャストが“極上”と銘打たれるのも納得の豪華さとなっているので、そちらを選ぶのも良いだろう。先日結婚を発表したばかりの朴ロ美(ロは王へんに路)と山路和弘の夫妻も、そろって声優を務めている。



 ぜひ、映画館で「キャッツ」を見てほしい。テレビで見たらチャンネルを変えたり、途中で見るのをやめられるが、劇場では逃げられない。映画史上最大の恐怖があなたを待っている。猫が、全裸で。あとGも。



(ヒナタカ)


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  • 本日の「ららら♪クラシック」は、「“キャッツ”〜ロイド・ウェバーの音楽の魅力〜」。映画は、なんだかね・・・でしたが。https://www4.nhk.or.jp/lalala/x/2020-01-31/31/22425/2133335/
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