GENKINGが“LGBTブーム”を考える「カミングアウトなんてする必要ない」

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2020年01月26日 13:00  週刊女性PRIME

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『しげログ』は商品プロデューサーとして活躍し、海外のファッション・流行などをナビゲートしているしげるちゃんが毎回「会いたい人」と「好きなお店」で対談! ゲストの“素”を引き出しちゃいます。第3回目のゲストはタレントのGENKINGさん。仲良しかつLGBTの“当事者”でもあるふたりが! いろいろなことを語り尽くします! それでは……カンパーイ!!

※この対談は『前編』からの続きとなります

* * *

しげる「この時期になると『おでん』がカラダにしみわたるよね〜。沙奈ちゃん、ちゃんと、ここのおでんも食べてね〜、美味しいから」

沙奈「こんな美味しいおでん初めて食べた。例え家でも美味しいおでんって作れるじゃん? だけど食べるときの雰囲気とか、器とかで目を楽しませてくれることも大切だと思う」

しげる「'15年のTVに出始めたころだったっけ? 自分のことを『ニューキャマタン』って表現していたけど(笑) あれはどういった意味を込めていたの?」

沙奈「やっぱりテレビに出ることで、『オネエ』とか『ゲイ』とか見知らぬ人に言われるのが嫌で。いろんな番組に出れば出るだけ“GENKINGは何者なんだ?”ってなるじゃん? で、“君はオネエなの?”ってなるじゃん? 『オネエ』って言葉自体に私はすごい敏感で。“オネエって言われたくない”みたいな。やっぱり、いじめられて育ってるからその言葉がとても嫌いなんです

しげる「そんな感情の中からの『ニューキャマタン』に繋がるんだぁ〜」

沙奈「“オネエでもないし、私はその日の気分によって変えるんです”みたいな、わけわかんないこと言って(笑)。でも内心は女の子になりたかった。でもその心とは裏腹に毎日テレビとか撮影とかが入ってきて、自分の気持ちが抑えられなくなっちゃって。どうすることもできずに日々の仕事をやっていました」

しげる「毎日のように車に乗って、家とスタジオの何往復もしていると、例えば“今日って心地いい青空だね”とか、“もうこんなお花が咲く季節なんだ”とかの感覚を忘れるっていうか、普通に感じる幸せも無くなってくるよね」

沙奈「たしかに〜。忙しすぎるとある意味、人じゃなくなりますよね。家もその10ヶ月間はゴミ屋敷みたいな感じで、掃除できないし洗濯機もまわせなくて。なのですごく大変でした」

しげる「そんな中で、テレビの出演ラッシュは1度、落ち着いたじゃない? 今までと違って逆の立場でテレビを観る側になった時の気持ちに変化(ギャップ)みたいなのはあった?」

沙奈「女の子になるタイミングで休みたかったし、休もうと思って休みました。そのときは“気ままに自由にやってこう”って思っていました。でも、それは甘かったなって思います。あれだけガンガン出てた時は“休みたい!”って思っていましたけど。やっぱり芸能界て次から次へと新しい子が出てくるので休んでちゃダメだなって。自分の居場所がいつまでもある訳じゃないって思いました。あとは、休みがあり続けると“仕事したい”ってなりますね」

しげる「そうだね〜!!  まさに、隣の芝生は青く見えるってことだよね」

沙奈「そう。ないものねだりだなんだよね」

「私はLGBTを卒業しました」

しげる「2年前の年末に仕事(ミス・ユニバース世界大会)でタイに行ったのネッ。世界的に歴史のあるミスコンってカテゴリーの大会」

沙奈「ミス・ユニバース? 普通の女の子の?」

しげる「そう、それ! 2年前のミス・ユニバース世界大会ではスペイン代表が初のLGBTの方だったの、戸籍が女性になっていたので出場できたと記憶しているんだけど。それでもスペインの代表に選ばれるってすごい事だと思わない? 並大抵な努力ではなかったと思うのよね〜。大会では特別賞を貰って、会場はスタンディングオベーション。すごく感動をしたのよね〜」

沙奈「すごくいいと思う! 話はちょっと違うけど、私もニューハーフのコンテストの出場依頼が来たことがあるの。でも私はすごく特殊なんですけど“LGBTを卒業しました”って感じなんです。そういう仕事は基本断るのよ。ちょっと生意気ですけど(笑)。なんでかって言うと、LGBTで売りたくないし、私は“俗にLGBTって言われてる人たちもいるけど、私みたいな人もいるんだよ”ってことを生きてやっていきたいので

しげる「うんうん!」

沙奈「私みたいに考える女の子もいる訳だし。あと嫌だなって思うのは“女性より女性らしいですね”って言葉もやっぱり嫌ですね。私、女なんだよね。女性より女性らしいって何? って感じ」

しげる「しげるが言われるのと沙奈ちゃんが言われるのでは全然違うのよね」

沙奈「私、戸籍女だからね。あとは私一人だったらもっとLGBTの仕事ができてたかもしれないけど、今は女として見てくれる彼がいるので。そういう仕事を受けたら彼も嫌な気持ちになるので彼を尊重するためにも受けてない。そういった意味では新ジャンルの存在なのかなと思います

しげる「なるほどね〜。 自分たちが子供の頃に比べたら、今は生きやすい環境にはなっているはず。それはそれで、がんばっている人達がたくさんいるからなんだけど、じゃあそれを“みんな一緒に声を上げていきましょう”なのか? しげるは、カミングアウトすることが全てでもない気はするので、それはもう『個』の世界。LGBTというよりも『人』として生きやすい時代に、なっていければいいよね

沙奈「LGBTのパレードに出てくれませんか? って言われたら、ちょっと嫌かもって感かな。それを表に出してる。心の中に思ってるんじゃなくて女性として生きてる人もいるんだよって。

 逆に今そういうテーマはここ数年、世の中に浸透してきてるけど、LGBT問題を示してる人とか話題にしてる人って実際にLGBTじゃない場合が多いじゃないですか? 悩みを共感したいがために問題にしてくれてる人じゃないのよ。要はテレビにはスポンサーがいて、タレントを起用してインタビュー取材とかで聞いて。現実はそれを仕事にしてる人もいるけど、私は仕事してないから。もちろんいろいろな人がいていいと思いますけど

オネエをおもしろおかしく扱う日本のバラエティは古い

しげる「そうね、世界的な動きもあって確実に進歩していると思うし、それで子供たちが、いじめられなくなればいいけど。実際は、まだまだ難しいよね」

沙奈「いやいじめられるよ。これは絶対。“カミングアウトしましょう”みたいな風潮にもなってるけど、私の年齢だからOKなんだよ

しげ「うん、そうだよね」

沙奈「そう。10代だったらいじめられてるよ。理解されるわけがないし、タイミングなんて人それぞれだと思うので、私はカミングアウトなんて無理にする必要ないと思うの。生きにくい世界でもあるし、子どももいる人だっているし。みんな大変で頑張ってるからそれを尊重して応援するのが周りの気持ちじゃないのと。みんな(カミングアウト)するときはするし、辛い思いを思ってる以上にしてるわけじゃん? 恋愛にしても」

しげる「それは当事者にしかわからない苦しみだからね」

沙奈「私は芸能人で、カミングアウトした代償としてデカいものが入ってきてるから今もキャピキャピしてるし、お仕事もあるしお給料も人一倍貰えたら “まあ、いっか!”みたいな。ある種の“身売り”をした結果今があるしな、と。でももしこれがOLだったら放っておいてほしいと思っていたかも。

 話を続けると、そもそも、LGBTについて語りましょう、というのがもう古いかなと。“またそのワード?”みたいな。それが話題に自然に流れ込むのが旬というか。“LGBTについてどう思いますか?”“LGBTとなって生きてどうですか?”みたいな。生きていくなかで関わらない人だっていっぱいいるじゃないですか?

しげる「そうだね」

沙奈「もし見る人が見たら“そういう性で生きてかわいそう”って思うじゃないですか? “生きにくい世の中に”とか言われるんですけど、いやいや、もうなんかそういう風に思われたくないっていうのもありますね」

しげる「『男』『女』で生まれてきたということではなくって、生まれてきたら『人』として、ちゃんと生きていけるのかどうか、だよね。性別をカテゴライズするのが古い気もする。もっと言えば、どこの国に生まれたとしても『いい人』『悪い人』はいるのだから、もっと深い意味での差別が少しでも少なくなっていけば、より生きやすい世の中になると思うよね 」

(編集部)――昨今の日本では、NHK朝ドラ『半分、青い』でも志尊淳が豊田悦司演じる漫画家のゲイのアシスタントを演じているなど、エンタメ界でLGBTの登場人物が増えている傾向にあります。

沙奈「いいと思う。実際に多いしね」

しげる「むしろ遅いんじゃないかって感じするけど。最近、日本もLGBTが少しずつ盛り上がってきているからメディアが『安心』という確証を経て、とりあげ始めた感もある。だんだんと普段の生活の中の環境に、そういう人達も増えてきたという自然の流れでもあるんだろうけどね

沙奈「私『おっさんずラブ』大好きなの。でもやっぱり私は“こんなに上手くはいかないよ”って思います(笑)」

しげる「数年前に、とんねるずさんの『保毛尾田保毛男』がニュースになって謝罪した経緯があった記憶があるんだけど覚えてる? どう思った?」

沙奈「私はあんまり気にしてなかったかな」

しげる「そうね(笑)。あれって'80年代だっけ? '90年代だっけ? とにかく昔のキャラクターだったけどあの当時、あれで学校でいじめられたりしたことがなかったので、しげるも気にしてなかったのに、いきなりすぎて、今更どうしたの? とは思ったな。やっぱり時代は確実に変化しているってことなんだね」

沙奈「う〜ん。でも日本って遅れてるなって思うのが、日本のバラエティってオネエをおもしろ可笑しく扱う傾向があるんです。でもタイとか他の国とかは全くそういう感じじゃない。もっとおしゃれで“ゲテモノ系”じゃない。パリとかにあるハイブランドのデザイナーもだいたいゲイだし、LAとかだとゲイの人のほうが賃貸を借りやすいんだって

しげる「それはなんで?」

沙奈「家の中を凄い綺麗に使うんだって。ゲイの人たちって高学歴で社会的に高い地位にある人が多いのもあるようで。地方ではまだ偏見もあるんでしょうけど

しげる「えーー、そうなんだ、興味深いわ〜〜! でも、この記事を沢山の人が読んでくれて、こんな考えの人もいるんだなって気づいてくれたら嬉しいよね〜。もっと、いろいろと話していたいけど、そろそろお時間みたいです。今日は、来てくれて本当にありがとうね、会えてすごく嬉しかった。」

沙奈「すごく楽しかった! 出会ってからこうして7、8年経ってもお仕事ができたりとか赤裸々に話せたりできる。これは昔を知ってるからできることだと思う。だから今日は本当にいい時間でした!」

しげる「また出てくださいね。時間ができたらまた一緒に食事でも!」

今回のお店 『東京おでんラブストーリー』

【店主に直撃!】

──店名の由来を教えて下さい

 店名に「おでん」が入っていること。またユニークであることを求めました。その上で、お店のコンセプトが「出会い」であることから、「東京おでんラブストーリー」と名付けました。この「出会い」は男女に限らず、“人”と“人”の「出会い」のことです。

──お店のこだわりは?

 まず全国から本物の屋台を取り寄せて店内に配置しているので、昭和の雰囲気懐かしく、風情豊かです。他の飲食店で料理長をしていた調理師を雇っているので出汁など味にもこだわっています。また「おでんくじ」という制度があり、おでんの串にくじの結果が。その結果によって、他のお客さんに何かをプレゼントをするようになっており、例えば一等であれば「ドリンクプレゼント」。お客さん同士が「当たったのでドリンクいかがですか?」など、そこで「会話」が生まれる工夫もしています。ちなみにその代金はお店持ちです!

──メッセージをお願いします。

 人との距離が、他よりも近いお店です。人と人が新たに出会うということが困難な世知辛い時代ですが、当店であればそれが可能かつ自然に行えます。美味しいお酒と美味しいおでん。人とのつながりが好きな方がお客さんが多く集まりますので、是非あたたまりに寄ってください。ちなみに席移動はできません。仲良くなったからといって酔った男性が若い女性の隣に移動したがることも正直、多々あるのですが、弊社スタッフが体を張ってお守りします(笑)! ですので是非、女性の皆さんも安心してお越しください。

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