F1オランダGPに向け、ザントフォールトの改修工事が進む。オーバーテイク促進のため複数箇所を変更

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2020年01月27日 14:11  AUTOSPORT web

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改修工事が行われているザントフォールト
2020年シーズンよりF1カレンダーに復帰するオランダGPの開催に向けて、舞台となるザントフォールト・サーキットでは改修工事が進められている。サーキット設計企業『ドローモ』の代表を務めるヤルノ・ザフェリは、改修したザントフォールトのコースレイアウトは最も勇敢なドライバーたちにふさわしいと語っている。完全に新しい特徴を持つため、各チームのシミュレーターで間に合うように再現することができないのだという。

「各チームは生データを持っているが、サーキット全体のデータは持っていない。我々はそうしたデータを社内でしばらく保管することになる」とザフェリはオランダのメディア『Formule 1』に語った。

「なぜなら彼らに始終シミュレートするようなことをしてほしくないからだ。つまり驚きの要素が入るということだ」

 ザントフォールトは1948年から1985年の間に34回のオランダGPを開催してきた。最多優勝はジム・クラークの4回で、最後の勝者となったのはマクラーレンのニキ・ラウダだ。

 大規模な改修とグレードアップが行われたザントフォールトは、今年35年ぶりにF1カレンダーに復帰するが、これはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の人気が急上昇していることが大きい。

 だが現在のドライバーたちは、クラークやラウダらが走行したコースとはかなり異なるコースに対峙することになる。改修された急カーブは、コースの元の設計者であるジョン・フーゲンホルツに、新しいバンクのある最終コーナーはインディ500を2度制覇した元レーシングドライバーのアリー・ルイエンダイクに敬意を評して名前がつけられている。

「我々は歴史的な場所を数多く変更し、コーナーを作っている。F1ではこの数十年見られていないものだ」とザフェリは『De Telegraaf』に語った。

「このプロジェクトには最大のリスクがつきまとう。我々や、F1上層部、またその他の関係者全員にとってもそうだ」

「我々のシミュレーションでは、ドライバーはターン2をフルスピードで通過できる。その後は見ものになる。ドライバーはフーゲンホルツ・コーナーへ向かう。すり鉢型のコーナーのスロープの勾配は最大で18度を超えるのだ。これは本当に勇敢なドライバーのためのサーキットになるだろう!」

 ザフェリの説明によると、劇的な変更が行われたのは、現代のF1マシンでは古いレイアウトでオーバーテイクをするのが難しいというドライバーの懸念を解消するためだったという。

「ドライバーたちは、いかにしてこれらのコーナーに対処するべきか、どこで追いつけるか、ということに興味を持っている」

「多くの人々が懐疑的になるだろう。“ザントフォールトはオーバーテイクができないサーキットだ”と言っているのを耳にする。だが、それを変えるためにこそ我々が呼ばれたのだ」

■「ザントフォールトと比較できるのは鈴鹿だけ」

 ドローモはかつて、シルバーストンやイモラなど世界的に有名な他のサーキットの改修を手がけている。しかしザフェリは、ザントフォールトが同社にとって他に類のない挑戦となったことを認めた。

「ザントフォールトは、我々がこれまで手がけたなかでも最も畏敬の念を起こさせるほど素晴らしいところだ。このサーキットにはこの上ない感覚と生命力がある」

「砂の上に建てられたサーキットの仕事をするのは、我々にとって初めてのことだ。ザントフォールトはユニークなところで、砂丘、ピットレーン出口、風、そして今はふたつのコーナーがある。ここと少しでも比べられる唯一の場所は、日本の鈴鹿サーキットだろう」

「私が個人的に好きなところだ。すべてを含むサーキットで、ドライバーの人気もとても高い。ザントフォールトと鈴鹿が両方ともフーゲンホルツによって設計されたのは偶然ではない」

 プロジェクトの難易度の高さにもかかわらず、ザフェリはすべてが今もスケジュールどおりに進んでいると自信を見せた。

「2月末にこの施設を再びオープンできるだろう。現在は縁石が埋め込まれているところで、サーキットの基礎はすでにできている。唯一欠けているのはアスファルトだ。今月末にアスファルト舗装を開始する予定でいる」

「誰もがザントフォールトに非常に興味を持っていて、大きな期待が寄せられている。毎日、好奇心旺盛な人々がドローンをサーキット上に飛ばしている」

「多くの人が疑問を持っているのは、主にアクセスのしやすさの点だろう。私はそのことには関与していないが、担当者たちが多くの努力を注いでいるのを見ている。誰もがこのサーキットに夢中になると私は確信している」

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