トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加している勝田貴元が、1月23〜26日に行われた2020年WRC第1戦モンテカルロにトヨタ・ヤリスWRCで参戦。自身3度目のWRC最上位クラス参戦で自己ベストの総合7位入賞を果たした。
2015年から同プログラムに参加してラリーでの経験を重ねている勝田。2020年はシリーズ最終戦のラリー・ジャパンを含む全8戦でヤリスWRCをドライブし、WRC最上位クラスで研鑽を積んでいく。
そんな勝田にとって2020年シーズン初戦となったラリー・モンテカルロは、WRCでもっとも長い歴史を誇るイベントであると同時に、ドライ、ウエット、スノー、アイスバーンとさまざまな路面コンディションが入り交じることなどから、シリーズ屈指の高難度イベントとしても知られている1戦だ。
勝田は2019年のラリー・モンテカルロにも出場しているが、その際ドライブしていたのはヤリスWRCよりもパフォーマンスが抑えられたR5車両。世界最速のラリーカーであるWRカーでの出場は今回が初めてだった。
チームは経験が充分ではない勝田のために、トヨタの元ワークスドライバーであるユホ・ハンニネンをセーフティクルーとして招聘。クレイグ・パリーとともに各ステージの走行直前に最新の路面状況を伝える役目で勝田の走りをサポートした。
バックアップを受けながらステアリングを握った勝田も、リスクを避けた注意深い走りに徹し、競技2日目を終えた時点で総合7番手につける。
続く競技3日目は路面が凍結していたセクションでマシンをスライドさせ雪壁にヒットする場面や、コースオフしてしまう場面などもみられたがマシンに大きなダメージを負うことなく走行を続け、総合7番手を守った。
競技最終日も完走に重きを置いた勝田はポジションを守りきって総合7位でフィニッシュ。目標としていたラリー・モンテカルロ完走を果たすとともに、ドライバーズランキングで6ポイントを獲得してみせた。
「多くの経験を積みながら、このラリーを完走できたことに満足しています。木曜日にラリーをスタートした時から比べると、大きく成長できたのではないかと思います」と勝田。
「異なる路面コンディションや、違う種類のタイヤを履いた時に、どのようにドライブするべきか十分に学びましたし、クルマに対する理解もさらに深まりました」
「土曜日の朝の路面コンディションは非常に難しく、ミスをしてしまいましたが、その後気持ちを切り替えることができ、いいフィーリングを掴めました」
「自分がラリー終盤に刻んだタイムは、過去に何度も同じステージを走行した経験を持つ他のドライバーと比べても、良かったと思います」
「コドライバーのダン(ダニエル・バリット)、グラベルクルーを務めてくれたユホとクレイグ、そしてチーム全員に感謝します。みんな、本当に素晴らしい仕事をしてくれました」
プログラムのインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは「タカとダンが、ヤリスWRCでラリー・モンテカルロを走り切ったことを非常にうれしく思う」とふたりの走りを総括している。
「今回は経験を積むために完走することが目標だったから、コンディションが変わったり、悪くなった路面を、タカはとにかく注意深く走った。ドライバーは、すべてのステージで自分の速さをフルに発揮したいと思うのが普通だから、きっと相当我慢を強いられたはずだ」
「しかし、ドライコンディションの路面では存分に速さを示し、特に日曜日のドライビングは全体的にハイレベルだった」
2020年は全8戦でWRC最上位クラスを戦う勝田、次戦は2月13〜16日に開催される第2戦スウェーデンだ。このイベントはシリーズ唯一のフルスノーイベントとして行われる1戦で、勝田は2018年にWRC2クラスに参戦しクラス優勝を遂げたイベントでもある。
ただし、2020年はR5車両ではなく、ヤリスWRCでの参戦となるため、勝田にとっては新たな挑戦となる。