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子どもに「和食」がいいのは栄養面だけではない 将来に役立つ意外な理由とは?

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2020年01月28日 07:00  AERA dot.

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写真和食、なかでもスシは世界中で大人気。アメリカではテックス・メックス料理と融合したスシブリトーなる食べ物も生まれており、だからこそ本来の太巻きを作ると珍しがってもらえます(写真/著者提供)
和食、なかでもスシは世界中で大人気。アメリカではテックス・メックス料理と融合したスシブリトーなる食べ物も生まれており、だからこそ本来の太巻きを作ると珍しがってもらえます(写真/著者提供)
 前回「お子さまランチは豪華すぎる」という話をしたんですが、お子さま用のメニューにはもう一つ問いかけたいことがあります。君たち、「洋風」に傾きすぎではないか?と。日本には脈々と続く和食の文化があるのに、それが子どもに十分与えられていない気がするのです。

【写真】こんなに違う!アメリカのシンプルなお子さまランチ

 日本滞在中、家族4人で温泉旅館に泊まったときのことです。夕食が懐石料理だというのでわくわくしながら食事処のふすまを開けたところ、個室にどうにも不可解な香りが充満しています。上品なおだしの香りを覆い隠す、暴力的な香りです。それは子ども用の食事から漂っていました。大人用に美しく誂えられた先付けの横に、子ども用としてカレーとハンバーグが置いてあったのです。さらに翌朝、大人にはいかにも旅館の朝食といった趣の塩鮭、納豆、みそ汁が並べられる傍ら、子どもに用意されたのはコーンフレークとトーストでした。

 それも「日本食」だといえば、そうなのかもしれません。カレーやハンバーグは日本で独自の発展を遂げた立派な「日本食」ですし、今や塩鮭と納豆の朝食をとる家庭は減り、コーンフレークのほうが主流なのでしょう。それにしても、大人には白ごはん、子どもにはコーンフレークというのは、あまりにも子どものことをわかっていない気がします。「どうせ子どもは和食なんて食べないから」と高を括っているのか、あるいは「お子さんは洋風のほうが喜ぶでしょう」というサービス心なのか、いずれにしても、子どもの力を低く見積もっているのではないでしょうか。子どもは和食をあげれば食べますし、大人顔負けの味覚を発揮することもままあります。

 いや、でもうちの子は本当に和食を食べないんです、という声も聞こえてきそうです。食べないものより喜んで食べるものをあげたい、だからコーンフレークを用意してくれるお店の気遣いはありがたい、と。でも、お刺身や生卵などの生もの、アレルギー食品を除けば、本当に子どもが食べられないものなんて存在しないはずです。子どもは和の食材が苦手だというなら、洋の食材が入っていなかった数十年前の日本の子たちは何を食べて生きていたんだという話です。

 子どもに和食を積極的に食べさせたほうがいい理由は、教育面、栄養面などさまざまな角度から考えられますが、ひとつ、いち在外邦人としてまことに実利的な理由を挙げるとすれば、こうなります。「和食は役に立つ」のです。

 外国で暮らしていると、「和食を作ってくれ」とリクエストを受ける機会がたくさんあります。太巻き寿司を作れば拍手喝采、焼き鳥のタレをぐつぐつ煮込むだけで、まるで不老不死の薬を調合する魔法使いを見るかのような羨望と畏怖の眼差しを向けられます。アメリカでは昔、学校のお弁当におにぎりを持っていくと「なんだその黒い紙で包んだ玉は」などとクラスメートにイジメられることがあったそうなのですが、現代はそんなことはありません。「それ何?」と会話のきっかけになり、「私にもちょうだい」と羨ましがられることもあります。我々日本人には日常的な食のこぼれ話──たとえばごはんにお箸を突き立ててはいけない理由とか、恵方巻きの由来とか──などを披露すると、それだけで場が盛り上がります。和食を通じて、人との距離が縮まるのです。

 もともと食べ物には、人種や宗教を超えて人をつなぐ力があります。とりわけ和食は、嬉しいことにエキゾチックでヘルシーな好印象とともに世界中に広まっているので、交友関係を築くツールとしてもってこいなのです。和食といっても定義はさまざまですが、だいたい三世代をさかのぼって1955年ごろまでに常食されていたものを含めればいいという説があり、外国の人にも「和食といえばこんなもの」という概念があります。和食に慣れ親しんでいれば、将来外国の人を出迎えたり外国に出ていったりするとき、きっと役に立つ場面が訪れます。「子どもにグローバル教育を」というなら、英語より和食に親しませたほうがよっぽど効率がいいんじゃないかとすら思うのです。

※AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

このニュースに関するつぶやき

  • 3歳2歳の息子達、和食大好きです。納豆ご飯に野菜たっぷりの味噌汁、玉子焼きや焼き魚が大好物。親が和食派で離乳期から和食食べて育ってるのもあると思う。
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  • 子どもの頃の味覚は大切だから和食を食べさせていないと大人になっても食べなくなりますよ。
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