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ボートレースのSG優勝戦で6号艇が1番人気?! 現アンバサダー・植木通彦のモンキーターン伝説

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2020年01月28日 09:02  日刊SPA!

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日刊SPA!

写真6号艇から連単が8.7倍の一番人気。それでも決めてしまうのが艇王・植木通彦だった。イラスト/ツキシモ(@Tsuki_Shimo111)
6号艇から連単が8.7倍の一番人気。それでも決めてしまうのが艇王・植木通彦だった。イラスト/ツキシモ(@Tsuki_Shimo111)
―[江戸川乞食のヤラれ日記S]―

<江戸川乞食のヤラれ日記S> =ここでは昔の話をしよう・3=

 これはまだボートレースが競艇と言われていた時代の話。

 モータボート競走の名称を平成9(’97)年度に統一した「競艇」「KYOTEI」を平成22(’10)年度に「BOAT RACE(ボートレース)」に変えてから今年で10年目に突入。気がついたらもう10年なのかというくらいに、いまだにボートレースという言い回しに慣れないという客もまだまだ多いとは思うが、確かに競走内容はその頃よりも変わってきている。

◆昔はSG優勝戦もすべて枠番抽選だった

 例えば艇番。枠なりを是とする現状のルールでいちばん不利な立場に立たされる6号艇。SGやG1の優勝戦で6号艇に回ると露骨に嫌な顔を見せる選手もいるくらいには不遇の枠のように思われている。この扱いは自由進入の頃から変わらず、真偽のほどは不明だが、1枠から6枠まですべて抽選で決められていた昔、その節を得点率1位で優出した選手が優勝戦で6号艇を引き当ててしまい、怒って優勝戦を走らずに帰郷したというエピソードも伝わっている。

 それでも当時は、1号艇以外に置かれると確実にインコースを奪いに来る前ヅケ屋の存在や、インコースまで取りに行かなくても、必ず自分がカドに引けるようにコースを主張するセンター屋など、本来のレースでの技量だけに限らず、待機行動の段階でさまざまな戦術が「競艇」では展開されていた。

 例えば、6号艇や5号艇の選手が、コースを取る気はなくても進入時にコース取りの気配を見せ、内側艇の進入をかき回し、インコース選手の起こし位置やスタート勘を狂わせて1Mを有利に攻めるというのがダッシュ勢や前ヅケ選手の技量として評価される時代でもあった。

 とはいえそこまでしても、1コースを取りきった選手が深い進入でもあっさり逃げきるという展開も多々あり、なおさらレースを走る前の1コースをどう取るか、守るかという駆け引きが対戦する選手の間によっては本来のレースよりも重要で、待機行動が名勝負だったというようなレースもあった。これは競艇の時代も、ボートレースの現在でもインコース有利という状況は変わっていないということでもある。

◆モンキーターンの出現で変わった進入へのこだわり

 平成5(’93)年の戸田SG総理大臣杯(現・ボートレースクラシック)で植木通彦がそのモンキーターンを駆ってSG初優出・初優勝をなしとげて以来、当時の若手を筆頭にほぼすべての選手がモンキーターンに挑戦していった。

 この頃がいちばん楽しく、そして予想が難しかったという古い客も多い。

 というのも、つい数年前まで選手はインコースを狙って進入からもつれるようなレースをしていたが、モンキーターンを修得した若手はあまりコース取りに熱心ではなく、枠なりあるいは前ヅケ選手にコースを譲り、その旋回速度の差でコース不利をおかまいなしに克服していくことが多かったからだ。

 ……しかし、それでも強い選手も6号艇に置かれると人気を落とし、極端なことを言えば1号艇のB1級選手に1番人気を譲ることもあり、ましてやSGやG1のレースで6号艇が1番人気に推され、そのまま決まるということは稀であった。

 しかし、1コースの選手までがモンキーターンで旋回するようになるとふたたびインコース有利の状況に回復しはじめていた。

◆6号艇が1番人気のSG優勝戦

平成9年(’97年)5月27日
SG第24回笹川賞競走 12R 優勝戦
1 烏野賢太 29歳 A1 徳島
2 今村 豊 35歳 A1 山口
3 市川哲也 28歳 A1 広島
4 古川文雄 48歳 A1 佐賀
5 西田 靖 35歳 A1 神奈川
6 植木通彦 29歳 A1 福岡

 前年からこの笹川賞にかけて植木通彦の快進撃がとまることを知らなかった。

 上記の平成5(’93)年の戸田SG総理大臣杯優勝以来SG常連と一般戦では敵なしというレベルの快進撃を続け、この年適用の全国勝率は9.03を叩き出して、前年の平成8年(’96)年の7月のオーシャンカップ競走からここまでSG6連続優出優勝1回(ここまで5節の成績はオーシャンカップ3着、モーターボート記念3着、全日本選手権3着。賞金王決定戦優勝・SG4勝目、総理大臣杯3着。当時チャレンジカップは未開催)という絶頂期にあった。

 そんな植木は準優戦では3着に敗退した4号艇の安岐真人に4コースからの前ヅケで1コースを奪われ2コース回り、安岐のかわりに4コースに入った6号艇市川哲也にトップスタートからのまくりを決められ2着に敗れた。そのため、優勝戦枠番抽選の結果6号艇回りとなってしまった番組である。不利な6号艇回り、しかし、客は誰も植木の不利を見ていなかった。

「6号艇だからはいそうですかって植木が6コースにいるわけがねぇ。みろ、客も前ヅケ期待して植木から売れてらぁ」
「西田が例のスーパーピット離れを発揮してイン狙い。それに乗っかって古川との1コース競り。植木も6コースは避けて動くしだろうし 4512/63、541/623とか?」
「だな。間違いなく植木はカドかカド受けの形にしてまくる、これって何度も見たヤツの勝ちパターン。んで植木のマークの隣にいるどっちかが2着に残るって感じだな」
「……しかし、オッズ板見てみろよ。なんで右端6号艇の数字が小さいんだよ」
「きっと今日だけ3年前のルールなんだよ。内から654321って並びでな」
「んじゃ優勝戦も4周か?」
「ばーか。4周戦なんかにしたら古川が周回遅れにされっちまうぜ」

 果たして進入はピット離れに定評のあった西田靖がそのスーパーピット離れを披露し、他艇よりも1艇身以上早く小回り防止ブイに飛びつき1コース奪取。そのあおりを受け、戦前から1コース狙いを主張していた古川文雄は2コース回りを余儀なくされ、うまく2人について行った植木も3コースまで入りカド受けを選択した。

 1号艇の烏野賢太や2号艇の今村豊、3号艇の市川哲也は予選道中の勢いでどこからでも構わないという態度でコース取りに参加せず、烏野がすんなり4コースカドに引き、進入は546/123で折り合う形に。

 この日の優勝戦は5月なのに北西からの横風が少し強めに吹き、そのあおりで水面も多少ポチャつく状況。そんな中コンマ07のトップスタートを切ったカド烏野が一気に植木に艇をかぶせ叩きに行くが不発、そのまま植木が1M先マイを決め、ホームで古川と接触した西田をまくり切り、追いすがる烏野を振り切り1着確定、その後激しい2着争いを経て2周ホームでいつのまにか2着集団に追いついた今村がそのまま2周1Mを先取りし、2着を確保する。

 しかしこの時点ですでに植木は2着の今村とは10艇身以上の差をつけて、1着を確実なものにしていた。そして道中大きく振り込み、エンスト失格となった西田をまさに周回遅れにし、SG通算5勝目と4冠目を確定させるゴールを決めた。

優勝戦結果
1着 6 植木通彦 .12
2着 2 今村 豊 .10
3着 3 市川哲也 .09
4着 1 烏野賢太 .07
5着 4 古川文雄 .11
失 5 西田 靖 .13(エンスト・選手責任外)
連単 6-2 870円 1番人気 決まり手・まくり

◆それからのボートレースは……

 SG優勝戦で6号艇が1番人気に応え優勝、しかも1コース1号艇が絡まない1番人気、という結果配当も6号艇の頭から1番人気で収まる結果にも違和感を抱く人は多いと思う。

 しかし、この時の客は誰もその結果に違和感を覚えず「終わってみればやっぱり1番人気で決まったか」という感想しか口にしなかった。

 つまり、それだけ当時の客は植木通彦の強さに賭けていたのである。

 その後もSG優勝戦で6コースから勝つ、という選手は何人も現れ、6号艇でSG優勝をした選手もいるがこの時の植木以降、6号艇で1番人気を背負ってSGを勝った選手はおらず、そしておそらくこれからも出ないのでは? そんな気がする。

 1号艇が圧倒的な優位となっていることが体感できるボートレース。

 その優位が特にSGではそれが如実に表れているのではないだろうか?

 SG優勝戦で1号艇以外が1番人気になったのは平成24年(’12)ボートレースクラシック以来なく、昨年2020年(平成31年・令和元年)に至っては、グランプリシリーズを除き、全レース優勝戦は1号艇が勝利しているのだから。

※平成22(’10)年度以前の話題につき当時の名称にて表記しております
※本文中敬称略

―[江戸川乞食のヤラれ日記S]―

【江戸川乞食】
シナリオライター、演出家。親子二代のボートレース江戸川好きが高じて、一時期ボートレース関係のライターなどもしていた。現在絶賛開店休業中のボートレースサイトの扱いを思案中

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  • いやぁなつかしいw 今村から買ってウラくったなwww
    • イイネ!1
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