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日本ロック史に輝くJAGATARAが30年ぶりに復活!

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2020年01月28日 16:00  AERA dot.

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写真Jagatara2020のミニ・アルバム「虹色のファンファーレ」/Pヴァイン提供
Jagatara2020のミニ・アルバム「虹色のファンファーレ」/Pヴァイン提供
 日本のロック史を語る上で、JAGATARA(ジャガタラ)は最も重要なバンドの一つだ。1979年の結成から、リーダーでヴォーカルだった江戸アケミの急死による90年の解散まで、活動期間は約11年。その後の音楽シーンをたどっても、彼らがいたから今があると断言してもいいほど、時代の潮目を変えてきた。

【Jagatara2020のパフォーマンスの様子を伝える写真はこちら】

 そんな歴史的存在であるJAGATARAが、約30年ぶりとなる新曲を含む7曲入りミニ・アルバム「虹色のファンファーレ」をリリースする。90年に亡くなった江戸、92年に逝去したナベと篠田はいないが、残るメンバーを中心にJAGATARA2020として復活した。これまで散発的に江戸アケミ追悼イベントなどで再結集していたが、今回は新たなオリジナル曲をレコーディングしたというのだから驚く。

 活動初期は、全裸でステージに立つこともあった江戸の過激なパフォーマンスが話題になる側面もあったが、81年にギターのOTO(オト)が加入してからは、初期のパンク的アプローチと、アフロ・ファンクやレゲエの要素を前面に出したグルーヴ感ある演奏が合流。定着しなかったバンド名も「暗黒大陸じゃがたら」と改め、82年に自主制作でファースト・アルバム「南蛮渡来」を発表した。評論家らに認められ、歴史的傑作として若い世代に大きな影響を与え続けている。

 江戸の精神的不調から活動休止の時期もあったが、EBBY(ギター)、ナベ(ベース)、OTO(ギター)といった主要メンバーに加え、篠田昌已(サックス)、テイユウ(ドラム)、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)、吉田哲治(トランペット)、村田陽一(トロンボーン)、エマーソン北村(キーボード)、南流石(ヴォーカル、ダンス)ら多くの曲者たちの加入もあいまって、演奏はよりアグレッシヴでパッションあふれるものとなっていく。

 90年1月に解散するまでの後期数年は、名をJAGATARAと再び改め、イベントや学園祭などにも精力的に出演する一方で、87年には「裸の王様」「ニセ預言者ども」、映画「ロビンソンの庭」オリジナルサウンドトラックといったアルバムを次々とリリースした。89年にはアルバム「それから」でメジャー・デビューも果たすなど、高い音楽性を維持しながら、時代を牽引(けんいん)していった。

 その時代は世界的にみても、ヒップホップやR&Bとホットなバンド演奏とが融合したレッド・ホット・チリ・ペッパーズなどミクスチャー・ロックが話題を集めていた。その上、90年代以降はベックやビースティ・ボーイズといった、様々なルーツ・ミュージックをユニークにサンプリングするアーティストが台頭していく。いとうせいこう、近田春夫、ECDといったヒップホップ系アーティストとも積極的に共演していたJAGATARAは、当時のワールドワイドの動きと符合していたと言えるだろう。

 そう、JAGATARAのいくつもある功績の一つは、今日多くのバンドやアーティストが当たり前のようにやっている、ヒップホップ、ファンク、ソウル、R&B、アフリカ音楽、レゲエなどへの先鋭的なアプローチだ。例えば、Suchmos、cero、King Gnuのようなブラック・ミュージックを素地の一つとする洗練された人気バンドも、JAGATARAが時代の扉を大きく押し開け、新たなフィールドを開拓したことと無関係ではない。今日、管楽器や鍵盤、コーラスを柔軟にとりこんだ大所帯グループが多数活躍するようになったのも、JAGATARAのエネルギッシュなライヴ・パフォーマンスが遠因になっている。

 そんなJAGATARA2020の復活作だが、今回収録された新曲は2曲で、いずれもギターのOTOが作曲した「みんなたちのファンファーレ」と「れいわナンのこっちゃい音頭」。前者は南流石が作詞とメイン・ヴォーカルを担当し、ホーン・セクションによる華やかな響きが、復活を祝祭しているかのようだ。中近東やアラブのマーチング音楽を思わせる、どこかエキゾチックなアレンジと展開が魅力的だ。後者は、日本民謡の情緒と西アフリカあたりのフォークを感じさせる曲。パンクと日本の伝統音楽とを掛け合わせたようなバンド、TURTLE ISLANDなどで活動する永山愛樹が作詞とヴォーカルを担当した。この2曲から、いったいいくつの国や地域のフォークロア音楽を見つけることができるだろうか。いずれもJAGATARAのこれまでとこれからとを結びつけるような、超絶ハイブリッドな曲になっている。
 
「虹色のファンファーレ」には新曲に加えて、在りし日の江戸のヴォーカルを堪能できる「LOVE RAP」「プッシー・ドクター」「へいせいナンのこっちゃい音頭」といった未発表曲を収録。いずれも88年〜89年のライヴ・ヴァージョンで、約30年前のパフォーマンスとは思えない、全く古さを感じさせない演奏に衝撃と感動を覚えずにはいられない。まるでつい昨日、どこかのイベントで行われたライヴの音源を聴いているような生々しいフレーズやリズムの嵐のなんと現代的なことか!

 野外フェスやイベントが頻繁に開催される現在、多くのオーディエンスを怒涛のグルーヴで巻き込むJAGATARAがもし健在だったら……。そんなありえない夢を、例えばフジロックの現場などで筆者は何回も思い描いてきた。こうしてJAGATARA2020として復活したとあっては、もしかすると今年あたりどこかの野外フェスで実現するかもしれない。解散していたものの、歴史の水面下で彼らのマグマのような音楽はずっと続いていたことを、フェス好きの若い世代にも伝えてほしいと願っている。(文/岡村詩野)

※AERAオンライン限定記事

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