NYの有名図書館で「一番借りられている本」トップ10にあの作品が

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2020年01月29日 17:02  新刊JP

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NYの有名図書館で「一番借りられている本」トップ10にあの作品が
かつては読書感想文の題材を探したり、大人になってからは調べ物をしたりと、身近な存在の「図書館」。

その図書館の世界最高峰ともいえるのがアメリカ・ニューヨークにあるニューヨーク公共図書館(以下NYPL)だ。収蔵数は実に約5300万点(書籍のほか、DVDやCD、ポスター、楽譜等も含む)。年間来場者数は1700万人と、私立図書館としては世界最大規模を誇る。

そのNYPLが先だって、同図書館の125周年のメモリアルとして、「Top 10 Checkouts of All Time」と題し、長い歴史の中でもっとも貸し出された本のトップ10を発表した。

日本でもおなじみの本あり、「こんな本があるのか」という本もあり、興味深いラインナップとなっているので紹介しよう。

■日本でもおなじみの絵本がランクイン

このランキングはNYPLの専門家チームが、貸出履歴やトレンド、発行期間などを査定して掲出したもの。単純な貸出回数とは異なる点はあらかじめお断りしておきたい。また、紙の書籍だけでなく電子書籍など他フォーマットも含まれているという。

10位にランクインしたのは日本でもおなじみの『はらぺこあおむし』(原題:The Very Hungry Caterpillar/1969年、エリック・カール著)で、これまでに18万9550回貸し出されている。

いつもはらぺこのあおむしが何でも手当たり次第にたべて大きくなっていくストーリーはあまりにも有名だ。



9位は『ハリー・ポッターと賢者の石』(原題:Harry Potter and the Sorcerer's Stone/1998年、J.K.ローリング著)で、貸出回数は23万1022回。注目すべきは刊行されてからの年月だ。オリジナル版がイギリスで発売されたのは1998年。わずか20年あまりで歴代トップ10入りしているのは驚異である。



ビジネス、自己啓発分野の名作『人を動かす』(原題:How to Win Friends and Influence People/1936年、デール・カーネギー著)は歴代もっとも売れた本の一つともいわれるが、NYPLの貸出数ランキングでも8位(28万4524回)に入っている。



7位は『華氏451度』(原題:Fahrenheit 451/1953年、レイ・ブラッドベリ)の31万6404回。書物が禁制品となった世界を描いたディストピア・フィクションの名作として日本でも高い人気を誇る一冊。



『シャーロットの贈り物』(原題:Charlotte's Web/1952年、E.B.ホワイト)33万7948回で6位となっている。子ブタとシャーロットのかけがえのない友情を描いた児童文学の名作として世界19か国で翻訳・出版されている。



5位の『To Kill a Mockingbird』(1960年、ハーパー・リー著)は、日本では『アラバマ物語』として親しまれている。貸出回数は42万2912回。人種差別というアメリカにとってきわめてデリケートなテーマを扱っている作品だが比較的短く、読みやすいことから高校生や中学生の読書リストでも上位にくる。



4位は『かいじゅうたちのいるところ』(原題:Where the Wild Things Are/1963年、マウリス・センダック著)で43万6016回。



■トップ3にはあの名著が

ここまでを見ても、さすが世界有数の大規模図書館という貸出回数だが、トップ3はもっとすごい。

3位の『1984』(原題:1984/1949年、ジョージ・オーウェル著)は、刊行から70年余りが経った今も、大きな社会変化(多くは悪い変化)が起きるとみなこぞって名前を出す。「全体主義」に「歴史の改ざん」と、今後起こりうるくらい未来を予見した小説として今も読み継がれている。貸出回数は44万1770回。



唯一、日本語版が出ていないのが2位の『The Cat in the Hat』(1957、ドクター・スース著)で、貸出回数は46万9650回。『ハットしてキャット』という名前で2003年に実写映画化されているが、日本では上映されず。



そして、栄えあるNYPLの歴代貸出回数第1位は『ゆきのひ』(原題:The Snowy Day/1962年、エズラ・ジャック・キーツ著)で、実に48万5583回も貸し出されている。

雪が降った日の黒人少年のよろこびを鮮やかなイラストとともに描いたこの作品は、刊行から半世紀以上を経た今でも、もっともよく貸し出されている本の一つとなっている。



 ◇

ラインナップを見ると、絵本や児童文学の歴史を超えた根強い人気が印象づけられる。自分が子どもの頃に読んだ本の記憶が、自分の息子や娘、そして孫たちにも受け継がれていくと考えると感慨深いものがある。

人類の叡智の集積と伝播に大きな役割を果たしてきた図書館。「最近行っていないな」という人は、休日や仕事帰りにふらりと立ち寄ってみると、子どもの時とはまたちがった発見があるかもしれない。

(山田洋介/新刊JP編集部)

参考ページ:Top 10 Checkouts of All Time(The New York Public Library)
https://125.nypl.org/125/topcheckouts

このニュースに関するつぶやき

  • やっぱ単なる情報でなく紙書籍でないと面白くない本が生き残るんだね。
    • イイネ!4
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