認知症本人を「希望大使」に、発症後も前向きに暮らすには?

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2020年02月07日 18:30  QLife(キューライフ)

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厚労省が5人を任命、本人自らが意思を発信、社会の理解を広める


(左から)渡邊康平さん、丹野智文さん、春原治子さん、橋本岳厚生労働副大臣、藤田和子さん、柿下秋男さん

 認知症。誰もがなり得る状態であり、家族や身近な人が認知症になることもあるはずです。一方、言葉は知っているものの、実際に症状を発症したらどうなるのか、家族にその症状があってもどうしていいかわからない、不安が募る…という人は多いのではないでしょうか。

 厚生労働省は1月20日、認知症への関心と理解を深めるための普及・啓発を行う「希望大使」を任命する「認知症本人大使「希望大使」任命イベント〜私たちと一緒に希望の輪を広げよう〜」を開催。イベントには、橋本岳厚生労働副大臣が出席し、5人の希望大使に任命証を授与。また、希望大使によるスピーチや、5人全員での「希望ミーティング」(パネルディスカッション)が行われました。

 認知症とは、脳の変性疾患や脳血管障害によって、記憶や思考などの認知機能の低下が起こり、6か月以上にわたって、日常生活に支障をきたしている状態1)。高齢化に伴い認知症有病数は年々増加しており、社会全体で考えなければならない問題となっています。こうした背景から、認知症に対する社会の理解を深めてもらい、同じ社会の一員として認知症の人が地域で暮らし続けていける環境づくりが進められています。

診断後は不安がいっぱい…、でも「一歩踏み出して」「諦めないで」

 認知症と診断されてから、どのような経験をして、思いを抱えているのか。希望大使が語った一部を紹介します。

 希望大使に任命された藤田和子さんは、「日本認知症本人ワーキンググループ」の代表理事を務めています。45歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。「生活において不安はたくさんあります。でも、こうして認知症当人同士が出会い、支え合う存在となってくれて、前を向いて動いていくことの大切さを感じます。今までどおりに暮らすのは難しくても、自分らしく、思いを押し殺すことなく、生きられるような地域社会をつくっていけたらと思っています」と、語りました。

 若年性アルツハイマー型認知症と39歳で診断された丹野智文さんは、診断から1年半くらいは泣いてばかりだったそう。「以前は、認知症本人がイベントに登場することはありませんでした。(人前での講演や活動を見て)この人は特別だ、認知症らしくない、と言われたこともありますが、それは誤解。不安と戦いながら、工夫しながら生活しています。自分たちの姿を見て、こういう風に生きられることを知ってもらえると、備えになると思います。認知症になったからと諦めず、一歩踏み出すことが大事」と、呼び掛けました。

 「認知症」と呼ばれる以前は、「痴ほう」や「ぼけ」といった言葉で表現されたこともありました。いまだに偏見があったり、言葉に言い表せないジレンマがあったりと、患者さんは本人にしかわからない多くの悩みを抱えています。他人事ではなく、自分事ととらえて、認知症について一度思いを巡らせてみてはいかがですか。

1)厚生労働省ウェブサイト みんなのメンタルヘルス 認知症

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