アニメ・声優は「救世主」、音楽は「生きがい」… 茅原実里がこれまでを振り返る

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2020年02月11日 17:02  マイナビニュース

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●転機となったのが『涼宮ハルヒの憂鬱』
2004年にアニメ『天上天下』棗亜夜役でデビューし、同年にアルバム「HEROINE」で歌手デビューも果たした声優・茅原実里。2020年2月5日には、デビュー15周年を記念したベストアルバム『SANCTUARY II 〜Minori Chihara Best Album〜』をリリースした。

本アルバムは2枚組となっており、DISC1にはQ-MHz制作による新曲「We are stars!」に加え「会いたかった空」から「エイミー」までのシングルリード曲と本人セレクトの過去のシングルリード曲を収録。DISC2にはこれまで歌唱してきた様々なキャラクターソングをセレクトして収録しており、まさに、声優・歌手両面から15年の活動を振り返るアルバムとなっている。

今回は茅原にインタビューを実施。これまでの活動を振り返ってもらいつつ、新曲「We are stars!」の聴きどころ、そしてこれからの活動についてを聞いた。
○●長門有希がたくさんのチャンスをくれた

――デビュー15周年を記念したアルバム「SANCTUARY II 〜Minori Chihara Best Album〜」の発売、おめでとうございます。まずは制作が決まったと聞いたときのお気持ちについて教えてください。

以前にベストアルバム『SANCTUARY 〜Minori Chihara Best Album〜』を出したのが2014年。10周年のタイミングでしたが、まさか15周年イヤーでも出せるとは思っていなかったので、ビックリしました。最初はちょっと他人事のような感じもしていて…。ただ、長く活動されている方々って、15、20、25年という周年でベストアルバムをリリースされていることが多くって。だから、私もそのタイミングで出すことができるくらい活動を続けてこられたんだと、徐々に実感が湧いてきて感動しました。

――今回は前回のベストアルバムと違い、ご自身の歌手活動で歌われてきた曲を収録したDISC1とキャラクターソングをまとめたDISC2の2枚組で構成されていますね。

DICS1は「SANCTUARY」をリリースした後からのシングルリード曲とアルバムリード曲、茅原実里の名刺代わりになるような5曲、そして15周年を振り返る新曲を収録した一枚、DISC2はこれまで歌ってきたキャラクターソングのなかからチョイスした一枚に仕上がっています。私もキャラクターソングをまとめた一枚を作ってみたいという想いがずっとあったので、プロデューサーから「やりませんか?」という提案を受けたときは嬉しかったですね。前回とは違い、今回は歌手と声優どちらの面からも私の活動を振り返る、楽しんでもらえるアニバーサリーのアルバムになりました。

――キャラクターソングについては、茅原さんから入れたい曲のリクエストを出された?

そうですね。私から案を出しました。

――これまで数あるキャラクターを演じ、キャラクターソングもたくさん歌われてきています。権利などの関係もあったかと思いますが、どういった基準で曲をチョイスされたのでしょうか。

ユニットで歌っている曲も含めるともう何十、何百のキャラクターソングを歌ってきましたので、まずソロで歌っている曲に絞りました。なかでも、キャラクターの個性がより際立つ曲、そしてこの15年の活動のなかで外せないキャラクターたちの曲をチョイスしています。あとは、一枚のアルバムになるということで、バリエーションのある楽曲を選んで音楽性のあるものにしたい気持ちもあったので、曲調のバランスも考えつつ決めていきました。正直、もっと入れたい曲がたくさんあって……! だから、キャラクターソングを集めたCDをまた出したいですね。

――茅原さんを応援されているみなさんも期待されていると思います!

そうだといいな。キャラクターソングってあんまり人前で歌う機会がなくって。私は過去にファンクラブイベントで「キャラソンライブ」をやりましたが、それでも、日の目を浴びる機会って少ないと感じています。だからこそ、この15周年のタイミングでアルバムとして出せるのは感慨深いですし、一人でも多くの人に届けられるならキャラクターたちもすごく喜ぶだろうなと思っています。

――そんな15年やってきたことが詰まった一枚。茅原さん自身はこの15年活動を続けてきて、変わったと思うところはありますか?

私、高校生の頃からずっと歌手になりたくて、10代の頃からしばらくはオーディションを受けては落ちるというのを繰り返していたんです。その当時は自分のためだけに歌っていたような気がするのですが、デビューしてからは歌を聞いてくださる方々に向けて歌うようになりました。さらに、15周年を迎えたいまは自分や聞いてくださる方といった特定の“誰か”というよりも、もっと広い世界に向けて、みんなの心の安らぎや幸せを願ったり祈ったりする感覚に変わってきていますね。日常の中で起こる様々な出来事の影響であったり、最近では海外での活動も増えたから余計にそう思うようになったところもあるのかもしれません。

――なるほど。そもそも歌手になりたいと思ったのはいつ頃でしたか?

きっかけは高校生の文化祭で行われたカラオケ大会。私、それまでは何にもできなかったんです。人に助けてもらってばっかりの人生。人前に出るのもすごく苦手で、誰にも何もしてあげることができなかった。でも、なぜか周りの人たちは私のことを助けてくれた。大好きな人たちに何もできないなってずっと思っていたんです。その中の一人が、高校時代にお世話になっていた体育の先生。その先生がカラオケ大会の担当だったんですけど、なかなか人が集まらなくて困っていて。だから、「先生が困っているなら私、出ます!」って一歩踏み出してみたんです。

そしたら、カラオケ大会で優勝できて! ステージを降りたあと、違うクラスの喋ったことがない子が私のところにきて「茅原さんの歌声にすごく感動しました」って、笑顔で言ってくれたんです。そこで、「あっ、歌でこんなに喜んでくれる人がいるんだ」と思ったんですよね。衝撃的でしたし、嬉しくて仕方ありませんでした。私が歌ったら笑ってくれる人がいるかもしれない……すごく単純ですけども、そこから歌手になりたいと思うようになりました。

――先ほどデビュー前は「自分のためだけに歌っていた」とおっしゃられていましたが、ルーツの部分では「人に喜んでもらいたい」という気持ちがあったんですね。

そうですね。根底の部分ではありました。

――15周年を迎えた今は、茅原さんの歌を聞いて笑顔になる方々がたくさんいらっしゃいます。

皆さんが喜んでくださっている顔を見ると嬉しくなるし、安心します。自分の歌やお芝居などで、作品を通してその先にいるファンの方々だったりスタッフさんだったりクライアントさんだったりが喜んでくれるのが一番のやりがいですね。誰かが喜んでくれないとこの仕事をやっている意味がない、私はそう思っています。

――歌手になりたいという思いがあった茅原さん。その後、夢は叶うこととなりますが、2004年には先に声優としてデビューを果たすこととなります。

歌の勉強がしたくて養成所に入ったのですが、なかなか歌手デビューには繋がらなくて、気が付けば卒業間近。そんなタイミングでたまたま学校に声優タレントコースというのが創設されることになったんです。スタッフの方にも勧められ、背中を押されて「声優の勉強に挑戦してみようかな」と、ここでも一歩踏み出してみました。そして、2004年に『天上天下』のオーディションを受けて、声優デビュー。それだけでも夢のような話なのですが、当時、声優さんのなかにラジオのパーソナリティや歌手など、幅広い活動をされる方がいらっしゃったので、私も声優としてお芝居しつつ、アニメの主題歌なども歌えるようになったら最高だなって、大きな目標を持つようになりました。

――その“最高”も叶うこととなりました。

デビューできたのはすごくミラクルと言いますか、ありがたいご縁だったと感じています。今思えば声優の道を勧められなければ、声優として、歌手として15年間仕事を続けてくることなんてできなかったはずですから。でも、決して声優活動も順調ではなかったんですよ。デビューはできても首の皮一枚で繋がっていた状態。ギリギリで何とか進んでいました。そんななか転機となったのが『涼宮ハルヒの憂鬱』。長門有希と出会えたことが今に至るまでのすべてのきっかけになったんです。

――長門有希との出会いが、ターニングポイントとなった。

そうなんです。それは歌手活動においても。今回のアルバムのDISC2にも収録されている長門有希のキャラクターソング「雪、無音、窓辺にて。」が、茅原実里の音楽の方向性にものすごく反映されています。あの曲を当時のランティスのスタッフさんが聴いてくださって、のちに私のプロデューサーになる方に「茅原さんはこういう路線でやったほうがいいよ」と後押ししてくださったんです。それが今に繋がっている。声優活動においても、歌手活動においても有希が私にたくさんのチャンスをくれました。

●救世主と生きがい
○●200%引き出してくれる曲を作ってくださる

――今回のアルバムでこれまでの歌手・声優活動の記録の一片が形として残ります。一方でこれからの活動についての決意のような思いが込められた新曲も1曲収録されていますね。

DICS1の最後に収録されている「We are stars!」ですね! この曲は、15周年ではあるけども、「みんなに、ありがとう」とか、「これからもよろしくね!」みたいな感動系ではないほうがいいよね、茅原実里らしい攻めのカッコいい曲のほうがいいよね、っていう方向性をスタッフさんと話して決めました。そのなかで「誕生」をテーマにしたいというリクエストを出して、「では誰に曲を作ってもらおうか?」っていう話になって。

――作詞・作曲・編曲はQ-MHzさん。

そうですね、その場で「Q-MHzさんはどうだろう?」という提案を受けました。Q-MHzのメンバーである畑亜貴さん、田代智一さん、黒須克彦さんは、昔から私を音楽で育ててくれた3人。それなら私のこともよくわかっている。私を100%……いや、200%引き出してくれる曲を作ってくださると確信できたんです。そしたら、案の定すごい曲がきて、ひっくり返りそうになりました(笑)。

――ひっくり返りそうに!

はい。歌だけじゃなくてセリフもラップもありと盛りだくさん。一度聞いただけでは曲の全貌が把握できなかったです。でも、これは“挑戦状”だと思いました。これを歌えと、これを超えて来いと言われている気がしたんです。だから、聞けば聞くほど火が付きましたし、どんどん好きになってハマっていきました。

――レコーディングはいかがでしたか?

Q-MHzのメンバーである田淵智也さんが録ってくださいました。仮歌も田淵さんが歌ってくださっていたのですが、その時のセリフの言葉数はもっと多かったんです。でも、尺の中に入り切らなかったので、短くしてもらいました。田淵さんは、お忙しいなかにも関わらず、激熱なディレクションをしてくださったんです。レコーディングは田淵さんのテンション感についていかなければ!と必死でした。

――必死になるくらいチャレンジングな曲でもあった。

滅茶苦茶チャレンジングでした。昨年のバースデーライブで初めて披露したのですが、どこかで躓いたり、噛んだりしたら曲に置いていかれて取り残されてしまうので、本当にスリリングでしたよね。リハーサルでもなかなか成功しなかったので、「どうしよう……!」っていうのが口癖になっていました。でも、本番ではバッチリでした!

――さすがです!

ありがとうございます! この曲、本当に素敵なんです。冒頭のセリフ部分は、私の歌手活動の原点となっている「雪、無音、窓辺にて。」とリンクしていますし、ラップやサビの部分はこれまでのことを思い出したり、これからのハッピーな未来を見つめることができる歌詞になっていて、感動します。あとは最後の"続きはこの先で…またね。"という歌詞。まだ旅の途中で、まだ終わらないよっていうメッセージでもあって。「これからもみんなと一緒に素敵な景色を見にいこう」ってワクワクしてくるんです。

――そういった意味では、これまでの活動を振り返りつつも、通過点の曲でもあるのかなと感じました。

そうですね。歌詞のなかにも「セーブポイント」という言葉出てきますが、まさにその通りだと思います。このベストアルバムを制作するとき、実は20周年のことも考えていました。アルバムのジャケットのイメージを相談しているとき、前回のベストアルバムとリンクさせて繋がりをもたせたくて、パズルやパズルのピースを歴史の象徴にしています。それから細かい部分では、「20周年が5年後にくるよ、そのときのここの色味はどうする?」っていう話が出て…。15周年の先を考えながらディスカッションできるスタッフがいるというのは、すごく心強いし素敵だなって感動したんですよね。

――10周年のときはそういう気持ちはなかった?

10周年のときはどちらかというと、ここで落ち着いてはいけない、ちょっと無理やりでも通過点にしなきゃという意識があったんです。当時は正直、「10年やってこられたから、ここから先はおまけだな」という気持ちもありました。ただ、15周年を迎えたいまはむしろ「これからだな」という気持ちでいるんです。10周年を迎えたとき、「LOVE LETTER」というアーティストブックを出させていただいたのですが、そのときに音響監督の鶴岡陽太さんと対談させていただいたんです。鶴岡さんは当時「10年経ってやっとスタートラインに立てたんじゃないか」とおっしゃられていて。すごいことを言うなと思っていましたが、今は「ああ、本当にそうだったのかもしれないな」と感じています。10周年のときよりも今のほうがやりたいことが増えている。幸せな15周年です。

――前向きな気持ちになれているんですね。素晴らしいお話すぎて感動しています!

やったー!!

――そんな茅原さんが今後やってみたいことは?

本当にいっぱいありますよ! まずはライブ、もう既に決まっているライブはありますが、今後もたくさんやりたいです。いつか海外で、バンドメンバーを連れて茅原実里の単独ライブをやりたい。あとは英語と中国語が喋られるようになる! そして、ファンクラブイベントである「MINORIN TRAVEL」の「in 山梨」をやる! 私は「やまなし大使」ですので、みんなにもっと山梨のいいところを知って欲しいなと思っています。あとは……ハワイ! この前初めて行ったのですが、大好きになりました。ハワイでできる仕事見つける……というか、ハワイに行きたいです(笑)。

――全部実現できる日が来ることを願っています! 最後に、茅原さんにとって「アニメ」「声優」「音楽」がいま、どういう存在になっているのか教えてください。

「アニメ」「声優」のお仕事は私を救ってくれました。だから“救世主”のような存在です。「音楽」は“生きがい”。私には歌がないと生きていけません。特にライブは欠かせない存在です。ライブがあるからこそ、そこに向かって生きていける、道しるべ的なところがあります。大好きなんです、あの場所が。

――ライブがあるから、頑張ろうと思える。

そうなんです。色々な活動をさせてらっているなかでライブが一番素直でありのままでいられる場所。私の歌を聞きに来てくれる人たちが目の前に確かに存在していて、そのみんなが全身全霊でライブを楽しんでくれてる。あのライブ空間には、何も嘘がありません。ライブは今も昔も変わらず、本当がそこにあると思っています。かけがえのない存在ですね。

●茅原実里 BEST ALBUM 「SANCTUARY II 〜Minori Chihara Best Album〜」
価格:3,600円(税抜)
《DISC1》
01.純白サンクチュアリィ
02.Paradise Lost
03.TERMINATED
04.SELF PRODUCE
05.境界の彼方
06.FOOL THE WORLD
07.会いたかった空
08.ありがとう、だいすき
09.恋
10.LOVE BLOSSOM
11.みちしるべ
12.Remained dream
13.夢幻SPIRAL
14.エイミー
15.We are stars!
《DISC2》
01.負けない(オリジナルピデオアニメ『天上天下ULTIMATEFIGHTJ』より)
02.雪、無音、窓辺にて。(TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』より)
03. Only Lonely Rain(TVアニメ『ヴィーナスヴァーサスヴァイアラス』より)
04.桜舞うこの約束の地で(TVアニメ「がくえんゆーとぴあまなびストレート!』より)
05.覚悟決めや! (TVアニメ『一騎当千Dragon Destiny』より)
06.黙っと休み時間 (TVアニメ『らき☆すた』より)
07.桜笑み君想う (TVアニメ『D.C.II 〜ダ・カーポII〜』より)
08.過度の期待にご用心。(もしもチアキが歌ったらVer.) (TVアニメ『みなみけ』より)
09.逃しません・・・ですわ! (TVアニメ『咲-Saki-』より)
10.Be Together (TVアニメ『世紀末オカルト学院』より)
11.通し道歌 (TVアニメ『境界線上のホライゾン』より)
12.Because of "S"adness (TVアニメ『境界の彼方』より)
13.NAME OF FLOWER (TVアニメ『ノブナガ・ザ・フール』より)
14.My Treasure (TVアニメ『デート・ア・ライブII』より)
15.Borderless journey (TVアニメ『RAIL WARS!』より)

●ライブ情報
・TACHIKAWA STAGE GARDENグランドオープニング記念MinoriChiharaORCHESTRA CONCERT 2020「Graceful bouquet」
会場:TACHIKAWA STAGE GARDEN
出演者:茅原実里 東京21世紀管弦楽団
日時:5月30日 開場16:00/開演17:00
・「SUMMER CHAMPION 2020 〜MinoriChihara12th Summer Live〜」
会場:河口湖ステラシアター
日程:
8月1日 開場15:30/開演16:30
8月2日 開場15:30/開演16:30
※詳細は後日発表(M.TOKU )

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  • バカ犬アツシは、この声優も知らんのやろなあ。
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