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その補強でホントに勝てるの? J1ストーブリーグ通信簿2020<中編>

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2020年02月16日 16:01  AERA dot.

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写真オナイウ阿道選手(c)朝日新聞社
オナイウ阿道選手(c)朝日新聞社
 いよいよ今年もJリーグのシーズンが到来。J1は2月21日からスタートし、各々の目標に向かってひた走る長丁場の戦いが続く。昨シーズンは横浜FMが15年ぶりのリーグ制覇を果たしたが、オフには新たなシーズンに向けて各チームが動き、勢力図も変化した。そこで今回はJ1全クラブのオフシーズンの選手補強を査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。

■川崎 C

 左右ウイングが攻撃の幅をとる4ー3ー3にトライしている川崎は中盤に求められる役割も大きく変わった。補強自体はフィールド選手では最終ラインのマルチロールである山根視来(←湘南)、左右のサイドバックをこなすジオゴ・マテウス(←コリチーバ)が加入したほかはFW旗手怜央(←順天堂大)など4人の大卒ルーキーに即戦力として期待がかかる。

 一見して派手さに欠けるがACLの負担がない今シーズン、新しいスタイルを植え付ける意味では効率的なチーム編成とも言える。期待したいのがFWレアンドロ・ダミアン、DFジェジエウというJリーグ屈指の個人能力を持つ外国人選手の開幕戦からの活躍だ。

 さらに脇坂泰斗、守田英正、田中碧といった年齢的に若手から中堅に差し掛かる選手たちが本当の意味で一本立ちできるかどうかも注目ポイント。大卒ルーキーは旗手をはじめアカデミー出身の三笘薫(←筑波大)、神谷凱士(←東海学園大)、イサカゼイン(←桐蔭横浜大)と早期の活躍が期待されるが、筆者が特に注目するのが関東大学アシスト王のイサカゼインだ。

■横浜FM B

 まず評価したいのが動きの早さ。リーグ優勝が決まって数日のうちには大方の補強が発表され、年内にほぼ全て完了してしまった。それだけ監督やスタッフが戦力を見極める時間が取れ、キャンプの準備もしやすくなる。この時点でアドバンテージは大きい。もともとビッグネームを狙う強化方針ではなく、実用性では限りなくAに近いBだ。

 主力の顔ぶれは大きく変わらないものの、二連覇がかかるリーグ戦とACLを並行して戦える主力、準主力クラスをFW、MF、DF、GKの各ポジションに加えた。ACLは外国人枠が3人+アジア枠1人であるためGK朴一圭とFWエジガル・ジュニオが登録リストに入らなかったが、日本代表に選ばれたことのあるFWオナイウ阿道(←大分)、GK梶川裕嗣(←徳島)がそれぞれ存在感あるプレーを見せた。

 さらに対人能力の高いセンターバックの山本義道(←金沢)、右サイドバックの前貴之(←山口)、攻撃的MFの仙頭啓矢(←京都)、杉本竜士(←徳島)という昨シーズンのJ2で活躍した新戦力が過密日程の中でいかに起用され、アンジェ・ポステコグルー監督の期待に応えられるか。

 ACLの初戦で韓国王者である全北現代とのアウェー戦に勝利し、グループリーグ突破へ弾みを付けただけに、ポテンシャルの高い新戦力に早い段階でチャンスを与えながら、過密日程がさらに厳しくなる後半戦に向けて主力とサブの戦術理解の差を埋めておきたい。


■横浜FC D

 13年ぶりのJ1挑戦に向けて、右サイドバックのスペシャリストであるマギーニョを川崎から期限付きで獲得し、昨シーズンのJ2でブレイクした左サイドバックの志知孝明(←水戸)、京都で17得点のU−23日本代表FW一美和成、元日本代表GK六反勇治(←清水)、万能型MFの手塚康平(←柏)など開幕スタメンも狙える戦力を補強している。

 それでも残留は基本的にはJ1昇格を支えた選手たちがJ1の強度でどれだけのパフォーマンスを出せるかにかかっている。

 キーマンは昨シーズンに特別指定選手ながら主力として活躍した左サイドハーフの松尾佑介だ。彼の鋭いドリブル突破はJ1でも十分に通用する切れ味を持つが、できるだけ高い位置から仕掛けられるベースを構築したい。松井大輔や“キングカズ”三浦知良の豊富な経験も強みになるが、大卒2年目の中山克広、生え抜きのMF齋藤功佑、2001年生まれのFW斉藤光毅といった若い選手たちのシーズン中の成長にも期待したいところだ。

■湘南 C

 最終節に16位となり、入れ替え戦で残留を決めた昨シーズンから杉岡大暉(→鹿島)、山根(→川崎)、菊地俊介(→大宮)、山崎凌吾(→名古屋)などが抜けた。

 FW石原直樹(←仙台)が12年ぶりに復帰し、運動量が豊富な福田晃斗(←鳥栖)や対人守備に強い大岩一貴(←仙台)、サイドのポジショニングが巧みな馬渡和彰(←川崎)、攻撃ビジョンに優れる茨田陽生(←大宮)、テクニックとリーダーシップを兼ね備えた三幸秀稔(←山口)などJ1の実績豊富な選手や昨シーズンのJ2でインパクトを残したタレントが加わった 。

 U−23日本代表のMF齊藤未月や福岡からレンタルバックの石原広教など若手選手の成長分を加味すれば、残留を果たす素地はある。就任直後に沈んだものの、終盤戦にチームを立て直した浮嶋敏監督がキャンプから組織力を構築しながら、良い競争の中で開幕戦のベストメンバーを選択していけるか。うまくスタートダッシュできれば波に乗って行ける期待もある。


■清水 D

 横浜FMのヘッドコーチとしてリーグ優勝を経験したピーター・クラモフスキー新監督のもとで、全く新しいスタイルにチャレンジする。残留を最低ラインにチームのベースを作っていくシーズンになることは間違いないだろう。エースのドウグラスが神戸に去った穴を完全に埋めることは不可能に近いが、広島でJリーグ経験もあるタイ代表FWティーラシンは計算でき、2年目のジュニオール・ドゥトラもチームメートと特徴を理解しあっていることは大きい。

 最終ラインは“3人キャプテン”の一人に就任したU−23日本代表のDF立田悠悟にも期待がかかるが、同じくU−23日本代表の岡崎慎(←FC東京)、神出鬼没のDF金井貢史(←名古屋)、奥井諒(←大宮)、DFヴァウド(←セアラーSC)といった実力者が加わり、GKもブラジル人のネト・ヴォルピ(←アメリカ・デ・カリ)を獲得。クラモフスキー監督の評価次第でディフェンシブなポジションのスタメンがガラッと入れ替わってもおかしくない。

 従来の戦力と新加入選手が競争しながら新しいスタイルの中でどう組み込まれていくのか。そこから夏の移籍市場、さらに来シーズンとチームの完成度を上げるために必要な補強も見えてくるはずだが、残留が大前提になる。


■名古屋 C

 移籍市場での初動は遅めだったが、FW山崎(←湘南)、阿部浩之(←川崎)、稲垣祥(←広島)というストロングポイントの明確なタレントをピンポイントで加えた。

 さらに期限付きで移籍していたマテウスがリーグ王者の横浜FMから、U−23日本代表の相馬勇紀が鹿島から復帰。前田直輝を含めて、サイドアタッカーを生かすスタイルをキャンプから構築している。ただ、ケガで出遅れている選手もおり、FW山崎もキャンプ中に負傷、FWジョーもキャンプに不参加など、開幕に向けて理想的なチーム作りができていない部分もある。

 ただ、チャンスメイクとゲームコントロールの両面に優れる阿部を攻撃の主軸としたビジョンの共有はチーム内で早くもできており、高いボール奪取力を誇る米本拓司と稲垣のコンビがサポートする中盤のファーストセットをベースにサイドアタッカーが躍動するスタイルがハマれば前半戦の主役になっていく可能性もある。そのためにも前線の配置は確立したいが、前田がスタートから1トップを担う布陣は無理がある。やはり本職の1トップを置きたいが、山崎やジョーの状態が気になるところだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。






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