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香川真司が始めた教室。人間力や言語化能力をサッカーから伸ばす方法とは?

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2020年02月17日 06:42  webスポルティーバ

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「サッカーの魅力を伝えつつも、それ以外の可能性が広がるサッカー教育を届けたい。それが僕の願いです」

 レアル・サラゴサ(スペイン)に所属する香川真司が共同設立者として、4月から首都圏を中心に、これまでにないサッカー教室をスタートさせる。その告知イベントで、新しい挑戦に込めたメッセージを発表した。

 自身がサッカーで得てきた経験を、未来を担う子どもたちに還元できないか。その思いが交差した相手が、教育者の高濱正伸だった。

 高濱は、全国に2万人以上の生徒を抱える「花まる学習会」の代表を務める。1993年に学習教室を立ち上げた当初から、「スポーツや外遊びが子どもの思考力を鍛える最高の教材」だと主張し、多くの生徒に対して野外体験を企画してきた。その実験的な知見も含めて指導メソッドをつくり上げてきたから、現在の実績がある。

 彼が掲げる哲学は「メシが食える大人を育てる」。簡単に説明すると、「子どもの地頭を鍛えて、自ら主体的に物事に取り組み、課題を見つけて解決していく」力を養って、社会に出ても生きていける人材を育むことだ。

 香川は、このサッカー教室「Hanaspo」を高濱と共に共同設立するにあたり、その哲学に共感したことを理由に挙げた。

「何より、サッカーがこんなにすばらしいスポーツだということを子どもたちに伝えたいです。もちろんその子にとって、夢中になれるものがサッカーじゃなくてもいい。そして、可能性を閉ざさないことを大事にしてほしい。今の環境や今の能力から『僕はこのくらいでいい』って決めつけるんじゃなくて、どんどん挑戦してほしい。ちょうどそんなことを考えているときに出会ったのが高濱先生でした。

 花まる学習会では、これまでの勉強とはまったく違うことを子どもたちに教えていておもしろいなと思ったし、何より花まる学習会の理念である『メシが食える大人』って言葉がそのときの自分にグサッと刺さりました。僕はたまたまサッカーでメシが食えていますが、運がよくなければそうなっていなかったかもしれない。だから、子どもたちにはサッカーの楽しさを知ってほしいという思いと同時に、サッカーに触れながら、サッカー以外の人生の可能性が広がるような、そんな学びのある場所をつくろうと思ったのです」

 Hanaspoが提供するサッカー教育プログラムは、彼のプロ活動を支えるトレーナーを含めた「チーム香川」と花まる学習会で指導実践を積んできたサッカー経験者が共同で構築している。対象は、幼稚園の年中から小学校3年生まで。いわゆる教育界でうたわれる「9歳の壁、10歳の壁」を迎える前に、サッカーを通して体と心と頭の土台づくり、つまり人間力そのものを磨くことが目的だ。

 9歳、10歳くらいから、子どもは客観的に自分と周囲とを比べて劣等感を抱いたり、自信を失ったり、内面が大きく変化するため、Hanaspoではそれまでの間に内面に関わる部分に強くアプローチしたい狙いがある。

 この人間力磨きでテーマにしているのは3つ。夢中力、工夫力、表現力を養うことだ。サッカーは常に90分間、いかにボールをゴールに入れるためにどうすればいいかに没頭し、移りゆく状況の中で「こうすればいいかも」と考えながらプレーで表現するスポーツ。つまり、まずはサッカーが楽しいと没頭できる環境をつくらなければ学びへとつながっていかない。

 Hanaspo運営責任者の新山智也は「子どもが成長するには、指導力が問われることになります。そのためには、プログラムの設計が重要です」と説明し、一つの練習メニューを例に解説してくれた。

「私たちが心がけていることは、工夫する余白を残すことです。『こうやったらもっとよくできるかも』。それぞれの練習メニューに取り組むとき、どうしたらこの思考に持っていけるかを考えています。

 たとえば、『忍者鬼ごっこ』という練習メニューがあります。ピッチ内にマーカーなどで隣り合う4つの箱 (エリア)を正方形状に作り、赤チームと青チームに分けます。人数を仮に8対8にして、赤が鬼で、青が逃げ役。ルールはコーチが『ストップ』と声をかけたとき、1つの箱の中に赤が青と同じ人数『2対2』とかの状態をつくっていたら勝ち。逆に、青は(どこかで)数的同数の状態を回避できたら勝ち です」

 さらに新山はこの練習メニューを通じて、子どもたちに起こった現象を紹介してくれた。

「この練習メニューをやっていておもしろいのは、スタート時はみんな適当に逃げたり追いかけたりしています。そのうち、赤チームの誰かが『ひとりずつ追いかける人を決めよう』と言って、サッカーでたとえるところのマンマークを始めます。最初はうまくいくのですが、4つの箱の中に16人が入り乱れるので、今度は青の子の中にその状況をうまく使って逃げる子が現れます。そうすると、同じチームのほかの子が学び出して、赤の子が自分の相手をとらえきれなくなります。

 そうしていると、赤の誰かがそのゲームの最中に『この子はオレが見るから、そっちに逃げた子を見て』とマークチェンジのアイディアを思いつきます。このように練習メニューもきちんと設計すれば、子どもが自分で気づき、試行錯誤を行なう状態を創造することができます。この2つの変化は、サッカーでいう『マンツーマンディフェンス』と『ゾーンディフェンス』ですよね。

 別に、私たちはこれを教えようとしたつもりもなく、子どもが自然に見つけていったんです。これが私たちの大事にしている『工夫の余白を残す』という意味です。もちろん、子どもの年齢やレベルに合わせてボールの有無などの条件をアレンジすれば、どの子もサッカーのトレーニングとして楽しめます」

 まさに忍者鬼ごっこを夢中でやっているうちに「こうしたらうまくいく」と工夫し、子どもたちが実際に表現して見せた一つの好事例だ。もう少し深く読み取ると、こんな解釈もできる。

 赤チームが「一人ずつ追いかける人を決めよう」と共通認識をつくり、それをもとにトライしたからこそ、4つの箱の中で16人が入り乱れた状態でエラーが起こったときに「この子はオレが見るから、そっちに逃げた子を見て」というアイディアを瞬間的に思いつき、プラスアルファの付加価値を生んだ。

 そして、この事象は見方を変えると好循環を生んだキッカケが、もう一つある。

 それは子どもが共通認識を言語化したことだ。これはHanaspoが狙う、サッカー以外にも可能性が広がる一つの能力開発でもある。自分の中で目の前の状況を分析し、その要点を言葉としてアウトプットする力は、サッカーが11対11のチームスポーツだからこそ育まれる力だ。きっと社会に入ってからビジネスの世界にも役立つ。

 たとえば、サッカー解説。目の前で起こった状況を要点化し、見ている人にわかりやすく伝える。これは「メシが食える大人を育てる」という高濱の、そして香川が共感した哲学に当てはまるはずだ。サッカーは常に状況が変わるスポーツなので、考え続けることが求められる。その本質を理解し、サッカー教育プログラムとして設計すれば、このように人間力を磨くことにつなげることができる。

 高濱はこう話した。

「スポーツや音楽をずっと続けてきた人はスポーツバカとか、音楽バカとか呼ばれたりします。そういう人たちは小さい頃から朝から晩までスポーツ漬け、音楽漬けの毎日を送ってきています。現状だと、それで何が不幸になるか? それはセカンドキャリアで困ることです。でも、私はスポーツや音楽に没頭してきた人たちは、能力が高いと思っています。

 何が問題かといえば、地頭レベルは高いのに言葉にする練習をしていないのです。だから、プロ選手だった人が解説者になった途端に「え?」と感じることが多々起こるんです。能力があって、若い頃から言葉にする練習をしていれば、古田敦也さんや為末大さんのようになれるはずなんです。新しい教育では、言語化も取り組むべき中心課題だと考えています。このHanaspoを通じて、子どもたち全員が『サッカーをしたことによって言葉の力が伸びました』という状況をつくっていきたい」

 ちなみに、Hanaspoでは「ヒーローインタビュー」というオリジナルカリキュラムがあり、毎回の練習でいちばん楽しかったことなどを子ども同士でインタビューして聞いたり、練習カードに書いたりする言語化メニューがある。

 香川と高濱がつくる新しいサッカー教育プログラムが、今度どんな人材を生んでいくのか期待が膨らむ。

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  • 人間力が大きく欠落している糞人間を俺は一人知っている。
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