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“万病の元”「ゴースト血管」を健康に戻すには…?

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2020年02月17日 11:30  AERA dot.

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写真「血管美人」で見た正常な血管(左)とゴースト化した血管=提供・あっと株式会社
「血管美人」で見た正常な血管(左)とゴースト化した血管=提供・あっと株式会社
「ゴースト血管」が話題になっている。NHKスペシャルをはじめ、多くのテレビ番組が「ゴースト血管は危ない」といい、関連書籍も多数出版されている。自分は大丈夫なのかと不安に駆られた人が毛細血管の状態を測定できる機器を求め、メーカーに問い合わせが殺到。問題のゴースト血管、はたしてどれほど恐ろしいのか?

【チェックリスト】血管の健康度チェックはこちら

*  *  *
 まるで「ゴースト血管狂騒曲」だった。ゴースト血管は怖いという風潮が広まり、多くの人が自分も血管の具合をチェックしたいと考え、毛細血管測定器を開発した企業に問い合わせたのだ。対応に追われることになったのは、自分の毛細血管の状態を映像で見ることができる毛細血管スコープ「血管美人」を開発したあっと株式会社(大阪市)。ほとんどの問い合わせが、「どこに行けば、血管美人を利用できるのか」というものだった。

 東京・銀座で血管美人を体験した60代の女性は、「冷え性気味なので心配でしょうがなかった。測定できる場所で測定したら、ちゃんと血管が生きていてホッとした」と話す。

 別の60代の女性は、「ショックでした。予感はしていたけど、本当にゴースト化しているとは。今日からさっそく、生活改善します」と言う。

 こうした口コミがネットで広まり、同社にはさらに問い合わせが寄せられた。そのため、同社は昨年、近所で毛細血管を測定できる場所や自分の血管の情報を取得できるアプリ「血管ナビ」を作成し、この騒ぎに対応することにした。

 そもそも、ゴースト血管とはどんなものか? 大阪大学微生物病研究所の高倉伸幸教授によると、人の血管の99%を占めるのが、体の隅々まで張り巡らされている毛細血管。その太さは髪の毛の10分の1程度で、全身の毛細血管をつなげると地球2周半分の長さに相当する10万キロにもなる。体の隅々までに新鮮な酸素と栄養を届け、老廃物を回収する役目を果たしている。

 だが、この大切な毛細血管、非常にもろく、さまざまな原因で傷つき、劣化し、血流が悪くなってしまう。血管があるのに血液が流れなくなった毛細血管のことを、「ゴースト血管」という。これを放置すると、毛細血管が消滅してしまうこともあり、老化の原因となる。

 毛細血管がゴースト化すると、酸素や栄養が行き渡らず、細胞が活性化されなくなり、組織が破壊されてしまうリスクが高くなる。そのためさまざまな悪影響が生じる。

 例えば、手足の末端の毛細血管がゴースト化すれば「冷え性」に、頭皮ならば「薄毛」「白髪」を引き起こす。毛細血管は全身に張り巡らされているので、「肩こり」「しみ」「しわ」の原因にもなる。さらには脳の毛細血管がゴースト化すれば「脳梗塞(こうそく)」、心臓ならば「心筋梗塞」、ほかにも「内臓疾患」や「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」などの病気を引き起こす可能性すらある。

 ゴースト血管は、「アルツハイマー病」にも関係がある。この病気の原因物質とされる「アミロイドβ」は通常、毛細血管を通じて回収される。しかし、ゴースト血管があると回収が困難になり、脳に蓄積しやすくなる。その結果、アルツハイマー病の進行が加速するという研究もあるのだ。

 たしかに自分の血管の状態を知ることは大切だが、大げさに騒ぐ必要はないと言うのは、四谷・血管クリニック(東京都新宿区)の保坂純郎院長だ。

「血液検査である程度のことはわかるので、無理をして測定器を使う必要はありませんし、不安がる必要もありません。そもそも加齢によって、毛細血管の一部はゴースト化するものです。ただ、ゴースト化を遅らせたり、予防したりすることは可能です」

 研究によると、健康な毛細血管の量は、20代を100とすると60代では70。約3割が加齢によってゴースト化するという。

 保坂院長によると、血管がゴースト化するのは血管の壁が柔軟でなくなってしまったり、赤血球自体が硬くなったりすることで、毛細血管の細い管の中を酸素や栄養素を運ぶ赤血球が通れなくなるため。血管の壁と赤血球を柔軟に保てばゴースト化は起こらない。

「ゴースト血管の大きな要因は、肥満、食べすぎ、運動不足。肥満になると余分な脂肪分に血液が回ってしまい、毛細血管まで血液が届きにくくなります。食べすぎは消化器官に血液が集中するので末端の血液が減少してしまいます。運動不足で体を動かさないと毛細血管を使う機会が少なくなるのでゴースト化しやすくなるのです」

 保坂院長は続ける。

「また、ストレスがかかると交感神経が優位になり、血管が狭まってしまいます。リラックスして副交感神経を優位にして血管を広げるように心がけましょう。それからたばこは厳禁。血管を萎縮させてしまいます。つまりは生活習慣病予防と同じです」

 では、すでにゴースト血管化してしまっている人はどうすればいいのか。高倉教授によれば、

「動脈レベルの血管をよみがえらせるのは難しいですが、日常生活で適切な対処をすれば、毛細血管は復活します」

 食生活では、生活習慣病予防を意識した食事をとることが大切だ。

・肉より低コレステロールの魚を食べる。
・コレステロール値を正常に保つ納豆などの大豆食品を食べる。
・山芋・オクラなどを食べ糖質の吸収を抑える。
・過剰な塩分、過剰な油を控える。

 さらに、血管の細胞を活性化させる成分を含んでいるルイボスティーを1日数杯飲んだり、発汗作用で毛細血管の血行を良くするシナモンパウダーなどを利用したりすることも健康な毛細血管をよみがえらせることにつながる。

 日常生活では、無理な運動は必要ではなく、生活の中での活動量を増やすことが重要だ。

・自転車や徒歩での移動を心掛ける。
・エスカレーターではなく階段を使う。
・マッサージや入浴でリラックスしながら体を温める。

 さらに、筋肉量の多い太もも裏やふくらはぎの血流を促すため、「かかとの上げ下げ運動」をゆっくり20回程度行うのもゴースト血管の予防に効果的だという。

「ゴースト血管は病気ではなく、顕微鏡レベルで見られる“現象”です。むやみに心配しすぎないほうがいいでしょう。ただし、放置しておけば、いずれは動脈など大きな血管の病気につながりうる。ゴースト血管化しないように生活改善していれば、加齢による動脈硬化の速度を遅くすることができます」(保坂院長)

 下のチェックリストを参考にして、ゴースト化しない健康な毛細血管を維持していこう。(本誌・鈴木裕也)

【血管の健康度チェック】
□大食い、早食いである
□揚げ物など、油っぽい食べ物が好き
□濃い味付けや甘いものが好き
□湯船につからず、シャワーで済ませることが多い
□睡眠時間が短く、寝不足気味だ
□日常的に軽い運動をしていない
□ストレスが多く、いつも急かされている気分になる
□たばこを吸っている
□血圧が高めである
□血糖値が高めである
□コレステロール値が高めである
□太っている
※該当するものが多いほど、ゴースト血管化している可能性が高い
(協力:湧永製薬 学術・営業薬制部)

※週刊朝日  2020年2月21日号

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