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バッテリー内蔵のモバイルディスプレイはモバイラーの救世主となるか

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2020年02月17日 12:03  ITmedia PC USER

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写真PEPPER JOBSの15.6型モバイルディスプレイ「Xtendtouch XT1610F」
PEPPER JOBSの15.6型モバイルディスプレイ「Xtendtouch XT1610F」

 PEPPER JOBSの「Xtendtouch XT1610F」は、15.6型のサブディスプレイだ。USB Type-CとHDMIに両対応する他、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)、10点タッチに対応、さらにバッテリーを内蔵し電源レスで駆動可能という「全部入り」仕様になっている。最近のモバイル用サブディスプレイのトレンドを網羅しながら、実売3万円台半ばというリーズナブルなのが大きな特徴だ。



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 その一方で、バッテリーを内蔵するという他社にない仕様のためか、挙動もかなり癖があり、面食らうこともしばしばだ。今回は国内代理店から借用したモデルを用いて、実際の使い勝手をレポートする。



・モバイル液晶ディスプレイ特集【第1回】14型モバイル液晶「ThinkVision M14」を試す 【第2回】実売2万円前後とお得な15.6型の「PM161Qbu」を試す【第3回】タッチ操作に対応した15.6型の「Vinpok Split」を試す【第4回】15.6型液晶「Xtendtouch XT1610F」はモバイラーの救世主となるか ←本記事【番外編】予算1万円で300グラムのモバイルiPad Retinaディスプレイを作ってみた



●最新トレンドを網羅してプラスαもある「全部入り」



 Xtendtouch XT1610Fの本体は1枚のスレート状で、iPadのSmart Coverとよく似た材質のスタンド兼用カバーが付属する。持ち歩く時はそのカバーで本体を両面から挟み込んで保護し、スタンドとして使う時はそれらを折り返し、マグネットで本体に吸着させる仕組みだ。



 重量は公称950gで、カバーをつけた他社製品と同等に見えるが、実はこれは本体のみの重量で、カバーとの合計では実測1434gもある。これは1万800mAhものバッテリーを内蔵するのが主な理由と見られるが、この重さを許容できるのかは、本製品を選ぶ上で1つのポイントになる。



 ボディーの厚みは約8.8mmと特段薄いわけではないが、段差がなくフラットなので扱いやすい。画面は15.6型、解像度は1920×1080ピクセルだ。10点マルチタッチ対応に加え、付属のスタイラスペンを使っての入力にも対応する。画面がノングレアで、反射を抑えられるのは好印象だ。



 ベゼルは、左右と上部が実測で約6.5mmとスリムで、下部はやや幅がある(実測値は約24.5mm)という、ディスプレイとしては一般的なデザインだ。画面の右下には電源ボタンがある。さらに左側面には、USB Type-Cやmini HDMI、OTG対応のmicroUSBなどのポート類が、右側面には画面の明るさ調整を始めとしたボタンがまとめられている。



 続いて、本製品ならではのポイントをチェックしよう。



●1万800mAhの大容量バッテリーを搭載、電源供給なしで駆動



 モバイルディスプレイとしては珍しい内蔵バッテリーは、1万800mAhとかなりの大容量だ。また18WのUSB PDアダプターが付属しており、急速充電にも対応する。さらに充電はQuick Chargeにも対応するようだ。4基ものスピーカーを内蔵しているのも、この手の製品としては珍しい。



 実際に使ってみて苦労したのが、設定画面の表示だ。設定画面は、右側面にある明るさ調整ボタンの長押しで表示し、音量調整ボタンで項目を選択する仕組みなのだが、表示時間が異常に短く、項目を見ながら押すか否か迷っていると、すぐに表示が消えてしまう。



 探した限りではこの表示時間は変更できないようで、それゆえ設定画面にどんな項目があるのか、確認するだけで一苦労だ。メニューは全て日本語化されており、ボタンの反応速度も悪くないのだが、使い勝手はいまひとつだ。特に階層深くまで行かないと、バッテリー残量を確認できないのがきつい。



●USB Type-C接続はかなり特殊な挙動



 では実際に接続してみよう。本製品はUSB Type-CのDisplayPort Alternate Modeに対応しており、ノートPCとケーブル1本で接続して映像信号の伝送が行える。また音声信号も伝送できるので、PCとUSBケーブルでつなぐだけで、本製品のスピーカーから音声を再生可能だ。



 ところが今回、何度か試しているうちに、レノボ・ジャパンのThinkPad X1 Carbon 2019年モデル(以下、ThinkPad)ではうまく認識できないケースがあることが分かった。以前からUSB Type-Cを使ったサブディスプレイのレビューで使用していたモデルで、かつ同じ個体だが、このような症状は初めてだ。



 具体的には「No Signal」という表示が出て、ThinkPadを認識できなかったり、接続できてもThinkPad側で「間違ったACアダプターが挿さりました」という警告メッセージが表示されたりする。ただし、これはThinkPadがバッテリーで駆動している場合に限定され、ThinkPadにACアダプターを接続しておけば、これらの症状は発生しない。



 これはおそらく、本製品の特殊な仕様が関係していると思われる。実は本製品がPCとの接続に使用するUSB Type-Cポートは、3W以下という弱い電力を常に出力する仕様になっている。付属のクイックガイドによると、PC→本製品への給電を行わせない意図だそうだ。



●USB Type-Cでの接続にはクセがある



 以下は筆者の推測だが、前述の仕様のせいで、本製品をThinkPadに接続すると、低出力の電源アダプターが接続されたと勘違いしてType-Cポートごと給電をシャットアウトしているように見える。その結果、映像信号までもが流れなくなっているというわけだ。



 ただしACアダプターが先に接続されていれば、2つのポートから同時に給電できない仕様上、Type-Cポートの接続先が電源なのか否かというチェックは行われず、映像信号は正常に出力される。こう考えれば、ACアダプター接続時だけきちんと動作するという状況と一致する(繰り返すがあくまで筆者の推測である)。



 いずれにせよ、ThinkPadにACアダプターを接続していればこういった問題は起こらないので、常にACアダプターを使えばよいだけでは……と思えるが、モバイルユースでは必ずしもACアダプターから給電できるわけではないし、バッテリーを内蔵する本製品のメリットも生かせない。結論としては、ThinkPadとの組み合わせは(少なくともType-Cでの接続は)積極的にお勧めしにくい。メーカー側も、USB Type-C接続で動作が不安定な場合はmini HDMIでの接続を推奨している。



 また、AppleのMacBook Air(2019)でも、ケーブルをつなぐ順序によっては、画面が映らず、バッテリーだけが減っていく(MacBook Airに給電される)場合があるなど、他のUSB Type-Cサブディスプレイでは見られない挙動がある。これもやはり、本製品がバッテリー内蔵であること、かつ前述の、映像信号の伝送に使うUSB Type-CポートでのPCからの給電を受け付けない仕様が関係しているように見える。



 以下に、編集部が調べたUSB Type-C接続の一覧をまとめたので、参考にしてほしい。



●外部からの電源供給なしでHDMIケーブル1本で駆動可能



 ここまで見てきた本製品の挙動は、バッテリーを内蔵していることがかえってマイナスに働いた例だが、もちろんプラスの面もある。それはHDMIケーブルで接続した場合も、外部からの電源供給なしで駆動できることだ。



 HDMI接続であっても、バッテリー駆動によりケーブル1本でのマルチディスプレイ環境が構築できるのは、その仕組みを知らなければまるで魔法のようだ。それゆえ本製品は、USB Type-Cを搭載していない従来のHDMI出力搭載ノートPCと組み合わせれば、モバイルユースで絶大な威力を発揮する。前述のType-C接続時の問題も、HDMI接続では当然発生しない。



 バッテリーは、HDMI接続では6時間以上、USB Type-C接続では5時間持つとされており、実際にHDMIで輝度50、音量ゼロに設定して動画を連続再生したところ、バッテリーが尽きるまで約6時間30分を要した。終日使うのは無理としても、外出先での2〜3時間の作業であれば心配は不要だ。さすがに1万800mAhもの容量だけのことはある。



 またタッチ操作も快適だ。こちらはHDMI接続だけでは不可能で、USB Type-Cケーブルの接続が必須、かつiOSとiPadOSには非対応だが、WindowsおよびAndroidなどでは、本製品で快適なタッチ操作が行える。



●購入前の情報収集は慎重に



 以上のように、バッテリー内蔵により、短時間であれば電源供給なしでの駆動を可能にする本製品の特徴は、ある時は大きなメリットに、またある時にはデメリットになる。少なくとも、他のUSB Type-C接続モバイルディスプレイの常識は通用しないことが多く、面食らうこともしばしばだ。



 今回のThinkPadとの組み合わせによる不安定さは、今後ファームアップなどで修正される可能性はあるが、現時点では未知数であり、実際に使うにあたっても、それが取引先へのプレゼンなど失敗が許されない用途ならば「USB Type-Cではなく、安定しているHDMI接続を使おう」となってしまう。現状では海外サイトのフォーラムも含め対応情報が少なすぎることは、本製品の1つのネックと言えるだろう。



 ちなみにメーカーサイトでは、本製品の対応機種は公開されていないが、米Amazonなど海外のいくつかの通販サイトには動作検証済みのメーカーおよびシリーズのリストが掲載されており、その中にはThinkPadの製造元であるレノボ製品やMacBook Airは含まれていない。購入にあたっては、こうした情報も参考にするとともに、メーカーにはもっと積極的な検証結果の公開を望みたいところだ。


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