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「新型コロナウイルス」感染者の2週間隔離は妥当か? 医師の答えは

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2020年02月19日 08:00  AERA dot.

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写真院内感染が明らかになった和歌山の病院 (c)朝日新聞社
院内感染が明らかになった和歌山の病院 (c)朝日新聞社
 国内でも日々、感染者が見つかりすでに広がっている新型コロナウイルス。不安が増殖され、SNS上には根拠もないデマも流れている。間違った情報に踊らされず、正しい情報を得て対応することが大切だ。

【写真】ダイヤモンド・プリンセス号の客からのSOS

(1)「陽性」と診断されたらどうすればいい?
 肺炎など症状の重い人は入院治療が必要だが、症状は風邪と一緒なので、ほとんどの人は軽症で自然に治癒している。

「重症化するのは、高齢で持病などを持った人ということがだんだんとわかってきました。毒性は強くないと思われるので、普段、健康な人は慌てる必要はありません」(医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師)

(2)陰性だったら安心していいの?
 1月30日に2便目のチャーター機で武漢から帰国した50代女性は発熱があり、ウイルス検査をしたが陰性だった。ところが呼吸が苦しくなり、2月4日にたんを採って再検査すると陽性になった。PCR検査も完全ではないのだ。

「ウイルスが少なかったりウイルスがいるところから検体が採れなかったりすれば、検出できないこともある。陰性だから感染していないという証明にはならないのです」(ナビタスクリニック理事長の久住英二医師)

(3)妊婦が感染すると重症化する?
 妊娠中に肺炎になったら、重症化するのか。

「新型コロナでは、いまのところ報告がありません。SARSでは重症化する割合は若干高かったが、胎児に障がいが生じるという報告はありません。ただし、人工呼吸器を付けるほど重症になると、流産のリスクが高まります」(久住氏)

(4)無症状の人からも感染する?
 チャーター便やクルーズ船で無症状の人も感染が確認されており、ウイルスを持っているのは確かだ。自治医科大学付属病院臨床感染症センター感染症科診療科長の森澤雄司医師はこう語る。

「無症状の人から感染したと思われるケースもあるが、どのくらいの頻度で起きているのか論文の形になっているものがそれほどあるわけではないので難しい」

(5)「院内感染」が起きたが対策はあるのか?
 和歌山県の済生会有田病院で50代の男性医師と、この病院の60代の男性患者らの感染が確認された。新型コロナとしては、初の院内感染とみられている。

「中国からの旅行者の多い福岡や沖縄でも同様のことが起きるでしょう。新型インフルエンザの時もそうしたように、多くの患者さんや高齢者と接する医療スタッフや介護職の人の検査を急ぐべきです」(上氏)

(6)エアロゾル感染は起こるのか?
 エアロゾル感染は、霧状のものにウイルスが混ざり、それを吸入して感染するルートだ。神戸大学教授の岩田健太郎医師は「まれにしか起きない」と言う。

「SARSの時は集合住宅のトイレの配管にウイルスが入り、トイレを流した時に飛沫が当たって次々と感染が起きました。いまの感染症対策がうまくいっていないことがわかれば、たまにしか起きないことでも調べる必要はあります」

(7)皮膚に付着したウイルスはどのくらい生きる?
 ドアノブやつり革をつかんで手についたウイルスは、どのくらい生きるのか?

「風邪ウイルスならば数時間と言われています。接触感染を防ぐには、手洗いが最も効果的です」(上氏)

(8)抗HIV薬は有効なの?
 2月2日、タイの保健省は新型コロナの症状で入院していた患者に、抗HIV薬と抗インフルエンザ薬を組み合わせて投与したところ、症状が劇的に改善したと発表した。久住氏が語る。

「中国でも抗HIV薬がどのくらい効くのか臨床試験を始めています。症状が非常に悪化してきたケースでは、実験的ではあるけれども薬を使うことは許容されるのではないか」

 14日、厚労省は抗HIV薬の治験を国立国際医療研究センターで実施することを決めた。1月に同センターでは新型コロナの感染者に抗HIV薬を投与し、症状が改善したことを明らかにしている。

(9)今後、ウイルスの毒性が強まる可能性は?
 新型コロナが変異し、強毒化する恐れはあるのだろうか。日本救急医学会は2月9日版で、「ウイルスの遺伝子変異は起きていない」と報告している。

(10)感染者を強制入院させられる「指定感染症」に問題はないのか?
 新型コロナは感染症法に基づく「指定感染症」になる。入院の勧告や就業制限、治療が公費で負担される対象の人は発症している人に限られていた。しかし、政府は2月13日、政令を改正してせきや発熱などの症状の出ていない感染者も法のもとによる入院勧告などの対象に加えた。

 川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦医師が疑問を呈する。

「感染の有無だけで強制入院させると、結局、重い患者を診るべき専門病院に軽症の人が来ることになり、ベッドが無症状者や軽症者で満床になる可能性がある。軽症の人を軽んじるわけではないが、重症者に必要な治療に手が回らなくなる恐れがあります」

 感染者に入院勧告する権限は、都道府県知事にある。森澤氏がこう提言する。

「感染者全員が一律入院できるほど、日本の指定医療機関に余裕はない。知事が地域で十分に議論して、無症状の人を対象外にするなどの対策があってもいい」

(11)感染者の14日間の隔離は妥当なのか?
 いったん感染が確認されると事実上、2週間も隔離することにも疑問の声が上がる。

「現実的に、いまの日本で2週間も仕事を休める人がどれだけいるでしょうか。症状は風邪やインフルエンザと同じですから、感染が疑われても申告しない人が出ます。せきが少し出るなど軽症の人が満員電車に乗って、ウイルスをまき散らすことになります。解熱しても2日間休むなどインフルエンザ対策と一緒にしたほうが国民の理解が得られやすく、流行は抑制されるはずです」(上氏)

(12)SNS上にフェイクニュースが流れている

 岩田氏が怒る。

「まったく不必要な騒ぎはSNS上にデタラメな情報があふれていることです。デマが多く、中国の陰謀だとか、生物兵器だとかいった情報が出ています。特定の国や民族に対するバッシングはまったくナンセンスで、社会倫理にも反します」

 デマを拡散する人たちの心理について、武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科の竹中一平講師は、「悪意をもって、誤情報を拡散する人は少数。真偽が明確ではないからこそ、『もしかしたら正しいかも……』という意識で、その情報を流している」と分析する。

(13)早い段階で正しい情報を見分けるには?
 日本大学危機管理学部の福田充教授が指摘する。

「新型の感染症については、わからないことが多くて当たり前。政府は、専門家が確認した情報に関しては、それが後になって『正確ではなかった』と評価されるリスクを恐れるのではなく、なるべく早くオーソライズし、国民に広く情報提供していくべきだ」

(14)政府の措置で重要なことは?
 ウイルスなどの感染症によるパンデミック(世界的大流行)では、初動対応が重要だ。政府の対応としては、デマ流布やパニックを防ぐために、いち早く情報開示をする必要がある。

 福田氏はこう見る。

「今回の新型肺炎では、発生源であった中国政府の対応自体が遅れ、後手に回ったことと、世界保健機関(WHO)の新型コロナに対する世界的な危険度評価を当初は『中程度』と発表していたことが、世界各国の政府の対応を鈍らせた」

(15)今後の危機対応としては何が求められる?
 入国者への検疫を含む水際対策が重要だ。問題なのは、新型コロナの潜伏期間が長く、検疫検査の際に感染者が漏れてしまうことだ。この点について福田氏は次のように指摘する。

「私たちは、水際対策が100%完璧ではないという事実を意識し、ある程度は入ってくることを覚悟しなければならない」

 もちろん、水際対策にまったく意味がないわけではない。

「水際対策によって感染者の入国をいくらかでも少なくすることで、パンデミックを起こりにくくすることは期待できる。日本人が感染したとしても、流行のペースをなるべくスローダウンさせることが重要。ウイルスに関する研究の進展やワクチンの開発など、適切な措置を取るための時間稼ぎとなる」(福田氏)

(本誌・亀井洋志、小島清利、山内リカ)

※週刊朝日  2020年2月28日号より抜粋

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