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故国を戦禍から救う方法は、W身代わりの契約結婚!? 圧倒的おもしろさの中華後宮ファンタジーシリーズ第1弾『後宮の花は偽りをまとう』

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2020年02月19日 19:12  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『後宮の花は偽りをまとう』(天城智尋/双葉社)
『後宮の花は偽りをまとう』(天城智尋/双葉社)

※「ライトに文芸はじめませんか? 2020年 レビューキャンペーン」対象作品

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 中華後宮もの、身代わり、契約結婚。ひとつでもピンとくる人はぜひ読んでほしい、3ビンゴの人は絶対に読んでほしい作品がある。コミカライズもされているヒットシリーズの第1巻『後宮の花は偽りをまとう』(天城智尋/双葉社)は、バリキャリ女官が皇妃の身代わりとして契約結婚するだけでは終わらない、フルコースのような物語だ。

 舞台は、大陸西方の大国・相(そう)の都。宮城で働く陶蓮珠(とう・れんじゅ)は、上司にはっきりと物を言うため、さまざまな部署に異動させられて早十年、同僚たちには「遠慮がない・色気がない・可愛げがない」で知られる三十路手前の女官吏だ。地方へ出たなら昇進も望めたが、蓮珠はとある理由から、都での出世を目指していた。しかし、女官吏のほとんどは上長の推挙を得られず、中央での出世は実質不可能。それでもなんとか仕事を続け、機が熟すのを待っていた。

 そんなある日、蓮珠が書類を届けに行った先の兵部で、隣国・威(い)の言葉を話す男が揉め事を起こしていた。相の国に、5年前まで敵対していた威の言葉を解する者はほとんどいない。ところが蓮珠は国境近くで生まれたために、威国語を話すことができた。通訳することでその騒ぎを収めた蓮珠は、武官姿の男に声をかけられる。「俺は威国語のできる未婚女性を探していたんだ。ぜひとも、おまえを嫁に欲しい」。

 戦争孤児である蓮珠は、実は武官が苦手。おまけに突拍子もない申し出を受けて、悪ふざけが好きな武官たちが、「いきなり求婚されたら蓮珠がどう反応するか」で賭けをしているのだと判断した。他人の娯楽になどなってやるものかとその場は適当な返事をしたが、相手は後日、本当に蓮珠のもとに迎えを寄越す。男の名は郭翔央(かく・しょうおう)。威国の公主を娶ることを条件に即位した新皇帝の、双子の弟だった。

 翔央が蓮珠に望んだのは、威国の公主と姿を消した今上帝の身代わりになるべく、自分と「契約結婚」をすること。現状は、威国側から見れば、今上帝が公主を拉致して行方をくらませたようにも見える。さらに宮中では、帝位を巡って怪しい動きも起こっていた。早急に、国内外に対して「相国の今上帝は、無事に威国公主を妃に迎え、宮城内で恙なく過ごしている」という体裁を整えなければならない。この秘密が表沙汰になれば、相国はふたたび戦渦に巻き込まれる──報酬として中央上級職への推挙を用意された蓮珠は、緊迫する状況のなか、W身代わり契約結婚生活を余儀なくされるのだが……?

 後宮に入った蓮珠は、宮中に渦巻く陰謀を、官吏の機知と行動力で退けていく。まっすぐで誠実な彼女の姿は、現代社会の組織の中でままならない思いをしているわたしたちにとっても、実に鮮やかですがすがしい。

 もちろん本作では、宮城内の政治的策略だけでなく、嫉妬や女の友情、行き交う淡い想いなど、およそ「中華後宮ファンタジー」と聞いて予想しうるすべての要素が扱われ、予想の上を行くスケールで回収される。読みはじめたなら一気読み必至、圧倒的なおもしろさの中華後宮ファンタジーは、ジャンルの愛好者だけでなく、中華後宮もの入門編としてもすすめたい一冊だ。

文=三田ゆき



■「ライトに文芸はじめませんか? 2020年 レビューキャンペーン」特設ページhttps://bookmeter.com/specials/lightbungei/3

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