GDPマイナス6.3%でも安倍首相は「消費税が原因」を認めず「台風のせい」! 次は「コロナのせい」にするための予防線も

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2020年02月20日 07:00  リテラ

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リテラ

首相官邸HPより

 17日、衝撃的な数字が発表された。消費増税後の2019年10〜12月期の国内総生産(GDP)がマイナス1.6%(速報値)、年率換算でマイナス6.3%という大幅なマイナス成長となったのだ。



 GDPの落ち込みは予想されていたことだったが、民間の予測平均はマイナス3.7%だった(NHKニュース17日付)。それがまさかのマイナス6.3%……。東日本大震災の影響を受けた2011年1〜3月期がマイナス6.9%だったことを考えれば、この数字がいかに深刻なものかがわかるだろう。



 しかもこれは速報値であるために今後、下方修正される可能性もある。実際、前回増税がおこなわれた2014年4〜6月期は速報値が年率マイナス6.8%だったが、その後、マイナス7.1%に修正されている。そもそも、今回は前回の税率3%引き上げより低い2%の引き上げにもかかわらず、前回に近いマイナスになっているということは、それだけ家計や経済に重大なダメージを与えているということの証左だ。



 恐れていた「増税不況」に突入した日本経済──。実際、昨日18日に米ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で「日本の消費税の大失態」とタイトルを打ち、「日本が安倍氏の経済政策の失敗の代償を回避することはできない」と批判をおこなっている。



 だが、名指しで批判されている当の安倍首相は、日本経済を最悪の状況に陥れたことを無視し、GDPマイナス6.3%という衝撃の数字を突きつけられても、「消費増税だけのせいじゃない」と言い張り、いまだにこんなことをほざいているのだ。



「おもに個人消費が消費税率引き上げにともなう一定程度の反動減に加え、台風や暖冬の影響を受けたことから前期比マイナスに転じました」

「良好な雇用、所得環境に加えて、今後、経済対策の効果が発生していくことを踏まえれば、我が国、経済は基調としては今後とも内需主導の緩やかな回復が継続していくものと考えております」(17日衆院予算委員会での答弁)



「増税だけじゃなくて台風や暖冬でマイナスになったが、今後も内需主導の緩やかな回復が継続するから大丈夫」って、一体、こんなアホな話を誰が信じるというのだろう。



 そもそも、モロに増税の影響が出ていることはあきらかで、今回の増税でもっとも深刻な結果を打ち出しているのは、GDPの約6割を占める個人消費だ。実際、「民間最終消費支出」(実質)は、昨年7〜9月が0.4%だったのに、増税後の昨年10〜12月はマイナス2.9%まで一気に落ち込んでいるのである。だが、この個人消費の大幅下落も安倍首相は「台風や暖冬のせい」と言うのである。



 しかし、それは大嘘だ。17日の衆院予算委員会で質疑に立った野党統一会派の馬淵澄夫衆院議員は、昨秋の台風災害に遭遇していない近畿や四国でも大幅に消費が落ち込んでいることを指摘。また、暖冬についても、中里透・上智大学准教授は〈暖冬が消費に影響を与えることがあるとしても、それは冬物衣料など一部の範囲にとどまり、消費全体の動きは気象の状況以外の要因から大きな影響を受ける可能性がある〉としている(「SYNODOS」19日付)。



 西村康稔再生担当にいたっては「12月は天皇陛下の誕生日や土日の関係で祝日が2日少なかった」などと強弁しているが、たった2日休日が少なかっただけで消費が一気に落ち込むようなハイリスクな国だというのだろうか。



 しかも、安倍首相は増税の景気対策のために、キャッシュレス決済によるポイント還元事業に7000億円も投じたが、キャッシュレス推進協議会がおこなったアンケートでは、売り上げへの効果が「なかった」「あまりなかった」と回答した店舗は計61.3%にものぼっている。



●財務省の森友問題隠蔽の見返りに増税、日本経済を窮地に追いやった安倍首相の責任



 個人消費の大幅下落を考えても、景気底上げにはつながっていないのはあきらかだが、しかし、安倍首相はこの問題を追及されると、「約4割が売り上げに効果があったと回答している」と答弁(2月6日衆院本会議)。失敗だったとは絶対に認めようとしないのだ。



 先月倒産した山形県で唯一の百貨店「大沼」の長沢光洋・代表取締役は会見で「(消費税率引き上げのあった)10月以降、売上高が前年比で3〜4割減少した。異次元の落ち込みで、一体何が起こっているのかわからないほどだった」と述べたが、それでもGDPマイナス6.3%という現実を直視せず「今後とも内需主導の緩やかな回復が継続していく」などと言い張る安倍首相……。この男こそが、新たな不況をつくり出してしまったのである。



 だが、安倍首相も、いくら無能と言えども、こうした不況が起こることは予想できたはずだ。実際、安倍首相のブレーンのひとりだった藤井聡・京都大学大学院教授は、内閣官房参与として消費税引き上げ反対を主張していた。



 いや、安倍首相自身も、2014年の増税の影響が長引くなか、政権維持のために一時は増税を見送ろうとしていた。しかし、森友学園問題での公文書改ざんで、態度を一転させたのだ。



 森友問題で財務省は安倍首相の答弁に合わせるかたちで決裁文書の改ざんに手を染め、しかも、その事実が明るみに出るとすべての罪を財務省官僚がかぶった。これによって、官邸の関与は覆い隠され、安倍首相は政権の崩壊を免れた。つまり、森友問題で財務省につくった「借り」を返すために増税に踏み切ったのだ。



 国民の生活に深刻なダメージを与えることがわかっていながら、自分のスキャンダルをもみ消そうと動いて改ざんの責任を引き受けた財務省に「褒美」として増税を差し出す──。この国をよりよくする、安定させるということよりも、安倍首相が自分の疑惑をかぶらせたことのツケを払うほうを選んだ結果、いま、多くの国民が苦しい生活を余儀なくされているのである。



●今年1〜3月期のGDPはさらに落ち込み、新型コロナをもちだし予防線を張る安倍首相



 どこまでも自分を中心にして政治を動かす総理大臣には怒りしかないが、しかし、経済状況を顧みず増税をおこなったことの責任を取る気はさらさらないらしい。実際、安倍首相は不況の原因を増税からすり替える準備に入っている。



 というのも、安倍首相は「今後とも内需主導の緩やかな回復が継続していく」と言いながら、こうも付け加えているからだ。



「今般の新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響をしっかりと見極めていく」



 新型コロナウイルスは中国経済に大打撃を与えており、中国のみならず世界全体に大きな影響を及ぼすことははっきりしている。しかも、日本はあらゆる面で中国に依存しており、部品や原材料などの調達が困難になることによる卸売業や製造業、建設業への影響、訪日中国人客の激減によるインバウンド・バブルの崩壊など、今年1〜3月期のGDPはさらに落ち込むことになるはずだ。



 だが、問題は新型コロナ流行以前、増税直後の昨年10〜12月期でマイナス6.3%と日本経済がガタガタになっていることであり、その原因は完全に消費増税なのだ。にもかかわらず、安倍首相は消費増税によって国民生活が土台からボロボロになっていることを認めず、次期のGDP発表ではすべて新型コロナのせいにして“想定外の事態の発生による影響”だと逃げる算段なのだ。



 ずさんな危機管理対応しかできず、さらには増税による不況さえ新型コロナ問題にすり替えようとする安倍首相。今後の日本経済の先行きは大変なことになることは間違いないが、そこでこの男が舵取りすることの危険さに、いいかげん国民は気づくべきだ。

(編集部)


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  • 2020年1月から3月期のGDPはマイナス2.5%(年率換算マイナス10%)もあり得るかもしれない。飲食店で人を見るのは減った。
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