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「狂気じみてる」「尖っている」と反響多数、担当者が明かす日清食品CM戦略の秘密

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2020年02月20日 08:40  ORICON NEWS

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写真日清食品のカップヌードルCM『地元から沸かせ! 関東 篇』、世田谷自然食品のCMをパロディ化して話題に
日清食品のカップヌードルCM『地元から沸かせ! 関東 篇』、世田谷自然食品のCMをパロディ化して話題に
 カップヌードルのCMシリーズ『HUNGRY DAYS』などでもおなじみの日清食品。新たなCMを世に送り出すたびに「攻めすぎてて好きなんだけど(笑)」「遊びすぎだろw」などの声がSNSに溢れる。今年の初めには、地元で愛されてやまないローカルCMを、世界的アスリートの錦織圭選手、大坂なおみ選手、八村塁選手を起用してパロディ化した新CM『地元から沸かせ!篇』が話題になった。一見するとただのコラ映像かと見紛う、いい意味で“公式とは思えない”仕上がりに、またもやSNSは「クレイジー」「狂気じみてる」「ヤバい」といった褒め言葉(?)で盛り上がった。他企業の宣伝担当者からも、「尖っている」との評価が集まる日清食品のCM。それらがどういう過程で生みだされるのか、日清食品ホールディングス宣伝部部長の米山慎一郎さんに話を聞いた。

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■「熱くなっているのは開催地だけじゃない」日清だからこそできた”東京五輪系CM”

「ここ数年、『日清食品のCMは狂気じみている』といった感想をいただいています。最初は褒め言葉として喜んでいたんですが、最近はその感覚も少し麻痺してきました(笑)」(米山慎一郎さん/以下同)

 新年に話題となったカップヌードル新CM『地元から沸かせ!篇』に出演するのは、日清食品と契約し、世界で活躍している錦織圭選手、大坂なおみ選手、八村塁選手。全国では流れないが、それぞれの地元で長年愛されている名物CMを、3人の静止画をつないでパロディ化し、全32本を日本中で放映したという。放映時期が年始の帰省シーズンだったこともあり、全国で大きな盛り上がりを見せた。同CMは、東京五輪を意識することから制作がスタートしたという。

「日清食品は、『東京2020オフィシャル麺パートナー』である日清食品ホールディングスのグループ会社です。錦織選手、大阪選手、八村選手ともご縁がありましたので、オリンピックイヤーのスタートにあたって、日清食品らしいメッセージ を発信しようと考えました。ですが、汗と涙が飛び散るところをスロー映像で魅せるといった、見たことのあるようなCMにはしたくなかったので、他のオリンピックパートナーとは違う手法を探しました。 その時に『オリンピックが開催されるといっても、熱くなっているのは開催地の東京だけじゃないか?』という疑問が湧いてきたんです」

 そして完成したCMは、日本中で話題となって大成功。約90局のローカル番組で「地元限定CMがパロディ化されている!」と取り上げられた。ネットにアップした動画の再生回数は、TwitterとYouTubeをあわせて約300万回。日清食品としては「1000万回再生されてようやく成功といえる」そうだが、 SNSでは広く話題となり、米山さんも「改めて地元愛の強さを知りました」と笑顔を見せた。

 日清食品のCMはどのように作られているのか。「日清食品の社長と宣伝部、そして広告会社のクリエイターさんが一緒になって作りあげていきます。ブランドコミュニケーションに関しては、社長と宣伝部で週一回の“定例会議”を行っています。社長は多忙ですから、会議の案件を持ち帰ることはほぼありません。どんな議題でも、即興的にその場でアイデアを考え、どんどん決めていくんです」

 例えば、会議に出されたCMのアイデアがパッとしなかったとする。そんな場合は、社長と宣伝部のスタッフが一緒になって、どうすれば面白くなるかを徹底的に議論する。だが、何十分かけてもいいアイデアが浮かばなければ、企画自体をボツにすることもあるという。「議論の場で皆が大笑いしたものは、世の中に出した時にもやはりウケます。まあまあだなといった反応のものは、やはりまあまあの反応しかないことが多いですね」

 例えば、『魔女の宅急便』『アルプスの少女ハイジ』『サザエさん』『ワンピース』など、様々な有名作品とコラボした『HUNGRY DAYS』シリーズ。最初に広告代理店から提案されたのは、「もし国民的なキャラクターに青春があったら?それを青春アニメで描いたらどうなるだろうか?」というアイデアだった。だが“順目”を嫌う同社社長の「それだけでは面白くない」というひと言から議論が始まったという。

「そこで、“掛け算”として社長から提案されたのが、“青春アニメとしての完成度を高めるため、作画をオリジナルとは変える”というアイデア。そして、窪之内英策さんなら、有名な国民的なキャラクターを現代の高校生として描けるのではないか、 と。こうして『HUNGRY DAYS』シリーズの世界観が形作られていきました」

 ケイン・コスギを起用したカップヌードルのCM「謎肉増量 篇」も社長のアイデアからスタート。「YouTubeで話題になったリコーダー奏者がどんどん増殖していく動画を見た社長から、“この中毒性をCMに取り入れたい”と連絡があり、アイデアとしてストックしておいたんです。その後、カップヌードルの“謎肉増量”を訴求するCMに使えそうだということになり、半年経ってようやく日の目を見ました。そして出来上がったのが、ケイン・コスギさんが『謎肉』に扮して増殖していく、シュールでカオスな映像のCMです。」

 このCMを制作するにあたって、宣伝部のスタッフはリコーダー奏者の動画を徹底的に研究した。何が面白いのか、面白さを構成している要素は何なのか。それがリズムなのか、テンポなのか、曲調なのか。単に真似をするのではなく、新たな表現を生み出すため、時間をかけて1つ1つ分解していった。「“面白さ”にこだわり続けられることが、日清食品の一番の強み」だと米山さんは胸を張る。

 日清食品のCMが面白いのには、他にも理由がある。「会社の行動指針である『日清10則』の中に“ブランドオーナーシップを持て”というものがあります。ブランドはメーカーの最も大切な経営資産であって、生産から卸・小売、消費、廃棄に至るまで、商品がどこにあろうと、私たちがオーナーであることを強く意識しなければいけない。」

 CMなどは広告代理店や制作会社が作っていると思われがちだが、日清食品ではブランドコミュニケーションの根幹となる部分について、そのほとんどを社内で設計しているという。「あくまでも“モノ”を売るためのコミュニケーションでなんです。CMやSNSの投稿などを目にした消費者の頭の中にブランドのイメージを刷り込み、店頭で思わず商品に手が伸びるようしたい。消費者のマインドシェアを獲得するためには、他ではやっていない、他には真似できないものでないといけない。だが、依頼主である我々が「責任はかぶるから、好きにやってほしい」と言わないと、作り手もハメを外してくれない」のだという。

 そんな日清食品だが、2000年代以降、CM広告出稿量ランキングにその名がない。意外にも、テレビでCMを見かける機会自体は減っているということだ。これについて米山さんは「出稿量が多ければいいという時代ではなくなりつつある」と話す。「今は“何を”“どこで”伝えるかに考えの中心が シフトしています。そんな時代で注目すべきなのは、やはりSNSです。SNSのいいところは、「(メーカーではなく)自分の信頼する友人が“美味しい”と言うから食べてみよう、“面白い”と言うから見てみよう」と思えるところ。 ですから、SNSで“バズる”ことは常に意識しています」

 日清食品のブランドコミュニケーションの根底にある想いは、「人を楽しませ、喜ばせる」こと。「最近、社長からは“尖った路線”にもちょっと飽きてきた、なんて話も出てきています。ですから、今後も我々にしかできないような手法で、世の中を賑わせていきたいですね」と米山さん。今までの路線とは違ったものとして、果たしてどんなCMが飛び出してくるのか。今後も日清食品のCMが世間を騒がせそうだ。

(取材・文/衣輪晋一)

このニュースに関するつぶやき

  • いろんなアスリートのスポンサーになってるんだな。
    • イイネ!2
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  • 水風呂に松岡修造さんを入れたらカップラーメンに注げるお湯になる♪ 狂気じみてる?
    • イイネ!32
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