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予測不可能なVUCA時代に「将来のキャリアが描けず不安」と悩んだら?

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2020年02月21日 07:03  @IT

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@IT

写真不安なんだよおおおおおおう
不安なんだよおおおおおおう

 私は、ビジネスパーソンのコーチングやカウンセリングをしています。よくいただく相談の一つが、「将来のキャリアが描けない」です。



【Will Can Must】



 社会人経験が少ない人なら、そういう悩みを抱えることもあるでしょう。しかし最近増えているのは35歳前後の方からの相談で、おおむね次のような内容です。



社会人になって今まで、年齢相応の経験を重ねてきた。仕事はやるべきことをやってきたし、その自負もある。会社には特別大きな不満があるわけではないし、給与もそれなりに満足している。でも、将来を考えると、やりたことが特別あるわけでもないし、明確なビジョンもない。本当は、目標を持って前向きに仕事をしたい。でも、どうすればいいのかが分からない。



 つまり「未来が描けず不安」だと言うのです。



●今までは「将来はこんな感じになるな」と予測できた



 なぜ、このような不安を抱える人が増えているのでしょう。私は「未来が予測しづらい」ことが、1つの大きな原因ではないかと考えます。



 例えば、経済が右肩上がりだった高度経済成長期。会社は終身雇用、年功序列で、「5年後は係長」「10年後は課長」「20年後は部長」と、何となく「将来はこんな感じになるな」と未来が予測できました。身近にロールモデルもいました。



 プライベートもそうでした。男性なら「20代で結婚をする」「数年後、子供が生まれる」「30代で家を建てる」「50代で役職を終える」「定年まで働き、その後は年金暮らし」といった、標準的な「人生ストーリー」がありました。



●VUCA――不確実で曖昧な未来



 近年「VUCA(ブーカ)」という言葉を聞く機会が増えました。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものです。



 かつてと比べて今は、市場や技術の変化がとても速い。社会の状況も、10年も経てばガラッと変わります。それだけに未来の予測が難しい……。



 例えば、2019年に多くのサービスがリリースされた「○○Pay」と呼ばれる電子決済サービス。2019年は「キャッシュレス元年」とも呼ばれました。でも10年後を想像しても、これらのサービスの何が生き残り、何が淘汰(とうた)されるか予測できません。同じキャッシュレスでも、現在の仕組みとは全く異なるものになっているかもしれません。



 働き方もそうです。AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)などの技術がさらに発達すると、「仕事がなくなる」とも言われています。終身雇用、年功序列も崩れつつありますし、40歳で早期希望退職の募集を始める企業も増えてきました。



 仕事、会社、経済、さまざまな仕組み……社会は変動し、不確実で、複雑で、曖昧です。そのため、この先どうなるのか予測が難しいのです。



 このような、予測しづらい社会の中で、どれだけの人が未来を描けるでしょうか? 10年後、あなたがどうなっているか想像できますか? 「やりたいことを見つけよう」「ビジョンを描こう」と思っても、「分からない」というのがむしろ普通ではないでしょうか。



●「未来」よりも「今」を大切にする



 不確実性が高く、予測不可能な社会の中で、私たちはどのように働き、生きていけばいいのでしょうか。



 私は、不確実で見えにくい「未来」のビジョンよりも、「今」を大切にするのがいいのではないかと思います。



 「Will Can Must」というフレームワークを知っていますか? 自己分析のフレームワークとしてさまざまなところで紹介されているので、知っている、見聞きしたことがある方も多いと思います。



 Willは「やりたいこと」、Canとは「できること」、Mustは「やるべきこと」(あるいは周りの人が「やってほしい」と思っていること)で、「Will、Can、Mustの重なりが大きいほど、やりがいが生まれる」などといわれています。



 私はここに、「未来」と「今」の軸を加えたいと思います。Will(やりたいこと)は、これから実現したい「未来」です。一方のCan(できること)とMust(やるべきこと)は「今」です。



 「未来」のWillが見いだしにくければ、「今」のCanとMustを増やしていくのはどうでしょうか。つまり、あなたが「できること」で、今「やるべきこと」――つまり、あなたが「こうあるべき」と思うことや、周りが「やってほしい」と望んでいること――に取り組んでみるのです。



 あなたが会社の中で「これ、○○にした方がいいよな」「本来なら、□□であるべきだよな」と思っていることはありませんか? 相応の経験を積んできているのなら1つぐらいはあるはずです。それを実現できないか、取り組んでみます。



 あるいは周りから「○○して欲しい」「□□してもらえると助かる」と言われていることはありませんか? それがあなたのちょっとした努力でできそうなら、やってみます。



 そうすれば、今までよりも職場がより良くなるはずですし、同僚やお客さんから「ありがとう」と言われます。充実感も出てくるでしょうし、周りからの信頼も増すはずです。



 コツがあるとしたら、「言われたからやる」のではなく、「自分の意思で、主体的に取り組む」ことです。うまくいかなくても、失敗しても問題ありません。



●CanとMustの重なりが増えると、Willが見えてくる



 CanとMustの重なりを増やしていくと、Willが見えてくることもあります。



 ここで、私の体験をお話させてください。ちょうど35歳前後で、現在のビジョンを見いだしたときの話です。



 私は今、しごとのみらいというNPO法人を経営しています。しごとのみらいのテーマは「もっと『楽しく!』しごとをしよう。」で、ビジョンは「楽しくはたらく人や会社を増やす」です。コミュニケーションが良くとれ、働きやすい会社にするための企業研修や講演、個人相談などを行っています。



 このテーマやビジョンは、もともと描いていたものではありませんでした。というより、コミュニケーションとか、働きやすい会社といったことに、以前は関心すらありませんでした。ではなぜ、このようなテーマやビジョンを描くことになったのか……。



 2005年ごろ、私はIT業界で中間管理職をしていました。当時の職場は人間関係がギスギスしているストレスの多い環境でした。というより私自身、心が折れそうなぐらいストレスを抱えていました。そのため、「こういう職場、イヤだな」「楽しく働ける職場にしたいな」と常々思っていました。けれども、どうすればいいのか全く見当がつきませんでした。



 いろいろ調べていくと、「働きやすい職場にするためには、どうやらコミュニケーションを改善する必要があるらしい」ということに気付きました。そして、「今、自分ができることは何だろう?」と考えました。



 そこで思い付いたのは、「メンバー全員と話をする」ことでした。なぜなら、それまで「コミュニケーションが悪い」と思いながら、自分も話すのは特定の人だけで、メンバー全員と話す機会があまりなかったからです。



 そこで、傾聴などコミュニケーションの勉強をし、毎月30分、20人ほどいたメンバー一人一人と話をすることに決めました(今でいう1on1ミーティングですね)。



 メンバーの話を聞いたからといって、関係がすぐに良くなるわけではありません。ときには「何のためにやっているのか分からない」と言われたり、上司からは「話をしているなら、仕事をしろ」と言われたりもしました。



 それでも、「職場が働きやすくなるといいな」と思い、しばらく続けました。すると、メンバーから「話を聞いてくれてありがとう」「楽になりました」といった声が聞こえてくるようになりました。また、問題が小さなうちにキャッチアップできるようになり、少しずつですが、メンバーとの関係が変わってきていることが実感できたのです。



 また、1on1ミーティングを繰り返す中で「何で世の中の職場は、プレッシャーやストレスをかけて、人を動かそうとするのだろう?」「楽しく働いた方がやる気は出るし、仕事にも前向きに取り組めるのにな」とも、思うようになりました。



 このような働き掛けを続けた結果、メンバーの成長や職場の変化を感じられるようになり、「人を支援する仕事も楽しいな」「もっと楽しく働く人を増やしたいな」と思うようになりました。そして、IT業界からキャリアチェンジをしてしごとのみらいを設立。「楽しくはたらく人や会社を増やす」がビジョンになったのです。



●見えない未来を考えるよりも、今できることをやろう



 これは私の経験で、あなたに当てはまるかは分かりません。でも、「やりたいことが分からない」「未来のビジョンが描けない」というビジネスパーソンからの相談を受けながら、よく思うのです。



 「やりたいことは何だ?」「ビジョンは何だ?」と、頭の中でウンウンうなりながら、考えることも大切かもしれません。でも、見えない未来をどんなに考えても、見えてこないことも多いものです。その結果、「オレ(ワタシ)って、やりたいことがない人なんだな」「ダメな人間だな」と、ますます不安になってしまいがちです。



 それならば、まずは目の前にあるMust(やるべきこと)と、あなたのCan(できること)の重なりを増やしてみませんか。やるべきことが会社になければ、社外に出てみるのもいいかもしれません。地域活動とか、関心があるボランティア活動とか。



 だからといって、すぐにWill(やりたいこと)が見つかるわけではないかもしれません。それでも、頭の中だけで考えているよりも、主体的に体を動かし、さまざまな体験をすることによって、改めて、やりたいことや社会の課題が見えてきて、「あなたなりの未来」が描けるようになるはずです。



●筆者プロフィール



しごとのみらい理事長 竹内義晴



「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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