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KDDIが「かえトクプログラム」を提供する狙い ドコモ、ソフトバンクと比べて端末は安くなる?

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2020年02月22日 06:12  ITmedia Mobile

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写真2月21日にスタートしたauの「かえトクプログラム」
2月21日にスタートしたauの「かえトクプログラム」

 KDDIが、新しいスマートフォンの販売方式となる「かえトクプログラム」を開始した。割賦を組み、端末の回収を条件にその一部を免除する点は従来のアップグレードプログラムと同じだが、あらかじめ端末ごとに残価が設定されているのが、最大の違いだ。ここでは、その特徴や他社との違いを解説するともに、導入の狙いを解説していきたい。



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●端末ごとに異なる残価率、対象モデルも大幅に拡大



 かえトクプログラムは、残価設定型のアップグレードプログラムだ。従来のアップグレードプログラムが、端末の代金を48回または36回に分け、その一部を免除していたのに対し、かえトクでは、2年経過後の価値をKDDI側が推定し、それを残価として設定する。この残価は、端末の回収と次の端末購入を条件に免除される。また、割賦の24回目に支払ってもいいし、再度割賦を組むことも可能。中古業者の方が買い取り価格が高ければ、あえて利用せず、下取りの代金を残価の支払いに充当してもいい。



 従来型のアップグレードプログラムは、端末のもともとの価格だけが基準になるのに対し、かえトクは下取り市場などでの需要と供給のバランスまで反映できる。そのため、残価の額や割合は、端末によって大きく異なる。



 例えば、ユーザーはもちろん、下取り業者からの人気も高いiPhoneの場合、残価や残価率は非常に高い。「iPhone 11」の64GB版は、本体価格が9万720円、残価が3万6785円で、本体価格の約41%が残価に設定されている。これは、約2年間使っても、市場に流通させるだけの価値が十分残っていると見なせるからだ。同様に、かえトクと同時に発表された「Galaxy Z Flip」は、本体価格が17万9360円、残価が5万9760円で残価率は約33%となる。



 一方で、陳腐化が進みやすいミドルレンジモデルや、特定のユーザー層に特化した専用モデルなどは、残価率が低めの傾向にある。2019年の秋冬モデルとして登場した「Xperia 8」は、4万9680円の価格に対し、残価は9890円しかなく、率は20%と低い。同様にシニア向け端末の「BASIO4」も4万1760円のうち、残価はわずか8410円で、こちらも残価率は20%だ。一律で48回中24回なり、36回中12回を免除していた従来のアップグレードプログラムとの違いは、ここにある。



 残価と中古業者の下取り価格の差分はいわゆる「端末購入補助」と見なされるが、かえトクプログラムはauユーザー以外にも提供される。回線がないユーザーがあえてau端末を購入するメリットは少ないが、オープンである体裁を取っていることが重要だ。回線契約と端末販売がひも付いていなければ、端末購入補助の上限である2万円という制限がなくなるからだ。KDDIのコンシューマ事業企画本部 副本部長の松田浩路氏は「今回のプログラムは、au以外にも提供しているので、(免除額と市中の下取り価格の)差額が2万円という話はあまり(関係が)ない」と語っている。



 ユーザーにとってのメリットの1つは、36回や48回などの長期に渡った割賦を組む必要がなくなるところにある。また、iPhoneシリーズなど、残価率が40%を超える一部の端末に限定されるが、36回中12回を免除する既存のアップグレードプログラムよりも、いわゆる実質価格は安くなる。これまで提供されてきた「アップグレードプログラムNX」は、一部のハイエンドモデルに対象機種が限られていたが、そうした縛りもなくなっている。



 逆にデメリットとしては、端末ごとに残価率が異なり、仕組みが複雑なことが挙げられる。残価率は端末発売後も変動する可能性があるといい、価格以外に把握しなければならない変数が増えるため、お得感が伝わりづらい恐れもある。また、Androidは高額な端末でも残価率は30%台に抑えられているため、auの「アップグレードプログラムNX」と比べたときの金額的な差分はほとんどない。損をすることはないが、必ずしも以前よりお得になったわけではない点には注意したい。



●ドコモの「スマホおかえしプログラム」や、ソフトバンクの「トクするサポート」との差分は?



 現状では、ドコモが「スマホおかえしプログラム」を、ソフトバンクが「トクするサポート」を提供している。ドコモは自社回線のユーザー限定で、対象はハイエンドモデルのみ。36回の割賦を組み、うち最大で12回が免除される仕組みだ。厳密に言うと単純に割賦の支払いを免除しているだけなので残価ではないが、無理やりauのかえトクプログラムに当てはめてみると、ハイエンドモデルの残価率を一律で約33%にしていることになる。プログラム料は不要で、この点はauと同じだ。



 かえトクプログラムの場合、iPhoneはおおむね残価率が40〜45%の間に設定されている。「iPhone 8」と「iPhone XR」は64GB版がそれぞれ30%、35%と低いが、全体として見れば、ドコモのスマホおかえしプログラムより残価率は高い。ただし、ドコモは分離プランの導入にあたって粗利を削って端末価格自体を下げているため、単純に率だけでは比較できない。64GBのiPhone 11は、ドコモが8万7120円なのに対し、auは9万720円だ。本体価格自体はドコモの方が安いが、残価率の差が効き、実質価格はドコモが5万8080円、auが5万3935円と逆転する。かえトクプログラムが効果を発揮したというわけだ。



 逆に、残価率が低めのAndroidだと、ドコモの方がわずかながら安くなるケースも出てくる。秋冬モデルの「Xperia 5」だと、ドコモの実質価格が5万8608円なのに対しauは5万8650円で、42円ほどauが高くなる。免除される額の割合はauが大きいものの、本体価格の差が効いた格好だ。とはいえ、「Galaxy Note10+」や「AQUOS zero2」のように、auの方が安くなる場合もあり、一概には言えない。また、ドコモのスマホおかえしプログラムはミドルレンジモデルが対象外になるため、このレンジの端末はauに軍配が上がる。



 ソフトバンクのトクするサポートは、もともとの名称が「半額サポート」だったことからも分かる通り、48回割賦のうち、24回分を免除する仕組みだ。残価率に合わせてみると、50%と非常に高くなる。一方で、トクするサポートは月額390円のプログラム料がかかる。この390円まで加味すると、実質価格は上がることになる。また、割引率が大きい分、一部を除くと端末価格も高止まりしている傾向がある。



 これらの条件を踏まえたうえで、上記と同じ端末で価格を比較してみた。まずiPhone 11の64GB版は実質価格が4万4640円で、auより安くなるが、24カ月分のプログラム利用である9360円を含めると5万4000円になり、auより65円ほど高い。他のiPhoneも、わずかながらソフトバンクのトクするサポート適用時を下回る。iPhoneの残価率が高いのは、他社対抗、特にソフトバンク対抗という意味合いが強そうだ。



 Androidはトクするサポートに比べ、割引率が劣っているように見える一方で、比較してみると、必ずしもそうではないことも分かる。先に挙げたXperia 5の場合、ソフトバンクの実質価格は4万9320円で、ここにプログラム利用料の9360円がかかる。わずかな差だが、auの方が30円安い。一部例外はあるものの、おおむね他社と同水準か、他社を下回る実質価格になっていることが分かるはずだ。



●背景にある、端末販売の不振や5Gの商用化



 KDDIがかえトクプログラムでアップグレードプログラムを刷新した背景には、改正電気通信事業法以降、端末、特にハイエンドモデルの販売に急ブレーキがかかっている事情がある。決算で公表されている数値を見ても、落ち込みが顕著だ。改正電気通信事業法が施行されてから初の四半期となる2020年度の第3四半期は、端末販売台数が189万台だった。2019年度は220万台、2018年度は253万台で、販売台数は顕著に減少している。



 より落ち込みの幅が大きいのが、端末販売収入だ。2020年度第3四半期は1782億1300万円で、前年同期の2163億2900万円を大きく下回っている。2年前の2018年度第3四半期は3172億2700万円だったため、こことの比較で言うと半減に近い。単純に端末販売台数が減っただけでなく、ミドルレンジ以下の比率が上がり、単価そのものも下がっていることを示したデータといえる。販売台数の減少以上に、ハイエンドモデルが厳しい状況に立たされているというわけだ。



 ハイエンドモデルの不振は、5Gの普及にとってのハードルにもなる。KDDIは3月に5Gの商用サービスを開始する予定だが、当初の端末はハイエンドモデルが中心。端末価格は、おそらく10万円を超えるものが多いだろう。グローバルの動向を見ると、5Gのミドルレンジ化は徐々に進んでいるものの、その動きは始まったばかり。Qualcommのプロセッサで言えば、Snapdragon 700シリーズがようやく5Gに対応したところで、現状のように、3万円や5万円のミドルレンジモデルが5G対応するには、まだまだ時間がかかる。



 とはいえ、法令、省令で禁止されている以上、端末購入補助を単純に積み増すことはできない。アップグレードプログラムNXが不発に終わってしまった以上、何らかの改善が必要な状況だった。先の松田氏によると、「アップグレードプログラムNXは、もともと端末価格の3分の1と決まっていたが、今回は残価が機種ごとに変わる。これによって、全機種を対象にできるため、お客さまにお得に(端末を)届けていきたい」と語る。



 松田氏が「5G時代にはいろいろな端末が出てくるが、こちらのプログラムでどんどん浸透させていきたい」と意気込んでいたように、かえトクプログラムは、5Gの商用サービス開始を意識したもの。その前哨戦として、4Gながらも「5Gの息吹が感じられる」(同)というGalaxy Z Flipで先行投入した格好だ。



 松田氏は「極端なことをして、全体で見ればいいでしょということはしない」というが、残価はKDDIがコントロールできる。5G対応スマートフォンの残価率を高めに設定すれば、サービス開始当初の負担感を抑えることはできるかもしれない。間もなく登場する5G端末の価格にも期待したい。


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