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『ママをやめてもいいですか!?』、映画タイトルに込めた「子育てのリアル」 パパなりに悩み、苦しむ姿も

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2020年02月23日 07:10  ウィズニュース

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写真『ママをやめてもいいですか!?』を撮った豪田トモ監督(右)とナレーションを担当した俳優の大泉洋さん=山本裕之撮影
『ママをやめてもいいですか!?』を撮った豪田トモ監督(右)とナレーションを担当した俳優の大泉洋さん=山本裕之撮影

【#父親のモヤモヤ】
『ママをやめてもいいですか!?』。夫の立場で聞くと、ドキッとする言葉かもしれません。そんな若干、刺激的なタイトルのドキュメンタリー映画が29日、東京・新宿シネマカリテで公開されます。孤独な子育ての日々、なかには産後うつをわずらう女性も出てきます。と聞くと、深刻で重そうに思えますが、つくりはとてもポップな「娯楽映画」です。豪田トモ監督に、映画について、育児を取り巻く問題について聞きました。(朝日新聞記者・武田耕太)

【マンガ】「パパはッ、圧倒的に役に立たない」赤ちゃん目線で描く「イクメン」 その真意は…ラストに共感

取材で見えた「子育てのリアル」
――「笑って泣ける子育てエンターテインメント映画」を掲げるこの作品には、子育てに奮闘する複数の母親や、その家族の姿が描かれます。産後うつを乗り越えて新しい命を迎えようとする女性、子ども時代のつらい記憶から、我が子を抱きしめられない女性、産後うつで自死する女性……。どうしてこのテーマで撮影を始めようと思ったのでしょうか?

長らく命や家族をテーマに取材を続けているなかで、「産後うつ」「ワンオペ育児」「孤独な子育て」などのキーワードを聞く機会が多くなりました。

それで、ネットで産後うつについてお話を聞かせてもらえませんか? と投げかけたら、体験者からたくさんの反響がありました。そこから取材をスタートさせ、産科医や助産師、臨床心理士の方々に話を聞くうちに、いろんな「子育てのリアル」が見えてきて、だんだんと「これはなんとかしないといけないな」と。「子育て環境を変えないと日本は大変だぞ」と感じるようになり、つくり始めました。

「重い映画も軽やかに」
――映画をつくるうえで意識したことはありますか?

ひとつは「産後うつの映画にしない」ということ。「重い映画にしない」ということですね。「重い映画も軽やかに」というのが僕のモットーです。「重いものを重く表現してどうするんだ」という意識がクリエーターとしてあります。音楽の使い方に工夫したり、アニメーションを何カ所か使ったり。明るく笑える場面もいっぱい入れ込みました。感動と共感と笑いと。その三つがバランスよく配置されるように心がけました。

あとは「娯楽映画」として見ていただけるようにというのも意識しました。ドキュメンタリーを娯楽映画と思っている人はあまりいないと思うのですが、あえて娯楽的に見えるようにチャレンジしました。

――タイトルに込めた思いを教えてください。

「ママをやめたい」と本気で思っている人はいません。でも、「やめてもいいですか?」と思ってしまう瞬間は山ほどある。ただ、それはなかなか口に出しては言えなくて……。現代の「子育てのジレンマ」をうまく言い表していると思いました。

さらにこれ、「いいですか!?」という「疑問符」なんですよね。誰に投げかけた疑問符なのか、というところもポイントだと思います。自分自身へというところもあるし、パートナーに「なんとかしてほしい」ということでもあるし、社会に対して突きつけるようなメッセージでもあります。

パパなりに苦しんでいる
――母親の女性たちの姿だけでなく、その夫としての男性たちにもカメラは迫ります。男性たちの姿は監督からはどのようにうつりましたか?

みんな違うんですよね。積極的に育児をしている人もいるし、やっているんだけど「違う」と言われてモチベーションを低下させている人もいる。家事とかは半分任せているけれど話し相手にはすごくなっていて精神的なサポートという意味ではすごく頑張っている人もいる。

あとはパパはパパなりに悩み、苦しんでもいる。子育てについてどうしていいかわからないと悩みを抱えているパパは実は多いのかなと思います。

――映画のなかに、「毎日遊んでいるわけじゃなくて、自分だって仕事している」みたいなことを言ってしまう父親が出てきます。

彼の言動はとても象徴的なところがあるのではないか、と思っています。「仕事をしているということを忘れないでほしい」と妻に言ってしまう。

彼は彼なりに家族のことを考えていて、ただちょっと「時代の変化」をうまくつかめていない。「夫は稼ぐだけじゃだめなんだよ」というところにうまく気づけていない、もしくは気づきたくない、というところがあると思います。20年ぐらい前だったら許されていたかもしれないけれど、いまはだんだんと許されなくなっている。そういうところをちょっと見たくない、変わりたくない、という男性代表でもあると思います。

子育ての「義務教育化」を
――男性は仕事、女性は家庭で、母親が子どもを育てるのが一番よくて。そういう伝統的な価値観を引きずっているところが私自身にもあるかもしれない、と思います。

「一緒に子育てする」というのは、男性たちにとって戦後の大きな変化のひとつかもしれません。子育てを一緒にするということは人生を大きく揺るがすことだし、会社のキャリアも大きく変わっていくことだと思うんですよね。この大きな波についていけず、のみ込まれしまう人も多いのかなと思います。

僕は前々から、子育てについて学校で義務教育化すべきだと思っています。いまは学校で教わるわけでなく、男友達同士でも教えてもらえない。上の世代から教わるわけでもない。せいぜいパートナーの妊娠中に両親教室が1回あるか、ぐらいなもの。まったく何もわからず突っ込んでいく。もしくは知らない間に大きな波が来ているのを片目で感じながら生きている、というところがある。

モヤモヤ感が止まらないですよね。一方で、それをうまくこなしちゃう「イクメン」という人たちが出てきて、自分と比べてしまう。

――「イクメン」はいっときブームにもなりました。イクメンブームについてはどう思いますか?

別にもてはやされることではないですよね。だって育児するパパでしょ? 当たり前じゃないですか。僕はすべてのパパがイクメンになるべきだと思います。当たり前のこととして。

――男性の育休義務化の議論についてはどう思いますか?

育休というか、育児トレーニング期間として、男性には仕事を休む期間が必要だと思います。女性の場合は妊娠とその期間中に体が変化しながら、ママにスイッチしていく人も多いですが、男性の場合はなかなか意識が変化しない。その意味では最初に何カ月か休んでトレーニングするというのは大事なのではと思います。

あとは産後すぐだけではなく、分割してとれることも大切だと思います。最初のほうにとることは大切ですが、一方で子育ては最初だけではない。その後も続くことです。さらに夫婦の仕事の条件など人によって異なる。たとえば小学校に入るまでに分割して1年はとれる、というような制度があっていいと思います。

さらには、育休だけでなく「定時帰り」の義務化も必要だと思います。たとえば3歳までの子どもを育てている人は定時帰りできるようにしましょう、と。それをやることで、その後も定時帰りが習慣になり、家族で一緒に夕食も食べられる。夫婦で1日あったことを話せるし、サポートし合える。子どもの顔も見られます。

映画を「ママやめ」の機会に
――「ママをやめたい」と言われたら、夫はどうしたらいいでしょうか?

病気で予防が大事なように、言われる前に何をするかが大事だと思います。常に奥さんにはハッピーでいてほしいし、それは夫として最も優先して取り組むべきことの一つだと思っています。

僕は三つのことを心がけています。「一緒にいること」「愛情や感謝を表現すること」「話をちゃんと聞くこと」。この三つはとても大事だと思います。

――映画について。映画を見たいとママが思っても、小さな子どもがいるとなかなか映画館に見に行けないという人もいると思います。赤ちゃんと一緒に映画を見られる「ママさんタイム」上映も予定しているとか。

そうですね。それから僕たちの映画は自主上映会という形で、地域でママさんたちが企画して会場を借りてという形のほうが向いている。こうした上映会だとほとんどが子連れOKになるので、そういう機会で見てもらえたらうれしいです。

そもそもですが、一時的に「ママやめ(ママをやめる)」する時間が子育てにとって大事だと思っているんですよね。リフレッシュしてクールオフする時間はとても大切です。この映画を見たいというママがいたら、まわりがサポートしてほしいと思います。「ママのためにつくった映画」で、それを見たいと言っているのに、見ることができないとすれば悲しいし、残念だなと思います。

――あるべき姿としては、夫のほうが「子どもを見ているから行ってきなよ」ということ?

そうですね。その機会にしてほしいなと思います。もしいままで「ママやめ」する機会がなかったのだとすれば、この映画を一時的な「ママやめ」の機会にしてもらいたいと思います。

もちろんママだけでなく、パパである男性にもぜひ、みてほしいです。

     ◇

『ママをやめてもいいですか!?』は、2月29日(土)に東京都新宿区の「新宿シネマカリテ」で公開するほか、全国の映画館で順次公開予定。監督は「うまれる」「ずっと、いっしょ。」などの豪田トモさん。ナレーションは俳優の大泉洋さん。詳細は公式サイトで。

父親のモヤモヤ、お寄せください
仕事と家庭とのバランスに葛藤を抱え、子育ての主体と見られず疎外感を覚える――。共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、このようにモヤモヤすることがあります。

一方、「ワンオペ育児」に「上から目線」と、家事や育児の大部分を担い、パートナーとのやりとりに不快感を覚えるのは、多くの場合「母親」です。父親のモヤモヤにぴんとこず、いら立つ人もいるでしょう。「父親がモヤモヤ?」と。

父親のモヤモヤは、多くの母親がこれまで直面した困難の追体験かもしれません。あるいは、父親に特有の事情があるかもしれません。いずれにしても、モヤモヤの裏には、往々にして、性別役割や働き方などの問題がひそんでいます。

それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながるはずです。語ることに躊躇しながら、でも、#父親のモヤモヤについて考えていきたいと思います。

     ◇

記事に関する感想をお寄せください。「転勤」というキーワードで、モヤモヤや体験を募ります。

いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

このニュースに関するつぶやき

  • 父親の育児時間と子供の知能が反比例するらしいが、推進して大丈夫?
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  • なんでもかんでも学校に押しつけるのはやめてくれよ。平成6年(1994)から家庭科は男女共修の必須科目になっている。知らないとは言わせない。
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