メディアミックスプロジェクト戦国時代が到来? DJ、お笑い、戦国武将……多種多様に広がるコンテンツの現在

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2020年02月23日 16:41  リアルサウンド

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写真D4DJ Departure Disc『Dig Delight!』(Aver)
D4DJ Departure Disc『Dig Delight!』(Aver)

 アニメやゲームに加えて女性声優によるリアルライブを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』(以下、『バンドリ!』)、男性声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(以下、『ヒプマイ』)など、近年は音楽を絡めたメディアミックスコンテンツの人気や注目度がますます上昇。キャラクターソングがヒットチャートの上位につけることは最早珍しいことではないし、アニメ誌のみならず音楽誌や一般誌、TV番組などのメディアで特集が組まれることも多くなった。


参考:『D4DJ』全キャストから感じた未来への躍動 総勢20名で盛り上げた『D4 FES. -Departure-』を振り返る


 もちろん、それ以前から『アイドルマスター』シリーズや『ラブライブ!』シリーズのように広く人気を集めるコンテンツも多くあったが、それらがいわゆる「アイドル」をテーマにしていたのに対し、『バンドリ』ではバンド活動、『ヒプマイ』ではラップバトルを作品の軸に据えることで、既存のコンテンツとの差別化を実現。それが作品自体の個性を強調するとともに、音楽的にも今までにない広がりを生み、キャラクターコンテンツの音楽の在り方にある種の改革をもたらしたことが、より多くの人の心を惹きつけた理由だと思う。


 そんな状況のなか、昨年から今年にかけて新しいメディアミックスコンテンツが続々と誕生。『バンドリ』や『ヒプマイ』の躍進に続けとばかりに、従来の枠組みに収まらないユニークな要素を取り入れた作品が増えている。ここでは、そのなかから注目作をいくつか紹介することで、メディアミックスコンテンツ隆盛の現在を切り取ってみたい。


■ブシロードが打ち出すDJメディアミックス『D4DJ』


 まずは『バンドリ!』を展開するブシロードが昨年に本格始動させたプロジェクト『D4DJ』。本作のテーマはズバリ「DJ」ということで、イベントでは作品の登場キャラクターを演じるキャスト勢によるDJパフォーマンスを交えたライブを実施。演者には、愛美や前島亜美、大塚紗英、RAISE A SUILENのDJとして活躍する紡木吏佐ら『バンドリ!』声優が名を連ねるほか、西尾夕香、高木美佑といった実際にDJ活動を行っている声優、さらには元AKB48の平嶋夏海、元PASSPO☆の根岸愛、コスプレイヤー/DJのつんこなどのタレントも参加しており、声優に限らず様々な分野から役に適した人材を起用している。


 もちろん音楽面での力の入れようも相当なもので、作品全体の音楽プロデューサーとして『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』などのヒットアニメを手がけた斎藤滋が参加しているほか、作中に登場する各音楽ユニットごとにも音楽プロデューサーを起用。稀代のヒットメイカーである上松範康(Elements Garden)や、アニメ監督でDJ経験も豊富な水島精二、『ポケットモンスター THE ORIGIN』の音楽プロデューサーとして知られる都田和志などが名を連ねている。


 また、各ユニットによって音楽性が異なるのもポイント。ハピコア的なテンション感とノリの良さが特徴のHappy Around!、Elements Garden製のクールなダンスミュージックを聴かせるPeaky P-key、本格派のエレクトロハウスで未来的なサウンドを展開するPhoton Maiden、ハイブリッドトラップとセクシーな歌声がマッチしたMerm4id(マーメイド)、Sho from MY FIRST STORYらが提供した楽曲でロッキンに攻める燐舞曲(ロンド)と、DJというテーマをベースにしつつ、様々なジャンルの音楽を楽しむことができる。2020年秋にはスマホ向けアプリゲーム『D4DJ Groovy Mix』がサービス開始予定、さらにアニメ版の監督は水島精二が務めることも決定しており、今後間違いなくブレイクするコンテンツと言えるだろう。


■『ヒプマイ』の対抗馬となりそうな『Paradox Live』


 そして『ヒプマイ』の対抗馬となりそうなコンテンツが、エイベックスとGCREST(ジークレスト)によるHIPHOPメディアミックスプロジェクト『Paradox Live』。近未来を舞台に、14人のラッパーたちが4つのチームに分かれて「幻影ライブ」と呼ばれるラップバトルで競い合う、その世界観や設定を含めて『ヒプマイ』との共通項が多い本作だが、とはいえ全体の雰囲気はだいぶ異なっている。その違いを言語化するのは難しいが、『ヒプマイ』が日本語ラップ的だとすれば、『Paradox Live』はよりグローバル感があるというか、ヒップホップやR&Bを取り入れた近年のポップス(特にK-POP系)のサウンドに近しいものを感じさせる。


 先日リリースされたばかりの初CD作品『Paradox Live Opening Show』には、各チームの楽曲を1曲ずつと、それぞれのドラマトラックを収録。AIやCHEMISTRYらへの楽曲提供で知られる藤本和則が制作(作詞はMICRO)したBAE(ベイ)のエレクトロR&B「BaNG!!!」、ジャジーヒップホップの香りが漂うThe Cat’s Whiskers「MASTER OF MUSIC」、ダウナー系双子ユニットのcozmezが歌うトラップチューン「Where they at」、ダンスホールレゲエ風のリディムに乗せて5人がマイクを回す悪漢奴等の「BAD BOYZ -悪漢奴等 Underground-」と、各収録楽曲のスタイルは多様ながら、いずれもスタイリッシュなラップソングとなっている。


 ちなみに本作には、豊永利行や畠中祐、土岐隼一といったアーティスト活動も行う男性声優に加え、歌い手として活動する96猫、浦島坂田船の志麻などがキャストとして参加。各チームのキャラクターデザインにも、イラストレーターの秋赤音、『刀剣乱舞』の絵師として知られる小宮国春といった、若年層に人気のクリエイターを起用しており、いわゆる声優ファンに向けたのとはまた違う間口を用意している。そういった意味でも色々なところから人気に火が付く可能性がありそうだ。


■アイドル系の期待コンテンツ『IDOL 舞SHOW』『IDOLY PRIDE』


 また、アイドルコンテンツに関しても、引き続き新しい企画が多く立ち上がっているが、最近は従来の作品との差別化を図った作品が増えている。例えば2019年に始動した『IDOL 舞SHOW』は、戦国時代の武将である斎藤道三・伊達政宗・真田幸村の生まれ変わりとなるプロデューサーたちが、アイドル戦国時代に制するために、自身がプロデュースするアイドルグループを率いて戦(ライブ)を繰り広げるという、何ともユニークな設定のコンテンツ。そのプロデューサー役には、斉藤滋、冨田明弘、木皿陽平という、実際にアニメソングの世界で活躍する音楽プロデューサーが就任。彼らがそれぞれ、ダンスミュージック〜R&B系のサウンドを得意とするNO PRINCESS、正統派アイドルグループの三日月眼(ルナティックアイ)、10人組という多人数ならではのステージングで魅せるX-UC(テンユーシ)という3組の声優ユニットをプロデュースし、CDリリースやライブイベントなどを通じて魅力的な音楽を発信している。


 そして、ミュージックレイン所属の声優が揃って参加していることで注目を集めているアイドルプロジェクトが『IDOLY PRIDE』。小さな芸能事務所、星見プロダクションに所属する10人の新人アイドルを中心に、アイドルの最高峰をめざす女の子たちの物語が描かれるという本作。星見プロダクションの新人アイドル役を、ミュージックレインの新人となる3期生の5名と各声優事務所期待の若手5名が演じるほか、そのライバルグループとなるTRINITYAiLE役にTrySailの麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜、LizNoir役にスフィアの寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生が決定しており、原案には『ラブライブ!』に関わったことで知られる安達薫(ストレートエッジ)や脚本家の花田十輝も参加。さらに、大石昌良、沖井礼二(TWEEDEES)、北川勝利(ROUND TABLE)、さかいゆう、田中秀和(MONACA)、やしきん、kz(livetune)、Q-MHz、Wicky.Recordingsら豪華クリエイター陣が楽曲提供を行うとのことで、音楽面でもハイクオリティなコンテンツとなることが期待される。現時点ではまだ情報は少ないが、先日に『ワンダーフェスティバル2020[冬]』で行われた星見プロダクションのキャストによる初ステージの評判も良く、すでにTVアニメ化が発表されていることもあり、間違いなく今後大きな話題となることだろう。


■『ラフラフ!』『天歌奏流-TENKASOUL-』など、新興勢力もぞくぞく登場


 他にも個性的なメディアミックスコンテンツは多数ある。例えば2020年にプロジェクトが本格始動した『天歌奏流-TENKASOUL-』は、戦国時代にタイムスリップしてしまったロックバンドのメンバーたちが、「天歌」と呼ばれる謎の力を持った楽団として戦国武将に召し上げられて共に戦うという戦国ロック活劇。物語はボイスドラマCDで展開されており、そこに各武将に協力するロックバンドたちの楽曲も収録。ボーカルにはPENGUIN RESEARCHのフロントマンで声優活動も行う生田鷹司をはじめ、大城盛東、kaytoという若手の実力派が揃っており、エンドウ.や山本メーコ、おぐらあすかといった一二三所属のクリエイターたちが制作した、戦国武将たちをも鼓舞する熱量の高いロックチューンを歌っている。


 そしてゲーム会社のアカツキがプロデュースする、ジャズをテーマにしたメディアミックスプロジェクトが『JAZZ-ON!(ジャズオン!)』。本作の舞台となる市立湊ヶ丘高等学校には、本格的なジャズに打ち込む研究会「Swing CATS」と、アニソン×ジャズサークルの「星屑旅団」というふたつのジャズ部が存在。彼らジャズに対する価値観の異なる二組が、それぞれの思いを胸に自らの信じるジャズを奏でる青春ストーリーとなっている。こちらもCD(楽曲+ドラマトラック)が中心となっており、SANOVAの堀江沙知やジャズピアニストの桑原あい、サックス奏者のユッコ・ミラー、ジャズインストバンドのCalmeraといった実力派が楽曲を提供。一流ミュージシャンたちによるホットな演奏をバックに、人気男性声優たちが艶やかな美声やスキャットを聴かせる、他ではなかなか楽しむことのできないサウンドが個人的にも一押しだ。


 さらに、DMM musicとオトメイトの共同プロジェクトとして昨年スタートしたのが、男性声優×お笑いプロジェクトの『ラフラフ!-laugh life-』。全7組16人の芸人たちの物語やネタをCDで展開しており、なおかつ各CDには彼らが結成したアイドルユニットの楽曲も収録している。同じくお笑いを題材にしたメディアミックス企画としては、サンリオ発のお笑い芸人キャラクターによるプロジェクト『Warahibi!』も注目。YouTubeでネタ動画を配信しているほか、先日に12人の芸人キャラが歌うメインテーマ「GIFT for SMILE!」をリリースしたばかり。この楽曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが提供した、レゲエ調のリズムによる心温まるミディアムナンバーで、中盤ではTECHNOBOYSお得意(「SIX SAME FACES 〜今夜は最高!!!!!!〜」「BAKA-BONSOIR!」などを参照)のキャラクターたちによる掛け合いネタもしっかりと盛り込まれており、お笑いコンテンツならではの音楽作品に仕上がっている。


 今後も、アニメ×アプリゲーム×フットサル試合イベントによるメディアミックス企画『フットサルボーイズ!!!!!』(音楽はR・O・Nが制作)、吹奏楽×男子高校生×青春をテーマにしたDMM GAMESの新作ゲーム『ウインドボーイズ!』(楽曲制作はノイジークロークの坂本英城)といった作品が本格始動を予定。それを思うと、キャラクターコンテンツと音楽の掛け合わせにはまだまだ無限の可能性があるだろうし、もしかしたら2020年は、これ以外にもアッと驚くようなメディアミックス作品が登場するかもしれない。ぜひ自分の感性にピンとくる作品を探してみてほしい。(流星さとる)


このニュースに関するつぶやき

  • 外したら損害凄そう
    • イイネ!2
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  • アイドルグループ、作り過ぎ……ピークを越えたら、破綻続出となるでしょうね(ーー;)
    • イイネ!19
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