シャイニーカラーズ、最新曲がチャートで存在感 作家の職人技が最大限発揮された“王道アイドルソング”に

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2020年02月24日 08:02  リアルサウンド

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シャイニーカラーズ『THE IDOLM@STER SHINY COLORS SWEET♡STEP』

参考:2020年2月24日付週間シングルランキング(2020年2月10日〜2020年2月16日)(https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2020-02-24/)


 2020年2月24日付の週間シングルランキングでは、ランティスからリリースされているCDが、ベスト10に4枚もランクインする事態になりました。ゲームアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」関連の3作品が8位から10位を占める中、最も高い2位を獲得したのが、アイドル育成ゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」に登場するアイドルのシャイニーカラーズによる『THE IDOLM@STER SHINY COLORS SWEET♡STEP』です。


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 実はこのチャート連載で、これまで私が取りあげてこなかったのがゲーム「THE IDOLM@STER」の関連作品。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」は、「THE IDOLM@STER」シリーズの2018年からスタートしたゲームです。


 『THE IDOLM@STER SHINY COLORS SWEET♡STEP』に収録された「SWEET♡STEP」の作家陣の名前には見覚えがありました。作詞は深川琴美。アニソンも多く手がけていますが、個人的にはボーカル&ダンスユニット・MELLOW MELLOWの作品群が好きです。そして、作編曲はNA.ZU.NA。ヒットファクトリーである作家事務所・オベリスクに所属するプロデューサー、ソングライターです。TWICE、E-girlsなどに多数の楽曲を提供しており、このチャート連載で取りあげたこともあります。


 そんな深川琴美とNA.ZU.NAによる「SWEET♡STEP」ですが、私の知っている彼らの作品とはかなり雰囲気が異なります。とにかく明快にポップ。特にサウンドが、記号的なほどわかりやすくテクノに傾斜していることには驚きました。たとえば、NA.ZU.NAが作編曲したTWICEの「One More Time」(2017年)を聴いてみると、トロピカルなトレンドを押さえたダンストラックでした。振り幅の広さに驚かされます。


 また、深川琴美がMELLOW MELLOWに書いた「WANING MOON」(2019年)は、彼女たちの心を読み取ったかのように生々しい手触りの歌詞でした。それに対して「SWEET♡STEP」では、ストレートに恋心を描いています。


 つまり、深川琴美とNA.ZU.NAの職人技が最大限に発揮されたのが「SWEET♡STEP」で、それは保守的なようでいて、かなりソリッドな機能性を持っています。極限までキュート、という作品は想像するほど簡単には作れません。


 「SWEET♡STEP」は、2次元作品に出てくるアイドルの全体曲という位置づけです。では、現実世界に存在する3次元のアイドルの楽曲とフラットに並べてみるとどうか? そう考えても、かなりのクオリティの高さです。


 シャイニーカラーズの楽曲は、王道的、正統派と表現することもできるでしょう。ただ、現実世界のアイドルは、そうしたキーワードをよく使うものの、音楽的には上手くイメージを作れないことも多々あります。なぜなら、現在「王道的」や「正統派」という言葉に最もふさわしいアイドルとは乃木坂46であり、それに比類するクオリティの音楽を作るのは容易いことではないからです。


 そんなことを考えてしまうのは、NA.ZU.NAが、乃木坂46の生田絵梨花のソロ曲「命の真実 ミュージカル『林檎売りとカメムシ』」(2016年)の作編曲をしていたからでした。つまり、起用する作家と担保されるクオリティに関しては、シャイニーカラーズが乃木坂46と肩を並べているわけです。


 3次元のアイドルが直面することになる、ストレートで王道的な楽曲を作ることの困難さを、2次元のアイドルが軽々と飛び越えていく。そんな光景をイメージしたのが、『THE IDOLM@STER SHINY COLORS SWEET♡STEP』でした。(宗像明将)


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