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鉛筆の芯を“鎖”や“エッフェル塔”に変身させる彫刻家「芯は折れるのが当たり前だから美しい」

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2020年02月25日 10:00  ORICON NEWS

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写真エッフェル塔に鎖・・・1本の鉛筆の芯から切り出した作品 画像提供:シロイさん
エッフェル塔に鎖・・・1本の鉛筆の芯から切り出した作品 画像提供:シロイさん
 身近な文房具のひとつである鉛筆の芯を使った小さな芸術、“鉛筆彫刻”。シロイ/鉛筆彫刻人(@shiroi003)さんは、鉛筆の芯にA〜Zのアルファベットを彫った早回し動画をTwitterに投稿し、14万を超えるいいねを集めた。他にも武器やエッフェル塔などを作品として公開し、その繊細過ぎる技術にフォロワーからは「凄いとしか言葉が出てこない…」「正気なのか(褒めてる)」など、感動を伝えるコメントが相次いでいる。鉛筆という極小のキャンパスで表現する、超絶技巧への努力や苦労、そしてアートにかける熱量を本人に聞いた。

【画像】シンプルにすげえ…バスターソードやAtoZ、あのキャラクターや失敗作も…シロイさんの超絶技巧フォトギャラリー

■鉛筆彫刻は集中力との戦い「専用の道具がないからこそ、選ぶ楽しみもある」

――鉛筆彫刻を始めたきっかけを教えてください。

【シロイ】5年程前にたまたまテレビをつけていたときに映った鉛筆彫刻家の山崎利幸さんの作品を観たことがきっかけです。文字を“書く”鉛筆という道具を使って、視覚的に文字を表現するアイディア、そして簡単に折れてしまうからこそ表現できる繊細なアートに衝撃を受けたのが私の活動の原点。今では月に3〜6本のペースで作品を作っています。

――鉛筆彫刻を始めた当時の思い出や作品は覚えていますか?

【シロイ】初めて作ったのは『LEE』という文字です。理由はアルファベットで1番簡単そうだった『L』と、頑張ればできそうな気がした『E』だけで構成されているから。有名なデニムブランドと人気のレトルトカレーの名前がよぎりました(笑)。始めた当初は夜中まで睡魔と格闘しながら作業したにもかかわらず、芯が折れてしまうという失敗をしていましたね。鉛筆彫刻はとにかく集中力を要する作業なので、今はいかに無理せず続けられるかを考えながら取り組んでいます。

――では初心者が鉛筆彫刻に挑戦するとしたら、どんなものがおすすめですか?

【シロイ】私もそうでしたが、やはり最初はアルファベットがおすすめです。文字の形がシンプルで直線も多いので、複雑な漢字なんかに比べたらだいぶ楽ですので。そして始める前は「鉛筆の芯は簡単に折れるもの」と肝に銘じておくこともすごく大事。私も最初はたくさん折りましたし、何なら今でも全然折ります。なので、失敗したからといって過度に落ち込まないようにしてほしいですね。

――シロイさんは、どんな道具を使用して彫っているのでしょうか?

【シロイ】主に使っている物はカッター、デザインナイフ、ドリル、紙ヤスリです。鉛筆彫刻専用の道具なんてもちろん販売していないので、いろいろ試しながら自分がやりやすい物を探していきます。これに関しては試行錯誤あるのみという感じですが、その一方で道具次第で作品の仕上がりも劇的に変わってくるのも事実。なので、道具探しは私にとって作業を行う上での楽しみでもあるんです。

■「芯が折れれば自分の心も折れる」スランプを乗り越える秘訣は失敗を正面から受け入れること

――鉛筆は普通に使用しても芯が折れることがある繊細な道具ですが、彫刻をする際はどのような点に気を付けていますか?

【シロイ】いかに集中力を保てるかに気を遣っていますね。私の場合は、長時間作業せずにこまめに休憩を取るなど、工夫しながら作業しています。

――鉛筆彫刻は根気勝負だと思いますが、作業中にイライラしてしまうことは…?

【シロイ】もちろんあります。思い通りに彫れなかったり、完成したら想像と違う感じになってしまったり。でもそんなときは「それが自分の実力だ」と受け入れるようにしています。

――では制作中にスランプに陥ったとき、それを乗り越える方法は?

【シロイ】芯が折れてしまったときは、自分の心も一緒に折れます。そういう状況になったときは、紙に芯が折れてしまった原因を書き出します。それで“折れた”という事実を自分の中で受け入れて、失敗を認めるよう努めます。正面から失敗を受け入れたほうが立ち直りも早いですし、次の作品作りにも精を出せるので。

――忘れられない失敗談はありますか?

【シロイ】9割以上完成していてあとは仕上げるのみ、という状況で、逸る気持ちを抑えられず、寝起き1番で作業の続きを開始したんです。そしたら芯がぽっきりと入れてしまって……朝イチでの出来事だったので、その日1日はショックで引きずりました。記事を読んでいる皆さんにもそのときの気持ちを察していただけると幸いです……(笑)。

――とくにお気に入りの作品を教えてください。

【シロイ】1本の鉛筆から40個の鎖を彫った『ペンシル・チェーン40』です。鎖の形状に彫ることで本来曲がることのない鉛筆を曲げられるようにしました。自分的には“鉛筆の概念・常識を曲げた作品”になったと思っています。

――作るのが難しかった作品は?

【シロイ】色鉛筆作品は難しかったです。色鉛筆と普通の黒鉛筆とは芯の性質が全然違うので、それでかなり苦戦しました。これはあくまで僕の感覚なんですが、色鉛筆の芯は柔らかくて粘り気もあって且つ脆さもある。彫刻作品を作るには非常に難易度の高い素材という印象です。

■芯が折れるか折れないかのギリギリの狭間にこそ鉛筆彫刻の美しさがある

――フォロワーさんからのリクエストで制作することはありますか?

【シロイ】あります。必ずではないですが、作品のアイディアとして参考にさせてもらっています。

――リクエストいただいたものを販売することは?

【シロイ】今のところ販売はしていません。過去に1度Twitterのプレゼント企画として、1名のフォロワーにハートチェーンを郵送したことがあったのですが、その方からは「思ったより全然小さかった」と言われました(笑)。

――拡大して公開されていますから、勘違いしてしまうのかもしれないですね(笑)。鉛筆の細さでやられてることを考えると、相当小さいんでしょうね。

【シロイ】そうですね。実際に僕の作品を間近で見た方から、小さいと感想を持たれることはとても多いです。

――鉛筆彫刻の魅力はどこに感じていますか?

【シロイ】“折れる美しさ”ですね。誰もが鉛筆の芯を折った経験があると思います。当然鉛筆彫刻でも、もちろん簡単に折れてしまいます。制作中も制作後も。折れるのが当たり前。形を保つことが難しい不安定なアート。その折れるか折れないかの狭間にこそ鉛筆彫刻の美しさ、魅力があると思います。

――鉛筆彫刻を見る人には作品のどんな部分に注目し、楽しんでほしいですか? 作り手側としての思いがあればお聞かせください。

【シロイ】ご自身が過去に経験された、鉛筆の芯が折れてしまったときの記憶を思い出しながら作品を見てほしいです。そうすることで折れるはずのものが折れていないという不可思議な事実に驚きを覚え、その不安定な状況で生まれる美しさに感動していただけると思います。鉛筆彫刻家として活動されている方は、私以外にも国内外にいますし、皆さん本当に素晴らしい作品を生み出されています。日本ではまだまだマイナーなジャンルですので、まずは1人でも多くの方に鉛筆彫刻の世界を知ってもらえたら。そしてこの小さなアートを大きなものにしていけたら、作り手のひとりとして私は幸せです。

このニュースに関するつぶやき

  • 地味に凄い( p´⌒`q)
    • イイネ!2
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  • 6Bなんて芯は太いけど脆そうなのに凄いですね。銀のスケート靴というお話しで、お兄ちゃんが木を鎖状に細工してネックレスを作ってたのを思い出しました。
    • イイネ!9
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