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田原総一朗「守りの経営を壊して第4次産業革命にチャレンジせよ」

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2020年02月26日 07:00  AERA dot.

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写真田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
 ジャーナリストの田原総一朗氏は、IT革命に乗り遅れた我が国の状況を鑑み、“人生120年”時代の日本のあり方を考える。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *
 1年ばかり前に、京都大の山中伸弥教授が私に、「ゲノム編集による再生医療によって、今後10年くらいでほとんどの病気が克服されるようになる」と語った。

「ほとんどの病気が克服される」ということは、人間の寿命が延びるということである。山中氏は、平均寿命が120歳ぐらいになるのではないか、と言われた。

 もちろん寿命が延びるというのは、ありがたいことである。これまで世界の医療は、何とかして難病を克服しようと懸命になってきた。

 かつては、がんが発見されれば、すなわち生命の危機とされてきたのだが、医療の発達によって克服されるケースもあり、抗がん剤などの普及で生存期間が延びている。

 ただ、問題も少なからず生じる。

 これまで、私たち日本人の人生設計は、約20年間学び、約40年間働き、約15年間年金生活をする、というものであった。

 だが、平均寿命が仮に大幅に延びた場合、人生設計を作り直さざるを得なくなる。

 たとえば、現在では65歳から年金が受給できるのだが、平均寿命が100歳を超えれば、現在の年金制度は破綻(はたん)する。少なくとも、年金受給年齢を75歳程度に引き上げる必要がある。となると、75歳までは働ける、ということにならざるを得ないのだが、現在の60歳定年制をどうすればよいのか。

 今、多くの企業で50代の従業員が大きな問題になっている。

 50代になって部長や課長などの役職に就いた従業員はともかく、役職に就けなかった50代はモチベーションに欠けて、しかも給料は高く、使いにくい。経営陣としては解雇したいのだが、終身雇用制でそれができない。どの企業でも大きな問題になっているのだが、75歳まで働けるとなると、一体どういうことになるのか。

 さらに、1989年には時価総額で世界のトップ50社の中に、日本企業が32社入っていた。1位はNTTであった。ところが、2018年には、世界のトップ50社の中に残っているのはトヨタ1社だけで、しかも35位であり、その他の企業はすべて落ちこぼれてしまったのである。

 人工知能の権威である東大の松尾豊教授によると、日本企業はIT革命(第3次産業革命)で、米国の3周遅れになってしまったのだという。

 そして、トヨタ、日立、パナソニック、三井住友銀行など、少なからぬ大企業は、メインの研究所が日本国内にはなく、カリフォルニアのシリコンバレーに設置している。

 なぜ、日本国内ではなく、シリコンバレーなのか。その理由を問うと、いずれの企業の広報担当者も「日本では、人工知能の研究者が育っていないからだ」と答えた。

 そして、米国のスタンフォード大やハーバード大には多くの研究者がいるのだが、日本に来てくれないのだという。

 その理由は二つで、一つは報酬の差である。中国や欧州各国に比べて、日本は年功序列制で、20代の研究者の報酬は大きく劣る。そしてもう一つは、日本企業は守りの経営で失敗を認めないからだ、というのである。日本の大企業は、ほとんどがサラリーマン経営者で、チャレンジができない。だから、第3次産業革命に乗り遅れたのだが、さて、どうすれば第4次産業革命にチャレンジできるのか。大難問である。

※週刊朝日  2020年3月6日号

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