WTCR:ロブ・ハフが実質的引退を宣言。15年におよぶツーリングカー世界戦での活動に幕

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2020年02月26日 17:41  AUTOSPORT web

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2020年はWTCRに参戦しないことを表明したロブ・ハフ。WTCC時代を含め、350戦31勝を記録した
2012年のWTCC世界ツーリングカー選手権チャンピオンであるロブ・ハフが、2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップへの参戦を見合わせることを発表した。実質的なシリーズからの引退表明で、ハフは15年間におよぶ世界的ツーリングカー・シリーズの舞台から退くこととなる。

 過去2シーズンをSLR(セバスチャン・ローブ・レーシング)で過ごし、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブしてきたハフだが、同チームはフォルクスワーゲン・グループが表明した「内燃機関モータースポーツ・カテゴリーにワークス体制での参戦は行わない」という指針を受けてシリーズを撤退した。

 そのため、チームに所属していたハフ、ヨハン・クリストファーソン、メディ・ベナーニ、ベンジャミン・ロイヒターの4名はレースシートを失う形になっていた。

 そんな背景もあり、ハフは2020年シーズンに向け最高峰ツーリングカー・シリーズへの参戦を見送り、自身が運営に関与する『Teamwork Huff Motorsport(チームワーク・ハフ・モータースポーツ)』や中国での活動に注力することを決断。この結果、350戦出走で通算31勝、このうちマカオでは前人未到の9勝という輝かしい戦績を残して、世界選手権での15年間のキャリアに終止符を打つこととなった。

「この決断を受けてなお、ロブは我々WTCRファミリーの一員であり、今後もそれは変わらないだろう」と惜別の辞を贈ったのは、WTCRプロモーターであるユーロスポーツ・イベント代表のフランソワ・リベイロ。

「この15年間、彼はトラック上で非常に優れたレーサーであり、偉大な大使でもあった。2020年の新たなチャレンジに向け、その成功を祈念するとともに、いつかまた彼がWTCRのグリッドに戻ってきてくれる日を楽しみにしている」

 2012年のWTCC王者は、今後CTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップで共闘するSAICフォルクスワーゲン333レーシングでの活動に力を注ぐと同時に、GTカテゴリーや自身が偏愛するヒストリックカー・レースの分野に目を向けたいと抱負を語った。

「世界的ツーリングカー・シーンでこれほど長いキャリアを積んだことを、今は心から誇りに思うよ。350ものレースにエントリーできたなんて、信じられない気分だ。そんなに多くのレースを戦ったなんて思えないほどだよ」と世界選手権でのキャリアを振り返ったハフ。

「2006年の(チェコ共和国)ブルノでの初勝利は昨日のように覚えている。その後の数シーズンも夢のようだった。とくにシボレー・ワークスとは素晴らしい時間を共有し、アラン・メニュ、イバン・ミューラーという信じられないほどタフなチームメイトを相手に、2012年にはワールドチャンピオンのタイトルを獲得できたんだからね」

「それに、ラーダに移籍してマカオでラップレコード樹立と勝利を飾ったことも、また別次元の挑戦だった。2017年にシトロエンをドライブして、マカオでの前輪駆動最速ラップを記録したけど、その後何年かはレコードホルダーでいることもできた」

「そしてこの2年間、SLRとフォルクスワーゲンは僕のホームであり、いくつかの浮き沈みを乗り越えて素晴らしい時を過ごした。我慢のシーズンを経て3カ月前のマカオでポールポジションを獲得したときは、本当に信じられない気分だった」

「今後、僕は確実に新たなチャレンジに向かうことになる。自分のキャリアを再編して、次のことを始めるいい機会だと考えているんだ。当面の焦点は、中国でのツーリングカー選手権になるだろう。僕自身もいくつかのレースを戦いつつ、同時に新たな才能の発掘と育成にも力を注ぎたい」

「そして昨年、それほど多くを実現できなかったのがヒストリックカー・レースの分野にも積極的に関わりたい。僕はその世界を本当に愛しているんだ。それに、スポーツカーやGTのカテゴリーにも少し時間が割けるようになるだろう」

「これは僕のキャリアの新たな章の幕開けであり、将来的にもっとツーリングカーでのレースを楽しむ機会もあるはずだ。ワールドツーリングカーの旅に参加してくれた多くの人々に感謝したいし、家族や友人の支援がなければこれほどのことは成し遂げられなかったはずだ。本当にありがとう」

 シリーズから離れるチームやドライバーが多くなっているWTCRだが、ホンダ陣営でエースチームとなるミュニッヒ・モータースポーツは、KCMGの実働部隊を引き継ぎ4台のオペレーションを担当することを発表している。

 2019年はエステバン・グエリエリ、ネストール・ジロラミの2台体制で挑んでいたホンダ陣営のミュニッヒ・モータースポーツは、2020年シーズンに向けKCMGの参戦枠を引き継ぎ、WTCRのグリッドに並ぶFK8ホンダ・シビック・タイプR TCR全車のオペレーションを担当することが確実となった。

 WTCRには、マニュファクチャラー1社につき投入できるマシンを最大4台、1チームあたり2台までとする協定が存在する。そのためミュニッヒは参戦エントラントを分けることで4台のオペレーションを行うとみられる。同様の手法はLynk&Coやヒュンダイ・モータースポーツも採用してきた。

 この4台は、現状2020年のWTCR参戦を公式に表明している唯一のエントラントであり、Lynk&Coとヒュンダイは3月末の公式プレシーズンテストの日程に合わせて、プログラムを発表する予定となっている。

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