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なんと屋内で! “うっかり凍死”に気をつけろ

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2020年02月27日 11:30  AERA dot.

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写真両親に監禁されたとされる、当時33歳の女性が凍死した自宅=2017年12月、大阪府寝屋川市 (c)朝日新聞社
両親に監禁されたとされる、当時33歳の女性が凍死した自宅=2017年12月、大阪府寝屋川市 (c)朝日新聞社
 夏になると熱中症で亡くなる人が相次ぐが、実は冬に凍死する人のほうが多い。しかも、屋内で亡くなる例が少なくない。今年は暖冬といっても昼と夜の寒暖差は大きく、底冷えの日もある。温度の感度が鈍くなった高齢者は低体温症による“うっかり凍死”になりかねない。対策を紹介する。

【グラフ】熱中症よりも多い 凍死者数はこちら

*  *  *
 まずは、厚生労働省の「人口動態調査」(2014〜18年)によると、15年以外は毎年千人以上が凍死している。猛暑だった18年以外は、熱中症で亡くなった人の数より多い。年齢別では、全体の78%を65歳以上が占めている。

 場所別(その他、不明を除く)では、18年は家(庭)が540人と最も多く、全体の約42%だった。また、日本救急医学会が10年12月〜11年2月に実施した、低体温症についての全国調査によると、屋内発症(303例)が屋外発症(100例)の3倍に達した。屋内の場合、約4分の3は寒冷環境で発症したという。

 東京都監察医務院の担当者は「一般論」と前置きした上で、こう話す。

「屋内で凍死する原因は、暖房を使用するなどの温度管理ができていないから。基礎的な体力が低下している高齢者に多く、健康的な人では起きない」

「芝大門いまづクリニック」(東京都港区)の今津嘉宏院長も、屋内にいても寒さによる低体温症で多臓器不全が起きて凍死する可能性があると指摘する。

「低体温症は、体の中心部の深部体温が35度以下の状態です。普段、体温計を脇に挟んで測るのは皮膚温。深部体温のほうが1度高く、普通は約37度に保たれています。寒さで体熱が奪われ、低体温症になると臓器が機能不全状態に陥り、死亡率が上がります」

 低体温症にはどんな兆候が見られるのだろうか。

「まずは、手足の末端が収縮して冷たくなり、体が震えてきます。動作が鈍り、体内の機能も低下するので、便秘も体が冷えているサインです」

 このような自覚症状が表れたら、体の内部から温める行動をとりたい。簡単にできる対処法として、今津氏は、ゆっくりと鼻から吸う深呼吸を3回してほしいと言う。吐くときは口からでも構わない。体が温まるまで繰り返したい。

「深呼吸をすると、人間の体で一番大きい呼吸筋である横隔膜が動きます。筋肉を動かすと、体の中に熱を発生させることができます。横隔膜が大きく動いていれば、腹式・胸式のどちらでも構いません」

 また、一日で一番体温が低下する朝に、具材入りの温かいスープを取りたい。

「温かい水とコーヒー、具材入りのスープを朝に飲んで体の温まり具合をみる実験をしたことがあります。温かい水とコーヒーは、15分ほど体が温まりましたが、30分経過すると手足が冷え始めました。具材入りのスープは、4時間温まるという結果が出ました」

 具材が消化されるまで胃腸の筋肉が動き、熱が発生する。だから、温かいものを飲むだけでなく、きちんと食べることも大切だ。

 アルコールで体を温める人もいるだろう。だが、血管が拡張して一時的に温まるだけで、逆効果になる。

「頻尿を招き、尿から熱を放出して結果的に体温を下げるので避けてください。高齢者で夜間頻尿が多い人は、温かくして寝ると、頻度が減ってきます」

 住まいにも気をつけたい。近畿大学建築学部長の岩前篤教授は、一般社団法人「き塾」で、安全で住みやすい木造建築を広める活動をしている。

「18年11月、世界保健機関(WHO)は、『住まいと健康に関するガイドライン』において、寒い季節の安全な室温を18度以上にすることを強く推奨しています。屋内の温度が低いことで健康への影響が大きいという結論からです」

 室温は暖房の設定温度ではなく、洗面所を含めた家の中全体を18度以上にすること。下回ると、心臓発作などの循環器系疾患を起こす恐れがあると報告されている。寒暖差によって起きるヒートショックを防ぐことにもつながる。

 家の断熱性を高めることも大切だ。ただ、高齢者の住む昔ながらの一軒家には、断熱材が施されていないことが多いだろう。

 国土交通省は、住宅内の室温変化が居住者の健康に与える影響を調べた。断熱改修の前後を比較したら、こんな結果が出た。

「改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下」

「室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い」

「床近傍(床近辺)の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い」

 岩前氏によると、新築時に断熱材を入れれば、費用は約50万〜100万円(金額はあくまで目安)。一方、リフォームだと壁を壊したり、足場を組んだりするため、約300万円かかることがあるという。

「バリアフリーの改修工事時に、断熱材も加えてほしいです。ただ、経済的にそこまではできない場合もあります。代替策として、今ある壁に貼り付ける『断熱シート』と『内窓』を取り付けるのも効果的です」

 断熱シートは価格が数千円からで、自分で貼れるものもある。冷気が入り込む窓に取り付ける内窓は、業者にサイズを測ってもらい、あとは取り付けるだけ。サイズによるが、1カ所4万円台からつくっているメーカーもある。

「朝方の寝室の温度は、10度以下になる家が少なくありません。一方、布団の中は25度くらいになります。温度差がかなり大きくなりますから、すべての部屋に断熱材や内窓を付けるのが難しければ、寝室を優先することをお勧めします。防音にもなり、睡眠の質も良くなります」

 窓やドアの隙間にテープを貼って隙間風の侵入を防ぐのも手だ。何もしない場合、外気温が2度ほどだと、風当たりにもよるが、窓面の温度は5度ほどまで下がる。暖房をつけても暖まりにくい。断熱材を入れるなどすれば暖まりやすくなり、結果的に省エネにもなる。

 エアコンがある家は、起床2時間前に作動するようにタイマーをかけておきたい。エアコンのつけっぱなしは、電気代がかかるため躊躇するかもしれないが、最近は省エネ性能が高くなり、それほどコストがかからないものも増えている。

 油断して凍死しないよう、命を守る対策をしてほしい。(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日  2020年3月6日号

このニュースに関するつぶやき

  • 暑さを通気で逃がして寒さや渇きを木質で補う所がビニールにすっぽり被せた様な造りにしてしまい風も湿度も逃げにくくした所へ最近の異常気象な気温ですからね、住宅性能との追いかけっことなった様にみえますわ、
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  • 猫と寝ると熱いくらいなんだがw
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