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ラミレスに「へその前で打つ」練習を徹底。八重樫幸雄が打撃覚醒に導いた

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2020年02月27日 11:52  webスポルティーバ

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「オープン球話」連載第15回(第14回はこちら>>)

【「へその前で打つ意識」で一気に覚醒】

――前々回は岩村明憲さん、そして前回は青木宣親選手についてお尋ねしました。今回も「指導者・八重樫幸雄」として印象に残っている選手について伺います。

八重樫 岩村、青木同様に思い出深いのは、やっぱりラミちゃんかな?

――現在DeNAを率いるアレックス・ラミレス監督ですね。ラミレス”選手”がヤクルトに入団したのが2001(平成13)年のことで、この時に八重樫さんは一軍の打撃コーチでした。どんな第一印象だったのですか?

八重樫 第一印象は「インサイドを打つのが上手だな」という感じだったな。バットが内側から出る、いわゆるインサイドアウトのスイングで内角のボールをはじき返すのがとてもうまかった。でもその反面、変化球に弱かった。外角の変化球の目切りが早いから、ボール球に手を出す悪いクセが気になったね。

――実際に来日当初は、アウトコースに逃げるボール気味のスライダーを面白いように空振りしていた印象がありますね。

八重樫 そうだね。アウトコースのスライダーは空振りばかりだったよ。どうしても「前で打とう、前でさばこう」とするから、ボールの見極めが甘くなってボール球に手を出してしまう。だから、つきっきりでラミちゃんとは”へその前で打つティーバッティング”を繰り返したんです。

――「へその前で打つティーバッティング」とは、どんな練習なんですか?

八重樫 普通、ティーバッティングはバッターの斜め前方からトスを上げて打つでしょ。でも、ラミちゃんの場合は斜め前からじゃなくて、彼のへその前に座って、へそに向かってトスを上げたんだよね。

――斜め前方からではなく、へその前からトスを上げるということは、バッターとしてはかなり窮屈なスイングになりますよね。それはどんな意図が込められた練習なんですか?

八重樫 ボールをギリギリまで引きつけて打つ練習ですよ。ラミちゃんの意識としては「ボールを前でとらえて会心の当たりをレフト方向に打ちたい」という感じだったんだけど、彼はインコースを打つのが上手だったから、多少遅れてもバットに当てることはできるし、ヒットゾーンに運ぶこともできる。だから、「会心の当たりでレフトへ」じゃなく、「詰まってもいいからライトへ」という意識づけを狙ったんです。

【「あっち向いてホイ」でライトにホームラン】

――「へその前で打つティーバッティング」はスムーズに進んだんですか?

八重樫 いやいや、全然(笑)。最初はどうしても窮屈な打ち方になって苦しそうだったよ。でも、続けていたら少しずつ突っ込む悪癖は矯正されていったんだ。最初はライト方向への詰まった当たりが多かったけど、次第にピッチャーへのライナーが増えていって、きちんとアウトコースのボールもとらえられるようになっていきましたね。

――「へその前で打つ」というのは、ラミレス選手にとっても初めての経験だったと思います。この練習を彼はスムーズに受け入れてくれたのですか?

八重樫 その点はスムーズでしたよ。事前に「お前の実力があればインコースを打つのは問題ない。ただ、このままではいつまでたってもアウトコースのボールは打てないぞ。へその前で打つ感覚を身につければ、”あっち向いてホイ”でもライトにホームランを打てるんだぞ」ということは、最初に丁寧に説明しましたね。ラミちゃんは真剣に聞いていたし、素直に受け入れてくれたと思います。

――懇々と諭すような感じなんですか? それとも、フランクに伝える感じなんですか?

八重樫 「懇々と」というわけじゃないけど、じっくりと説明はしましたよ。「日本のピッチャーはお前のことをストライクゾーンで仕留めようとはしない。相手バッテリーはボール球を振らそうと考えている」と何度も伝えたし、「お前は詰まってもライトにホームランが打てるんだ」っていうことも何度も話しました。

――実際にどれぐらいで効果が出始めたんですか?

八重樫 練習を始めてから1カ月ぐらいしてからかな? ある日の試合でアウトコースのスライダーをパッと見逃したんですよ。それまでだったら、絶対に手を出して空振りしていたボールをきちんと見逃すことができた。ベンチで見ていて、「あっ、ようやくつかんだのかな?」って感じたことを覚えています。で、実際にそれ以降少しずつ結果が出始めていったんだよね。実際に結果が出始めたことで、ラミちゃん自身も「これだけ詰まってもホームランになるんだ」って理解するようになったんじゃないのかな?

【真面目で研究熱心だったラミレス】

――外国人選手の中にはプライドが高い選手も多くて、まったく聞く耳を持たない人もいると思います。そういう意味ではラミレス選手には素直さがあったんですね。

八重樫 うん、彼はとても素直でした。性格もすごく明るいし、「日本で成功したい」という思いが強かったから、貪欲に何でも吸収しようという意識はすごく感じられましたよ。とはいえ、最初から頭ごなしに「アウトコースが打てないと日本では通用しないから、打撃フォームを変えろ」なんて言ったら、彼だって反発したと思います。その点は僕もかなり注意しました。

――ラミレス選手のプライドを尊重しつつ、改善策を伝えたわけですね。

八重樫 そうだね。「お前はインサイドを打つのがうまい」ということをしっかり伝えた後に、「あとはアウトコースを打つだけだ」ということを伝えるようにした。やっぱり頭ごなしに言うのではなく、ある程度はプライドを尊重して、褒めながら始めたのがよかったんだと思うよ。あとは、彼自身が勉強熱心だったのも大きかったと思います。

――日本の投手の攻め方や配球などの研究も怠らなかった?

八重樫 そう。試合中でも自軍の攻撃中に古田(敦也)と話し込んでいるシーンはしょっちゅうだったから。よく覚えているのは、雨か何かで試合が中断している間、ベンチでずっとラミちゃんと古田が話しているんです。その日の自分に対する相手バッテリーの攻めについて、ラミちゃんが古田に熱心に質問をしていて、古田のアドバイスに真剣に耳を傾けている。その光景を見たときに「勉強熱心だな」って思ったし、彼の必死さも感じられたよね。

――来日1年目には「恐怖の七番打者」として若松勉監督の日本一に貢献しました。チームに溶け込んでいる姿もファンとしてはすごく印象に残っています。

八重樫 そのへんは、ラミちゃんの明るさ、誰とでも打ち解けやすい性格のおかげだと思います。さっき言った古田との関係もそうだし、当時すでにベテランだった池山(隆寛)ともすごく仲がよかったからね。よく覚えているのは、池山が凡打してベンチで落ち込んでいる時に、ラミちゃんが近づいていって池山の肩を叩きながら慰めていたこと。その姿を見て、「いい関係だな」と思ったよ。

――以前、ラミレス選手にインタビューした際には「イワムラ(岩村明憲)、イナバ(稲葉篤紀)にお世話になった」と話していました。

八重樫 確かに岩村、稲葉とはよく話していましたよ。特に岩村は自分のほうが年下なのに、よく外国人選手を誘って食事に行っていたみたいだし、いろいろとアドバイスもしていたようでした。本人が真面目で真剣だから、周りの人たちもつい応援したくなる魅力がラミちゃんにはあったね。

――ラミレス選手のエピソードはまだまだ尽きませんね。ということで、次回もまたラミレス選手について伺いますね。

八重樫 ラミちゃんについては僕も思い入れがあるんで、ぜひこの続きはまた次回ということで(笑)。

このニュースに関するつぶやき

  • 星一徹が飛雄馬に対して行った「へそ作戦」ではないのか。
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  • 来日1年目,シーズン前はかなり期待されていたが前半は思ったような成績を残せなくて5番から7番まで落ちたけど,後半から打ち出して残留.2年から3年目にかけて外の逃げるボール球を,ほとんど振らなくなった記憶があります.
    • イイネ!2
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