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「コロナに感染する前に、食べられなくて死んじゃう子もいる」 フリースクールが一斉休校を拒否する覚悟

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2020年02月29日 07:00  AERA dot.

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写真※写真はイメージです(Getty Images)
※写真はイメージです(Getty Images)
 全国の学校が一斉に休校になる――。全国不登校新聞の編集長・石井志昂さんが真っ先に思い浮かべたのは、一斉休校になることで命の危険にさらされかねない子どもたちの存在だったという。あるフリースクールの代表者は苦渋の末、「開けられるところまでは開けておこう」と決意を固めた。

*  *  *
 2月27日、安倍晋三首相が新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小・中・高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明しました。突然の休校要請によって多くの家庭が混乱し、ネットでは「急に子どもの面倒なんてみられない」など批判の声が上がっています。

 ふつうの家庭でもたいへんなところですが、貧困世帯の場合、学校給食やフリースクールでの昼飯が支えになっている子どももいます。受け皿も用意せず、いきなりの休校要請は強引すぎると批判せざるを得ません。安倍首相は「課題には政府として責任をもって対応する」と発言していますが、そもそも政府の眼からは見えない課題も多かったのではないでしょうか。

 まずは休校要請によって、困ってしまう子が3タイプ挙げられます。

「障害などを持っているため日常的な支援が必要な子」

「食事が満足に与えられていない子」

「虐待があったなど長時間、親とすごすのが危うい子」

 今回の休校要請では特別支援学校も入っており「日常的な支援が必要な子」もいます。学校がなくなると、その支援は、家族の手で賄うしかなく休校によって「親が働けない」「家事もできない」などの事態が想定されます。

 また、「食事が与えられない」「虐待」などは、特別な家庭で起きることのように思われますが、そうではありません。日本の子どもの貧困率は13.9%、およそ7人に1人の子どもが貧困です(厚生労働省「国民基礎調査」より)。また年間の虐待相談件数は15万9850件(厚生労働省調査)。過去最多を更新虐待しています。

 こうした問題を肌で感じ、子どもを支える場が学校以外でも必要だと動いている団体があります。その一つが「青少年の居場所キートス」(東京都調布市)です。キートスでは来た子どもたちに対して無償・無条件で食事と居場所を提供しています。たまに来る子も毎日の子も、虐待や貧困など課題ごとに子どもを選り分けることもなく食事を出しています。

 食事の場は、たんなるカロリー摂取ではありません。温かい家庭の雰囲気のなかで、居場所に来る友だちや大人たちと話しながらの団らんの場です。居場所を一歩出れば、現在進行形で課題に立ち向かっている子にとって、キートスでの食事は、なにより「心の栄養」になっているのでしょう。

 キートスの代表者・白旗眞生さんは、全国で休校が相次ぐなか「キートスは開けられるところまでは開けておこうと思う」と言います。理由は「うちが閉まったら、コロナで死ぬより前に、食べられなくて死んじゃう子もいるからね」と。

 神奈川県川崎市の「フリースペースえん」も、一時休校をしない決断を固めた団体です。えんは、不登校、障害、貧困、虐待など、さまざまな理由で学校や家庭、地域に居場所を見いだせない子どもたちの「たまり場」をつくってきた団体です。えんでも食事と居場所を提供し、1日40人が食事をしています。そこには年齢や性別、立場も関係なく、みんなが家族のように食事をしています。

 いっしょにご飯を食べて、いっしょに遊び、大人が向き合ってくれる場があれば、困難さを抱えさせられた子も「自ら動き始める」とえん代表の西野博之さんは言います。

 27日、安倍首相の意向が表明された瞬間は、代表の西野さんも「どうしよう」と休室を悩んでいました。しかし、一晩経って覚悟が決まったようです。

「最も困難な状況に置かれた子が選んだ場を大人が奪ってはいけない」と。

 えんは、学校のように強制されて登校する場ではありません。自らの意志で集まる場です。感染が怖い人のためではなく、いま、何らかの理由でえんを必要とする人のためには開けてくそうです。不安な時ほど、子どもの「主食」である遊びを奪ってはいけないとも考えたそうです。(もちろん、どちらの団体も手洗いや咳エチケットなど可能な限りの感染予防をした上での運営です)

 また、今回の休校要請により「コロナの感染に不安をおぼえた大人の反応が、まわりめぐって、結果的に子どもへの暴言・暴力に結びつかないように、最大限の注意を払う必要がある」とも言います。

 最後に、不登校やひきこもりなどを多く取材してきた私の考えを述べます。すべの子どもが「学校へ来い」と言うのも乱暴ですが、すべての子に「明日から来るな」と言うのも乱暴です。そして本質的に考えておくべきことは「学校依存の教育体質」です。学校がなければ、子どもは行く場を失い、親も働きに行けない。こんな状況が当たり前だとされてきました。しかし、これは脆弱な教育体制だったのではないでしょうか。

 家を中心に育つホームエデュケーション家庭では、休校か否かで揺れてはいませんでした。訪問支援を行なう団体もそうです。今回の騒動で、いちばん苦しい子たちに政府の眼が向き、さらには学校依存の教育体質を見直すことにもつながればと思っています。(文/石井志昂)

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このニュースに関するつぶやき

  • この感情論。各家庭も勿論、各自治体も普段どうしようもねぇんだなw直接的な業務等、枝葉の部分は自治体マターだろ。国のそれで生殺与奪が決まるのかよ(呆
    • イイネ!3
    • コメント 1件
  • 通ってる子どもが病気になったら休むのと同じことですよ。家でテレビでも観るとか、冷蔵庫の中のあるものでご飯食べるとか。
    • イイネ!13
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