ホーム > mixiニュース > ライフスタイル > 【肝胆膵がん手術】専門医に聞くセカンドオピニオンをとるべきケースは?

【肝胆膵がん手術】専門医に聞くセカンドオピニオンをとるべきケースは?

0

2020年02月29日 17:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真(イラスト/寺平京子)
(イラスト/寺平京子)
 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。病院ランキングだけでなく、治療法ごとの最新動向やセカンドオピニオンをとるべきケース、ランキングの読み方などを専門の医師に取材して掲載している。ここでは、「肝胆膵がん手術」の解説を紹介する。

*  *  *
「肝胆膵がん」とは、肝臓がん、胆道がん、膵臓がんの総称で、いずれも難度の高い手術が多い。

 なかでも難治性がんの代表とされるのが膵臓がんだ。膵臓がん全体の5年生存率は10%未満で、他のがんと比較して低い。早期発見が難しく、手術ができる段階で見つかる割合は2〜3割程度。周囲の臓器に広がりやすく、手術ができても5年生存率はおよそ20%にすぎないとされる。

 しかし「ここ10年ほどで治療法は大きく変化し、良好な成果を収めています」と関西医科大学病院の里井壯平医師は話す。10年ほど前から手術後に抗がん剤による化学療法が推奨され始め、再発率が低下。現在、術後の5年生存率はおよそ50%というデータもある。さらに2019年に日本から発表された無作為化比較試験では、術前にも抗がん剤を投与することで生存率が高まるという結果が出た。

「術前と術後に化学療法をおこなうことで、今後の5年生存率は上昇してくるはず」と里井医師は言う。この治療法は、19年に改訂された「膵癌診療ガイドライン」でも推奨されている。

 肝臓がんには「現在二つの潮流がある」と虎の門病院の進藤潤一医師は語る。ひとつは、からだへの負担の少ない低侵襲手術の追求だ。16年から腹腔鏡手術の適用の範囲が広がり、ほとんどの肝切除術で実施できる。ただし高難度の肝切除術に関しては、公的データベース(特定術式のNCD術前前向き登録)に登録する必要があるため、国内でできる病院は限られている。

 もうひとつは、安全性を高めたうえで大きく切除する試みだ。切除する側の肝臓の血管を前もって塞ぐなどして、将来的に残る肝臓部分を大きくすることで、従来の限界を超えた広範囲の切除が可能になっている。

「さらに重要なことは、抗がん剤の進歩です。従来は切除不可能と言われていた肝臓がんでも、術前に抗がん剤で腫瘍を小さくして切除できる可能性が広がった。だからこそ、外科的治療と内科的治療を組み合わせて判断できる総合力が問われています」(進藤医師)

■セカンドオピニオンとるべきケース

「肝胆膵がんは悪性度の高いものが多く、いくつもの病院をまわるうちに進行し、治療のチャンスが失われてしまう可能性もあります」と進藤医師は言う。

「それでも、治療法には多くの選択肢があるので他院の意見を聞く意味はあるでしょう。『手術はできない』『開腹手術のみ』など治療法が限定されてしまい、納得できない場合には、肝臓がんの治療をバランスよくやっている病院でセカンドオピニオンを受けるといいでしょう」

 膵臓がんも治療の選択肢が増えている。「術前や術後の化学療法など、治療の選択肢を提案されない場合はセカンドオピニオンを受けるべき」と里井医師は言う。とくに術前化学療法はここ1年程度の治療法の変化なので、「手術できない」と言われた場合も他院の意見を聞きたい。

「当院では膵臓がんの腹膜転移に注目し、本来胃がんに使う薬を使った臨床試験をおこなって生存期間の延長に成功しています。病院ごとに臨床試験をしていますから、病状に合う病院を紹介してもらいましょう」

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫

ケース<肝臓がん>
手術のみ、抗がん剤のみなど治療法が限定された場合

ほかにもアブレーション治療や化学療法を併用した手術など、肝臓がん治療は多岐にわたる。選択肢がほかにないか確認したい。

ケース<膵臓がん>
術前・術後の化学療法が提案されなかった場合

2019年の「膵癌診療ガイドライン」で術後に加えて術前化学療法も提唱されている。手術のみの提案には確認が必要。

■ランキングの読み方と病院選び

 肝胆膵がんの「いい病院」は、手術数の多さと相関関係があるのか。進藤医師は「一定の関係は確かにある」と言う。

「原発性肝がんの場合、肝硬変などで肝臓の状態が悪化している人が多いのです。大きく切除すれば残された肝機能が低下して生命にかかわるし、小さく切りすぎるとがんが残るリスクが高まる。人によって肝臓の状態は違うので、判断には医師の経験も必要です。手術数が多い病院は術後の管理にも慣れている場合が多いですね」

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では各病院の手術数ランキングを掲載している。病院ごとの全体の合計数だけでなく、医師一人当たりの手術数も意識すべきだと進藤医師は言う。

「合計手術数を何人の医師が執刀しているかで割ると、個人の執刀数がだいたいわかります。医師の数はホームページなどでも確認できるでしょう」

 肝がんの手術数について、『手術数でわかるいい病院2020』では原発性と転移性の両方の数を調査している。

「原発性肝がんはウイルス性肝炎から発症する場合が多いので、原発性の手術の多い病院は、肝臓内科の患者数も多い傾向があります。肝臓がんは再発率が高く、5年以内に70〜80%とも言われます。定期的な検査が欠かせないので、肝臓内科に力があるところは安心です。転移性はがん専門病院など、原発巣のがんにも実績のある病院を選びましょう」

「胆道がん、膵臓がんは、総合ランキングではなく、それぞれのランキングを見てください」と話すのは里井医師だ。肝臓がんは患者数が多いので、三つを合わせてしまうと肝臓がんを多く治療している施設が上位にきてしまうからだ。

「胆道がんの場合、肝門部・上部胆管がんや胆のうがんを除くと、膵臓がんと手術方法はほぼ同じです。胆道がん、膵臓がんは手術数そのものが少ないので、二つを合計した数の多い病院を選ぶという方法もあると思います」

 手術数だけでなく、いかに難しい手術を実施しているかも確認したいところだ。その目安になるのが、日本肝胆膵外科学会が指定している「修練施設」になっているかどうかだ。

 同学会の高度技能指導医または高度技能認定医が一人以上常勤し、難度の高い手術(肝胆膵高難度外科手術)を、5年間の平均で年間50例以上こなす施設が修練施設A、30例以上実施している施設が修練施設Bと認定されている。病院名などは同学会のホームページで確認することができる。

「修練施設は、難度の高い手術を多く経験し、安全性のチェックが入っている病院です。病院選びの目安になるでしょう」(里井医師)
(文/神 素子)

≪取材した医師≫
関西医科大学病院 胆膵外科診療科長 里井壯平 医師
虎の門病院 消化器外科 進藤潤一 医師

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より

【おすすめ記事】女医が不安視する新型コロナウイルス「日本の医療体制は本当に大丈夫なのか?」


    あなたにおすすめ

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定