「デジモン ラスエボ」『02』キャストが20年越しに明かす裏話、“成長した子どもたち”と向き合った過程【インタビュー】

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2020年03月01日 08:52  アニメ!アニメ!

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写真「デジモン ラスエボ」『02』キャストが20年越しに明かす裏話、“成長した子どもたち”と向き合った過程【インタビュー】
「デジモン ラスエボ」『02』キャストが20年越しに明かす裏話、“成長した子どもたち”と向き合った過程【インタビュー】
2月21日(金)に全国公開を迎えた『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』。『デジモンアドベンチャー』でおなじみのアグモンたちだけでなく、『デジモンアドベンチャー02』のブイモン、ワームモン、ホークモン、アルマジモンの登場もファンには嬉しいポイントだ。

『02』のデジモンを演じるのは、TVアニメ放送当時と同じく野田順子(ブイモン役)、高橋直純(ワームモン役)、遠近孝一(ホークモン役)、浦和めぐみ(アルマジモン役)。

デジモンたちは、成長した子どもたちとどう向き合ったのだろうか。新たなパートナーとアフレコに挑むまでの過程や、『02』放送当時の裏話などをうかがった。
[取材=ハシビロコ、江崎大/文=ハシビロコ/撮影=小原聡太]




■「やっと『02』の出番が来た!」
――本作への出演が決まったときの心境はいかがでしたか?

野田:「やっと『02』の出番が来た!」と嬉しく思いました。『02』は初代の『デジモンアドベンチャー』(以下、『無印』)との関わりも深いのに、その後のシリーズに参加できないもどかしさが常にあったんです。

高橋君と一緒に「DIGIMON ADVENTURE FES.2015 前夜祭」に出演した後、『デジモンアドベンチャー tri.』が続いていたのに私たちには出番がなくて。ちょっと寂しかったです(笑)。

高橋:「ワームモンの出番ないんだ……」と。だから本作でまたワームモンを演じられると聞いたときは、とても嬉しかったです。
ワームモンは自分の一部と言えるくらい思い入れのあるキャラクターで、部屋に今でもワームモンのぬいぐるみを飾っています。

遠近:『02』放送からかなり時間が経っていたので、「デジモンキャストが変わらなくてよかった」と、率直に思いました(笑)。リメイク版でキャストが変更になることは珍しくないので、続投できてよかったです。



ただ、監督たちはTVアニメ当時のデジモンの声をイメージしてキャストを決めたと思うので、どう演じていたか思い出す作業はしました。
再集結したデジモンキャストからも「ちょっと違うんじゃない?」と言われたらまずいですし。

――当時のことを思い出すために、『02』を見返しましたか?

遠近:とくに見返してはいません。

野田:さすがです(笑)。私は見返す派でした。

遠近:僕の中で『02』はアフレコそのものがアドベンチャーな作品だったので、演技に関してもさまざまな挑戦をしていました。だから「当時こんなことをしたな」と覚えている部分も多かったです。

――浦和さんは『02』ではアルマジモンだけでなくパートナーの伊織も演じていました。作品への思い入れも人一倍あったのではないでしょうか?



浦和:私にとって『02』はすごく大事な、宝物のような作品なんです。
『02』が出てくるということは、もう一度宝箱から出して触られてしまう。嫌というわけではないのですが、「大丈夫かな」と不安のような気持ちは少なからずありました。

野田:伊織役のキャストは山谷君になりましたから(笑)。

浦和:そう(笑)。だから本作に関しても「今回は伊織役が変わるので、新キャストのオーディションがあります」と早めに伝えていただきました。
聞いた瞬間は、子どもを嫁に取られたような気持ちだったんです(笑)。「私の大事な伊織君が誰かに取られちゃう!」と複雑な心境でした。

■成長したパートナーがここにいた
――伊織役の山谷祥生さんの演技を聞いたとき、気持ちに変化はありましたか?

浦和:本作では、アフレコよりも前に読み合わせの場を設けていただきました。
そのときはまだ「私の伊織君をほかの人が演じている……」と考えてしまいましたが、本番までに山谷君が伊織のことをとても研究してくれて。アフレコ現場で、その努力がすぐに伝わってきました。

私の演技をものまねするのではなく、伊織自身を理解しようとがんばってくれたんです。だからこそ「おっきくなった伊織がここにいた」と、素直に思えました。

――大輔、京、賢もキャストが一新しています。新パートナーと初めて会ったときはいかがでしたか?



野田:読み合わせのときに、新しい子どもたちを演じるキャストと初めて顔を合わせました。
そのあと浦和さんの提案で『02』メンバーで飲み会をして、話しているうちに違和感や不安のようなものはなくなったと思います。もちろんキャストはみんな大人なのでお酒を飲みながら語り合いました(笑)。

遠近:僕は最初から違和感はなくて、新しい人たちがどれくらい『02』デジモンになじんでくれるかな、と考えていました。
新キャスト自身が一番緊張していたはずなので、「『02』の世界に飛び込んで来い!」と伝えようと思って(笑)。そのための飲み会でした。

高橋:飲み会で新キャストのみんなが打ち解けてくれたので、僕らもとても楽しかったです。おかげで「この現場はうまくいきそうな気がする」と思えました。

――成長したパートナーの絵や演技を目にしたとき、みなさんの中にあったイメージとぴったり当てはまりましたか?

野田:成長して声変わりをしても、中身は変わらないでいてくれて安心しました。
親みたいな言い方になってしまいますが、うちの大輔に関してはおバカなので、「ああ、大人になっても変わらないんだなあ」と。一生懸命取り組んでいるがゆえの空回り具合があってよかったです(笑)。

高橋:賢ちゃんは、もともとスポーツも勉強もなんでもできる子でしたが、大人になるとさらに磨きがかかりました。
賢ちゃんを演じる(ランズベリー・)アーサー君を見たときは、親戚の子に久しぶりに会ったときのような気持ち。「おっきくなったねえ。でもかっこいいまんまだ!……好き」と思いました(笑)。



遠近:京役の朝井さんを含め、新キャストは今が旬の声優さんたちなので、お芝居も新しいんです。共演していてすごく新鮮で、「ああ、新しい京さんだ。こんなに成長したんだ」と現場でもリアルに感じることができました。

僕らは変わらずデジモン目線で演じていますけど、パートナーは成長して大人になろうとしている。声優間世代ギャップがあってむしろよかったと思います。

浦和:自分のパートナーだけではなく、ほかのパートナーの声も含めて「オーディションで選ばれるってこういうことなんだな」と実感しました。
全員が最初からズバッと役にハマるわけではないのですが、研究や練習を重ねるにつれてちゃんとキャラクター本人に見えてくる。オーディションで選考したスタッフを讃えたいと思うほど、すばらしいキャスティングです。

→次のページ:埋もれないように工夫した『02』


■埋もれないように工夫した『02』
――『02』放送当時のお話もうかがえればと思います。今も心に残っているアフレコのエピソードはありますか?

遠近:『02』も『アドベンチャー』も、デジモンたちはみんなキャラが濃いんです。でも、ホークモンはほかのデジモンに比べるとそれほどキャラが濃くないので……。

一同:ええー!?

遠近:自分では埋もれないようにしないといけないと思っていたんです(笑)。毎回濃くするために演技面でも冒険していたので、当時のことは今でもよく覚えています。
京役の夏樹リオさんに「今の演技大丈夫だった?」と相談したときもありました。


浦和:アフレコではやりたい放題やっていたと思っていました(笑)。

遠近:濃いんだもん、あなたたちが!

野田:そんなことないです(笑)。

遠近:レギュラー陣はもちろん、ゲストにいらっしゃる方々もかなり個性的だったので、普通に演じてはいけない作品なんだと思っていました(笑)。
デジモンはかなり種類が多いので、ほかのキャラクターに似てはいけないし埋もれてもいけない。アフレコは戦いの日々で、声優として成長させていただいたなあ、と感じています。


――高橋さんは、ワームモンを演じていたときに心に残ったことはありますか?

高橋:ワームモンがひどい目に遭ったときは、自分自身も身を切られるような思いでした。
当時、ストーリーの展開を最初から知ったうえで演じていたので、『02』を見ている近所の子どもから「直(なお)にいの役は、悪いデジモンなの?」と聞かれたときはもどかしくて。本当はいいやつだと言いたいのに言えない。「そうだね。哀しいね……」としか返せませんでした。


――野田さん演じるブイモンは、『02』の象徴ともいえるキャラクターです。『アドベンチャー』のアグモンからバトンを引き継ぐにあたり、意識していたことはありましたか?

野田:『アドベンチャー』で築かれた世界観に入っていくので、とにかく勢いだけは落とさずに演じようと思っていました。ブイモンは文字通りの石頭なので、「壁にぶつかるまで猪突猛進で行ってしまえ!」と。
先輩についていくだけではなく、気持ちだけなら並び立てるようにアフレコに臨んでいました。


――浦和さん演じるアルマジモンは名古屋弁が特徴的なキャラクターです。もともと名古屋弁に詳しかったのでしょうか?

浦和:私の出身は名古屋ではないのですが、名古屋弁のお芝居をした経験はあったのでアルマジモンのセリフにアドバイスをしたこともありました。本作でも「だぎゃ!」が聞きどころです(笑)。

■デジモンを演じていてよかった
――『02』から約20年経ちますが、これまで「デジモンを演じていてよかった」と感じた瞬間はありましたか?

高橋:普通なら密に話せない人とも『デジモン』の話題で距離が縮まって嬉しく思います。最近いろんな現場で「『02』を見ていました」と言われる機会がありました。
世代は違っても、ちょっと進化のセリフを言ってあげると叫ぶくらいに喜んでくれるんです(笑)。

同時に、当時の子どもたちがこんなに大人になっているのか、と時の流れも実感しました。

野田:子どもも大人も世代を超えて話せる作品に関われたのは嬉しいです。甥っ子が『02』世代なので、「今度『デジモン』映画に出るよ」と伝えたらニヤっと笑ってくれました。
あと、普段は近所迷惑になるのでなかなか叫べないのですが、『デジモン』の現場では技名などを思いっきり叫べるのでスカッとします(笑)。


――技名はやはり叫びたくなるのですね。

野田:叫びたいです! 本作でも気持ちよく叫ばせていただきました。

遠近:僕も技名を叫ぶのは楽しいです。デジモンはたくさん進化するので、さまざまな声を出せたのもよかったと思っています。
ほかの作品に出るときに「シュリモン風に」、「ポロモンっぽく」と台本に書き込むことも多くて(笑)。

『デジモン』で多くのパターンを演じていたからこそ、自分のレパートリーも増えました。『02』を演じている1年間は冒険の連続でしたが、今となってはとても大切な財産になっています。

浦和:『02』と向き合っていた1年間は夢の中にいるようで、常に「デジモンを演じていてよかった」と思っていました。
進化や兼ね役で何役も演じたり、キャラクターとして歌も歌わせていただいたりと、あまりにも濃密な1年間。最終回が近づくにつれ夢から覚めてしまうのが寂しくて泣きそうになった日もありました。

→次のページ:大人になったパートナーの冒険を見届けて


■大人になったパートナーの冒険を見届けて
――最後に、これから映画を見るファンに向けてメッセージをお願いします。

遠近:まずは「『02』メンバーが帰ってきたぞ!」と伝えたいです。
昔と今の違いにこそ映画のメッセージが込められているので、当時のままの部分と、変わった部分、どちらも探してみてください。
それぞれのキャラクターがどう進化しているのか、みなさんにも見つけてほしいです。

高橋:大人になってどう生きるべきか悩むときもあると思いますが、重く考えずとも本作を90分見ていただければ、「パートナーと生きる今を大事にしよう」と感じると思います。
僕は猫を飼っているので、映画を見た後パートナーである猫をなでたくなりました。

映像もかなり細かな部分まで作りこまれており、思い出や現実の景色がきれいに見えてくるシーンがたくさんありました。情報量が多いので、ぜひ何回も見てほしいです。

野田:『デジモン』シリーズをこれまで見てくださった方には、なつかしさを感じるシーンもあります。普遍的な部分と変化を比較したり、「大人になるってそんなに悪いことじゃないんだ」と感じたりと、さまざまな見方ができる作品です。


生きていると「昔はよかった」と思うこともありますが、変わっていくことを受け入れるのも大切。年齢を重ねた分、あたたかな気持ちで見守っていただけると嬉しいです。

もちろん初めて『デジモン』を見る方にも楽しんでいただける映画になっていますので、ぜひ本作をきっかけにTVシリーズに戻っていただければと思います。
『02』のわちゃわちゃ感や、ほっこりするパートも楽しんでいただけたらキャストとしても嬉しいです。

浦和:私はあらかじめメッセージを書いてきたので、読んでもいいですか?

野田:すごい、お手紙だ!

浦和:「ファンの皆様へ。20年、どう過ごされたでしょうか。大人になって楽しいことや嬉しいことばかりではなかったと思います。『デジモンアドベンチャー』の子どもたちも少し大人に近づきました。彼らも悩み、もがき、ときには涙しながら一歩一歩前に進んでいます。変わらず見守り続けるパートナーデジモンたちと一緒に彼らが進む未来を、冒険を、皆さんもぜひ見届けてください」



◆◆◆

浦和さんの優しい声で読み上げられたメッセージに、インタビューに居合わせた誰もが心を揺さぶられた。『02』放送からも約20年経つが、作品への愛は変わらずに持ち続けてくれているのだと、キャスト陣の言葉や表情が物語っていた。

いよいよ公開となる『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』。『02』デジモンや成長したパートナーとの再会も楽しんでほしい。

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