【『男はつらいよ』渥美清が憧れの存在! 俳優、渋川清彦さんに聞く、映画のはなし。】VOL.52 渋川清彦(俳優)

0

2020年03月02日 12:12  BOOK STAND

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

BOOK STAND

写真
原作者である菊池真理子さんの実体験に基づいたという、アルコールに溺れる父を描いた映画『酔うと化け物になる父がつらい』。松本穂香さんとダブル主演を務める渋川清彦さんは、コワモテから情けないダメ男まで演じる個性派俳優としてさまざまな作品に出演されている名バイプレイヤー。そんな渋川さんに、今回の主演作『酔うと化け物になる父がつらい』の撮影秘話から、好きな映画のことなど、たっぷりお話を伺ってきました。

***

------渋川さん演じるお酒に溺れるお父さんと、その家族を描いた今作。普段は大人しいのに、お酒を飲むと豹変してしまうお父さんの姿がとても印象的ですが、役作りで意識されたことはありますか?
渋川さん(以下、敬称略):役作りについては、基本、全て監督にお任せしていました。ただ、本当に無口でおとなしい小心者である普段の姿と、酔っ払った時の差はやはり意識しましたね。それと、原作者である菊池先生に、主人公のモデルとなったお父さんはどんな人ですかと聞いて、それも参考にさせていただきました。



------お酒を飲んでいない時はより大人しく、お酒を飲んだときはより明るく振る舞う、といった感じでしょうか。
渋川:そうですね。実は僕自身もお酒が大好きで、飲むと饒舌になるんです(笑)。普段、口数は多くない方ですから、主人公のお父さんの気持ちがわかるといいますか、どこか重なる部分はありました。ちなみにですが、撮影中、監督に「実際にお酒を飲んで演技してみよう」なんて提案したことがあって(笑)。それを受けて監督も「それ、いいね!」と快諾してくれて撮影してみたんです。でも本当に酔っちゃうと「それって芝居じゃないじゃん」「リアルじゃん」という話になってしまいますので、そのバランスは微妙なところだったんですが......いざ撮影に入るとお酒を飲んでもそんなには酔えませんでしたね。撮影に集中していますし。


------実際にお酒を飲んで撮ったシーンもあったんですね。そんなこだわりの本作、渋川さんとしては特にどんな点が見どころだと感じていますか?
渋川:何よりもこの作品、原作者である菊池先生と片桐監督との相性がとても良いんですよ。実話をちゃんと映画にして、ちゃんとドラマチックに仕上げられている。ポップかつユーモラスな作品になっている一方で少し切ない部分もありますし、原作とセットでとても素敵な作品なんです。なので、原作を読まれていない方はぜひ読んでみてほしいです。原作者と監督が、辛いことを吐き出しながら前に進んでいることが感じられます。


------原作も必見ですね! ところで、渋川さんが"観る側"として好きな映画についてお聴かせください。
渋川:青春もの、青春群像劇みたいなのがすごい好きですね。1本作品を挙げるとすれば、フランシス・フォード・コッポラ監督の作品『アウトサイダー』(1983年)。若い役者がいっぱい出ている作品なんですが、みんな格好良いんですよ。特にダラス役のマット・ディロンがすごく好きで。ファッションもみんな格好良いし、貧困層のグループと富裕層のグループが対立する話なんですが、ストーリーも大好きですね。



------普段から映画館にもよく行かれるんですか?
渋川:ちょっと前までは結構観ていましたね。それから、ひと昔前の日本映画には「映画館で観て良かった」と思える作品がいっぱいあったんですよ。当時の映画というのは、正直音があまり良くないので、家で観るよりも音が大きく響き渡る映画館の方が断然良い。音が大きいと、自然といろいろな音が聞こえてくるんですよね。そういう意味では、あまり世間一般では知られていないんですが、山中貞雄監督の映画『人情紙風船』(1937年)は、劇場で観てすごく良かった思い出があります。今はレトロ専門の映画館もありますから、たまにはそういった場所へ足を運ぶのもお勧めしたいですね。


------渋川さんがこれまでにご覧になった映画の中で、演技に関して影響された作品は何かありますか?
渋川:『男はつらいよ』(シリーズ)ですかね。僕にはできないですが渥美清さんのセリフ回しには影響を受けていると思います。渥美さんは流れるようにセリフを言うんですが、なんというか絵が浮かぶようなんですよね。格好良いなと思いつつ、僕にはそれを取り入れられるわけではないですが。憧れです。


------最後に、今後挑戦したい役柄などがあれば教えてください!
渋川:そんなに将来的な展望というのはないんですけど、その時その時に巡り合った役を、一個一個、演じていければいいですね!

(取材・文/小山田滝音、撮影/谷田貝一也)

***



『酔うと化け物になる父がつらい』
3月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:片桐健滋
原作:菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店刊)
出演:松本穂香、渋川清彦、今泉佑唯、ともさかりえ ほか
配給:ファントム・フィルム

2019/日本映画/95分
公式サイト:https://youbake.official-movie.com/
©菊池真理子/秋田書店 ©2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会



>>元の記事を見る
    ニュース設定